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ルック・湊(ルク主)

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虎視5



どこかも分からない森のようなところ。周りには生き物の気配すら、ない。
ああ、絶対薬物に対して、免疫つけてやる。
たとえ今、何かされようとも絶対反撃の機会はあるはずだと、そしてこの危ない男を捕まえ、絶対に皆の元に帰るつもりの湊は、心にそう誓った。
とりあえず、耳は、いやだ・・・。

「っや・・・めっ・・・」
「耳、弱いんですってね・・・?」
「っ!?な、んで知って・・・最て、い・・・。」
「ほんと最低だね。」
「マジストーカー。」
「・・・コロス。」
「「!?」」

いきなり詩遠とシーナ、そして何やら物騒なルックの声がした。

「わーん、ルック!!詩遠さんも!あと、シーナも。」
「え、何その俺付け加えみたいなんは?」

嬉しそうに言った湊に、シーナが突っ込む。そんないつもの雰囲気は、男が黙って湊を抱えこみ、包丁を首元にあてたことで緊張したものに変わる。

「消えて下さい。でないと湊様の首を掻き切った後で僕も同じく果てます。」

男の目はうつろだった。湊と一緒なら死んでもいいんだという様子に躊躇がなく、その異常具合に寒気が走る。が。

「・・・ふざけるなよ?お前ごときが湊を?本気でお前を殺すよ?」

心底冷たい声色で、ルックが囁くように言ったかと思うと杖を振った。
風が湊だけを避け、男に直撃する。大した攻撃力ではないようだが、後ろにのけぞり、包丁から手が緩む程度には威力があった。
その瞬間をねらって、詩遠が瞬時に動き、棍で相手を攻撃した。と同時に動いていたシーナが湊を助け出す。
結局犯人さえ分かれば、ルック達にとってはあっけない事だった。
相手は色々な草花に精通してはいるものの、戦闘力は特にない一般人であったようだ。
その時ようやく花屋が口を開いた。

「では、どなたかお一人、ご一緒に私とその男とともに城へ。ご報告も必要でしょうし。後のお二方で湊様を介抱なさってあげて下さい。それにルックさんがご移動、なされるようですし。」

落ち着いたもの言いに、皆は我にかえった。

「あ、じゃあ俺が。ルック、後で移動してきてくれ。詩遠よりは俺がシュウに報告した方がいいだろ。」

シーナがそう言って気絶している男をつかんだ。
そうして目の前でまた黄色い光に包まれてシーナ達が消えるのを、湊はびっくりしたように口をあんぐりと開けて見ていた。

「・・・えっと、花屋さん、て・・・?」
「それより、大丈夫なの?」

詩遠が聞く。ルックは今更ながらに固まっていた。よほど心配と怒りだけで突き進んでいたのであろう。

「あ、はい。ありがとうございます。僕、どうやらまた薬で意識がなくなってたらしくて・・・」

その時ようやくルックがハッとして、“切り裂き”の応用なのか、小さな風起こして湊をしばっていたロープを切った。

「ありがとう、ルック。」

そしてあの、いつもの満面の笑みを見た途端、湊に抱きついてきた。

「わ、ル、ルック!?」

湊はびっくりしたが、ルックが抱きつきながらも少し震えているのに気付き、何も言わずにギュ、と抱き返した。
詩遠はそんな様子の2人をしばらくそっとしておいた。


「あの花屋は多分・・・。そうだな、詩遠。ペシュメルガ、知ってるだろ。」

しばらくしてから、ルックが言った。詩遠が頷く。

「ああ、風呂入るのに兜脱がない・・・。」
「・・・そこ?まあ、いい。あいつと似た匂いがする。僕が変わった中身の持ち主だと言ったのはそういう意味だ。同じ、とは言わないが、どこか異次元のモノだと・・・。」
「・・・なんかそれだけであの一連の行動の説明がつくな。」
「僕は分からないよー。」

ペシュメルガはまだ今の時点では湊の仲間にはなっていなかった。

「・・・そうだな・・・湊、君なら前にルカを倒す前の戦いで、ユーバーというヤツを向こうの敵として見たんじゃないか?」
「・・・ああ!なんか黒い甲冑着た、怪しげな人だ。金髪の。」
「そいつと似た匂い、だと思ってくれ。僕にはこれくらいしか言えない。それより湊。」
「ん?」
「無事でほんとうに良かった・・・。でも・・・首・・・?」
「ああ、ちょっと、ね。持ってた包丁で。」

あのど変態、コロス・・・ルックはまたもやそう思った。とりあえず赤くなり、まだうっすらと血がにじんでいる首元を舌で舐める。

「っひゃっ、ちょ、ルック!」
「・・・消毒・・・。で、立てそう?」

ルックは真っ赤になった湊に囁くように聞いた。

「あー・・・。うん、なんとか。」

だいぶ薬の効用が切れてきているのか、湊はルックの手を借りながらなんとか立ちあがった。

「しかし・・・。」

詩遠が呟く。ルックが聞いた。

「何。」
「いやー、さっきから思ってたけど、なかなか眼福だよね?湊、もういっそスパッツやめたら?」
「えっ。」
「・・・あんた、バカだろ。バカだよね!?ちょっと。邪な目で湊、見ないでくれない!?目、つぶすよ?」
「ふふ。じゃあ、とりあえず、湊もなんとか大丈夫そうだし、戻ろうか。」

ジロリとルックに睨まれても、詩遠はいつものようにスルースキルでニッコリとして言った。
ルックはとりあえず先に湊の部屋に移動させ、真っ先にスパッツを履かせた。
絶対、他の奴にこんな姿、見せるもんか、と思いながら。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ