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ルック・湊(ルク主)

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虎視2



「なんかね、僕の部屋に、誰かが侵入してる気がするんだ。」

数日後、ボソリ、と湊が石板前で言ってきた。

「え、ほんとに?それって、あのチンケなコソドロじゃ、なく?」

詩遠が聞いた。
チンケ・・・多分ホイの事を言っているのであろう。あのホイは、手くせが悪く、湊の事を慕っているにも関わらず、たまに部屋に侵入してはささやかなものをちょろまかして自分で愛用したり、こそっと売ったりしているようであった。
ほんとにたまにで、しかもちょろまかす内容もペンやコップなどといった大したものでない為今のところ見逃してはいるが、いつかガツンとやってやる、とルックも詩遠も思っていた。

「あーホイの事?ううん、多分違うと、思う・・・。」

湊曰く、明確に誰かが侵入して何かを盗っていっている訳ではないとの事だった。
侵入も、もしかしたら気のせいなのかもしれないが、なんとなく、枕の位置が変わっているような気がしたり、などといったあやふやな事なので、なんともいえないらしい。

「気のせいかもしれないし、ごめん、忘れて下さいー。」

そう言って、ニコリと笑ってから“シュウさんのところに行ってくる”と走っていってしまった。

「・・・嫌な予感しか、しない。」

ルックがつぶやいた。詩遠がうなずいた。
「うん、多分ほんとに誰かが侵入してるかも、ね。気のせいだったらいいんだけど、あの子、結構そういう野性的な勘は鋭そうだし。」
2人ともまじめな顔つきで目を合わせた。
それからというもの、ますますルックや詩遠、またはシーナなどがやたらと湊にまとわりついているのを周りは目にしていた。
湊も少し変に思ったらしく、“あの、どうした、の・・・?”などと遠慮気味に聞いていたが、その度に、

「・・・別に。」
「いやー、湊と一緒にいたくて、ね?」
「まあ、いいじゃん。俺、今ちぃと暇でさ。」

などといった感じに返されるだけだった。
誰かが湊にくっついている間に別の誰かが湊の部屋に張ったりしていたが、特に怪しい者とは出会えず。
まあ基本的には湊の部屋はたいてい見張りがついているので問題ないはずなのであるが、それでもホイですら忍び込める訳である。油断はまったくもって、出来ないな、と3人の誰もが思っていた。

「だいたい湊の部屋は出入り自由っていうのが間違ってるんだよ。」

湊がまた執務室に行っている時に、石板前でルックがうっとおしげに言う。執務室までついていって張り付いていると、さすがの湊も疑問に思うだろう、と仕方なくそこまではくっつかないようにしていた。一応湊には3人とも明確に告げていない。『ストーカーに狙われている可能性がある』、と。
とりあえずそれまでにはとっつかまえてやろうと思っての事だったが、敵もなかなか尻尾をあらわさなかった。

「確かにねー。皆入りたい放題だもんね?ああ、だからか。」
「「何が?」」
「ルックってさー、今は警戒してるから湊の部屋に泊まり込んでるけどさぁ、普段、絶対泊まらないじゃない?たまあに湊がルックの部屋に泊まってるみたいだけどさー。あれって、やっぱ、最中や事後にいきなり入ってこられ・・・」
「っ切り裂こうか!?」
「ちょ、おいおい、今は仲間割れしてる時じゃねぇし。」

シーナが呆れたように仲介する。
ほんと、詩遠もこれ、分かってて言ってるからたいがいだよな。まあルックからかってると面白いのは分かるけどね。つか、まあやっぱそうなんだろうな。なんとなくそうだろうなとは思ってたけど、あらためて事実つきつけられると、なんか妙な感じ。あのルックと湊が、ねえ。なんかさ、ままごとの延長的な感じじゃん?見た目が、さ。まあルックはけっこうやる時はやりそうだけど、な、あの湊が、ねえ・・・。

「シーナ・・・考えは心の中だけでしなよ・・・。」
「あはは、全部口に出てるしっ。」
「え、俺、口に出してた!?」
「っほんとあんた達ってバカだよね!」
「何がバカなの?」

その時いつの間に来たのか、湊が口をはさんできた。

「え、あー、別に。」
「またそれぇ?いいけどさー。あ、そうだ、その、あの・・・ちょっと、いい?」

なんとなく湊の様子がおかしい。

「どうした?」

ルックが聞くと、湊がうん、とうなずいてから口を開いた。

「なんか、ね?シュウさんとこから出てから、ちょっと眠たくなったから部屋にもどったんだよ。じゃあ、さ、ベッドの上に、なんか赤い実がね、乗ってた。」

それを聞いた瞬間、ルックは何やら唱えたかと思うと、4人一度に湊の部屋に移動させた。

「っうわー凄い、ルック、なに、そんな風に移動も出来るんだ!」
「それはどうでもいいから。どれ。」
「あ、うん、ほら。」

ベッドの上には、湊が触れもしていないのだろう、そのまま、何やら赤い実のついた切り枝が乗っていた。

「・・・なんだ?」

シーナがつぶやく。

「これは・・・ガマズミ、か。」

詩遠がジッと見ながら言った。

「ガマズミ、てあの食べられるヤツですか?」
「・・・。湊。今日から君は僕の部屋で寝泊まりする事。いい?」

ルックが湊をジッと見てそう言った。

「え?え?な、なんかやっぱ、まずい、の・・・?」
「勝手に侵入して勝手にこんなもの、置いていく時点で問題だろ。いたずらにしろ。分かった?」
「あ、うん・・・、分かった。」
「とりあえず、僕はシュウのとこに行ってくるから。枝はこのままにしてて。詩遠とシーナ、あとは頼む。」

そう言うと、ルックは今度は一人で消えた。

「えっと・・・やっぱ、本気でまずい、のか、な・・・?」

湊が少し困ったように言った。

「んー、まあ、なんていうか、ほら、意味分からないじゃない?こういう事をわざわざ名前も名乗らずにしてくる事自体?」
「用心に越したこたぁ、ねえって。な。」

詩遠とシーナがニッコリしながらそう言ってきた。それでもさすがに湊もなんとなく不安がぬぐえなかった。
ルックはシュウにかいつまんで報告しながら思っていた。

ガマズミの花言葉。

『無視したら私は死にます』『結合』

どちらにしても気味の悪いものでしか、ない。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ