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ルック・湊(ルク主)

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喚起番外編前篇



「私、授業なんて受けるの、初めて!楽しみだねぇ、湊!」
「うん。で?ナナミとアイリは今日はどんな授業なの?」

朝食時、すごく嬉しそうに話しかけてきたナナミに、ニッコリと笑いかけながら湊は聞いた。

「ん?数学?なんかそんなんとかね・・・あ、嬉しいのが家庭科!確か料理実習だったよね、アイリちゃん。」
「ああ。」

ブホッ。
たまたまルックの方を見ていた湊は、おもわず軽く飲みかけていたお茶を吹いた。少しルックの顔にかかる。

「・・・。」
「ご、ごめん、ルック。」

湊は無表情だがジロリ、と睨んでいるルックに謝り、ハンカチを出してそっと拭いた。
それからナナミに向き直る。

「ナナミ。一つだけ言っておく。」
「?なあに?」
「何も手をくわえるな。」


「さっきのアレは、何。」

教室へ移動しながら、ルックは湊に聞いた。

「ああ・・・。ルック、まだ知らないんだ・・・。だって・・・ねえ、フッチ・・・。」
「・・・ええ・・・。僕は基本的に特に好き嫌いはありませんが・・・ごめんなさい、ちょっと・・・。」

湊とフッチが知っていて、自分が知らない事になぜかイラつきながら、ルックは、だから何、ともう一度聞く。

「ナナミね・・・味オンチなんだ・・・。」
「は?」
「ううん、ただの味オンチならまあそれはそれで残念だね、で済むけど・・・あ、ちなみにルックの“なんでもまずい”もどうかと思うけどね。」
「ちなみ、は余計だよ。」
「え、そう?あ、でね、ナナミの場合は・・・なんてゆうか・・・うん・・・いっそ技かな・・・。」
「・・・そうですね・・・そうかもしれません。」
「さっきから、全然分からないんだけど?」
「天文学的にマズイんだ。」

湊は語った。
見た目は普通なのに、何をどう入れたらそうなるのか、もはや表現しがたい味になり、食べてしまったものは再起不能になりかねない勢いで倒れてしまう。

「ほんとうに、危険なんだよっ。食べて倒れるだけなら食べなきゃどうにかなるんだろうけど、たまに何入れたのか、厨房が爆発する場合もある。」
「・・・。」
「あとね。」
「まだあるの?」
「うん、アイリなんだけど。」

アイリの名前を湊の口から聞くのもなんだかあまりすっきりしないのはなぜだろう、と最近ルックは思っている。

「割合ね、美味しいの。」

なんとなくムッとしながら、だったら何が問題なのさ、とルックは湊に聞いた。

「うん・・・、食べるとね、必ず毒ステータスになるんだ・・・。」
「っ!?」

2人ともろくでもない。そんなのが一般人に交じって調理しても大丈夫なんだろうか・・・。

「ほんとはさ、授業、休めって言いたいところなんだけど・・・2人とも、今まで学校の授業、受けた事ないから・・・あ、僕もだけどね。だからすっごく楽しみにしてるの、分かるんだよね。せめて先生の言うとおりに真似して、何もアレンジしてくれなかったらどうにかなるかな、と思って・・・。アイリは多分、その辺は大丈夫そうなんだけど、ナナミがね・・・いつだってなんか加えたがるんだよね・・・。だからさ、ああ言ったの。」
「そう、か・・・。」

3人は微妙な空気をまといつつ、教室に入った。
こちらの最初の授業は紋章学。
席について待っていると、先生が入ってきた。

「「うわー・・・」」

湊とフッチが感嘆の声だろうか、をあげる。ルックは軽く首を振った。

「なんでジーンが・・・」

そこには前戦争時にともに戦った女紋章師が、さらに妖艶な様子で立っていた。
ていうか、なぜフッチまでもが驚いている。お前、前戦争でいただろうが。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ