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ルック・湊(ルク主)

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遠征



湊に会いたがっている山賊少年というのは、ティント周辺を根城とする山賊の一味だそうで、名をコウユウと言った。
彼が話した内容を要約すると、今までずっと縄張りを荒らしていた王国軍が撤退したと思ったら今度はゾンビが襲ってきたらしい。
本人はゾンビ、とは言わなかったが、話を聞くとあきらかにネクロードが操っていた死者の傀儡だとしか思えなかった。
ずっとネクロードと因縁があるのであろうビクトールが、ティント市まで調査に行く事を提言した。シュウは山間に軍を出すのは危険すぎる、と勧めない様子だったがビクトールは強引に湊を誘ってティント市に向かおうとした。

湊とて、もしあのネクロードの仕業ならこのままにしておけないと思った。そしてコウユウの強い頼みもある。
よってとりあえず少人数で向かう事になった。シュウは湊を連れて行くのを渋ってはいたが、とりあえず許可してくれた。
湊が石板前で誰をつれて行こうかなぁ、と少し憮然としているルックに話をしていた時、例のごとく英雄様が呼ばれもしないのにやってきた。

「やあ、湊。」
「あ、詩遠さん。こんにちは。」

湊も、最早自分が呼びにいってもいないのに現れる英雄に対して、疑問を抱く事すらしなかった。逆に来てもらえなくても、どのみちこちらからお出迎えをする事が多い為、こうやって来てくれるのを素直に喜んでいる。

「また来たの?別に呼んでないだろ。」

ルックはどうもスルースキルが低いのか、呆れたように詩遠に言っている。まあある意味突っ込み要員だものね、とこちらはニッコリ笑っただけの、スルースキルの高い詩遠は思っていたが、実は湊もそっと、同じ事を思っていた。

「どこかに行くのかな?」
「はい。今度はティントの方へ。なんかね、ゾンビが出るらしくて・・・」
「俺も行く。君の傍にいるよ。」

湊が言いかけている最中に詩遠が微笑んだまま言った。

「へ?あ、ああ、ほんとですか?すごくありがたいし嬉しいですけど、遠征になりますよ?グレミオさん、大丈夫でしょうか?」
「うん、グレミオもそろそろ一人立ちしていい頃合いだと思うんだよ。」
「そっかぁー。」
「ちょ、返事がおかしいだろ。グレミオ大人っ。いや、そんな事はどうでもいい。・・・来るんだ?」

ルックがまたもやご丁寧に突っ込んだ後でめんどくさげに聞いた。

「何か問題でも?」
「別に。どのみち僕は湊から離れないから。」
「やだ、ルッくんたら熱い告白。お兄さん照れちゃうわ。」
「ルック、嬉しいけど、どうしたの!?」

湊はポッと赤くなりつつ聞いているが、詩遠は明らかにからかっている。ルックはイラッとしながら詩遠をにらむ。

「ふざけてるんじゃないよ、このバカ。まあ、目的は湊だけじゃないんだろうけどさ。あいつ、死んでなかったんだよ。どうやら術を使っていたらしく、それで、ね。」
「ふーん。しつこい野郎だね。で?まさか相変わらずここでも花嫁探し?」
「さあ、ね。ウィンディも行方不明(死体は見つかっていないからね)だし、今度は何をしたいのやら・・・。」
「なんの話?」

ルックと詩遠の話がいまいち分からなかった湊が聞いた。

「「ああ、ちょっとしたバカの話」」

やたらと声の揃った2人を見て、やっぱりなんだかんだいっても、仲、良いよね、と湊はしみじみ、満足したように思った。

「それにしてもなんでルックはブスっとした顔をしていた訳?湊に。」
「・・・ああ。この子、また危険だろうところに少人数で自ら出かけようとしていたからだけど、ね。まぁこんな事、あんたに言ってもしかたないよね、あんたもそうだったし。」
「ルックったら心配性だよー。」
「そんな事言ってつい先日危険な目に合ってたのは誰だよ。」
「う・・・。」
「まあまあ。仕方ないよ、ルック。これは天魁星である俺らの使命みたいなもんなんだって。ねぇ、湊?それにちゃんと俺が何があっても助けてあげる。」
「ありがとうございます。」

ニッコリと、例の頬を赤らめる満面の笑みを浮かべている湊を、ルックは面白くなさげに見る。
別にこれが通常運転な湊ではあるけれども、そういう笑顔を安売りしないで欲しい、とひそかに思う。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ