ルック・湊(ルク主)
湊はそんな2人をニコニコと楽しそうに見た。
ルックにも詩遠さんにも本当に迷惑をかけた。詩遠さんまでああやって僕に声をかけてくれていた事、本当に嬉しく思った。
これからもずっと仲良くして下さったら嬉しいな。ずっと傍に・・・無理な話かもしれないけれども、ずっと傍にいてもらえたらな、と思う。大好きで未だに尊敬して止まない人。
それからルック・・・。塔に帰っちゃうのはほんとに寂しいけど、でも仕方ない事。僕もルックもそれぞれやらなければいけない事があるんだもの。
・・・ルック。本当に感謝してもしきれない。僕の大切なかけがえのない人。この恩は一生かけても返しきれそうにないけれど、それでもルックになにかあれば僕は全力で助けたいし守りたい。そんな事本人に言ったらきっと、ムッとしたような顔をするんだろうけれど。
・・・ルックは多分、僕に話してくれていない、けれどもルックにとってはきっと重いなにかを抱えているんだろうと思う。前からたまに思っていた。・・・話してくれないのはそりゃあ寂しいけれども、それを無理に話して欲しい、とは思わない。その代わり僕はいつだってルックの味方でいたい。なにかあればすぐに駆けつけたい、いや、絶対に駆けつける。
「ほら。何ボーとしてんのか知らないけど、クリーム。さっきから気になってたんだよね。気づきなよ、ほんとに。」
「え?そうなの?どこ?」
「まったく。・・・ほら。」
きょとん、とする湊の唇の左側にルックは手を持っていき、そっとぬぐった。
「あら、言っちゃった。俺、それずっと美味しそうだなあって思って見てたのに。せっかくの眼福だったのにね?」
「黙れ変態。って、ちょ、湊!?」
「っへ?」
ルックが詩遠に悪態をついている間に、湊がルックの指をクリームごと咥えていた。
「何してんのさ!?」
ルックは赤くなって手をひっこめた。湊はなんでもないような顔をして言った。
「え、あ、ごめん、嫌だった?だってもったいないから・・・。」
「君のそのバカさ加減と食い意地はどうかと思うよ!?」
「とか言ってルッきゅん、赤くなっちゃってー。このムッツリエロ魔法使い。」
「え?」
「今すぐズタボロに切り裂いてやろうか!?」
「え、ヤダ、遠慮しておこう。」
まったく!
ルックは呆れたように、ニッコリと胡散臭い笑みを浮かべている詩遠と、その横で首を傾げている湊を見た。
ほんと天魁星って独特すぎる。
だけれども・・・本当に湊・・・良かった。
まったく反応すらしない湊を見た時は心臓を直接抉られたような気持ちになった。
そう、灰色のあの夢を見ているほうがマシだと思えるほどに。
本当に強い子。尊敬に値する。そして、愛しい恋人。
・・・湊はこうやって元気をとりもどしてくれたから良かったものの・・・もしあのままだったら・・・。自分は今すぐにでもこの世界を破壊しようと思ったであろう。
・・・紋章なんて呪いでしか、ない・・・。結局その思いは確信へと変わっただけだった。
こんな強い湊ですら、運命から抗う事は出来なかった。やはり・・・・・・。
「ねえ、ルック、どうしたの?ボーっとして?良い天気だし、湖のところまで散歩に行かない?詩遠さんは行くってー。」
「お前はインドアだろうから、遠慮するならしていいんだよ?」
ルックはふ、と微笑むようにため息をついた。
「うるさい、詩遠。行くよ、だけれども、まだまだ無理はしちゃだめだからね?湊。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ