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ルック・湊(ルク主)

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僕はナナミにこんな顔をして欲しくない。
きっと、何度も言いたくて、でも我慢してたんだろう。
ずっと、いやだと思い続け、それでも笑顔でいてくれたんだろう。
そのナナミが。

ごめんなさい、本当に皆、ごめんなさい。

「分かった、よ。・・・行こう。」
「本当?本当に??うん。行こうよ。大丈夫だよ。ジョウイを残していかなきゃいけないけど、でも、でも、でも、いつか必ず、ジョウイも迎えに来ようね。絶対、絶対にね。」
「ん。」
「よし!行こう!」

そう言ったナナミの久しぶりの満面の笑顔を見て、湊はホッとした。

「あ、ちょっと待って・・・えっと、忘れ物とか・・・ない、よね。あ、そうだ。行方不明だと思って探しまわったら大変だから。書きおきをしておこうね。」

そう言いながら部屋に戻った。そして簡単に走り書きをする。

「これは置いていきましょう。これは同盟軍のリーダーになる人が使うべきだし、わたし達には必要ないからね。よし、じゃあ、行きましょう!」

2人がそうこうしている間にじっと目を開けて考えていた者が3人。
そのうちの2人は既に1階へと移動していた。
1人は、ただ、黙って壁を見ていた。
湊とナナミが1階に下り、玄関まで来ると誰かが立っているのに気付いた。
ああ・・・。僕の大好きな人たち・・・。
詩遠さん・・・そして・・・ルック。

ルック・・・ルック・・・。

「逃げるのかい・・・。」

ルックが口を開いた。湊が少し体をピクリ、とさせた。ナナミが言った。

「ごめんなさい。お願い、通して。ね、ね、ね、お願い。」

詩遠は黙ってルックを見た。ナナミは止められる、と思ったようで武器に手をかけた。

「うう・・・じゃ、じゃあ、実力行使だぁ!」
「慌てるなよ・・・止めに来たんじゃないよ・・・」

ルックが静かに言った。詩遠も口を開く。

「2人だけじゃ危険だよ・・・」
「仕方ないな・・・ついて行ってあげるよ・・・。」

ルックがいつもの口調で言う。ナナミはホッとしたように“ありがとう”と礼を言っていた。
そしてそのまま4人で街を出る。
ナナミは嬉しそうだったけど、そしてそんなナナミを見られて湊も嬉しいと思ったけれど。

・・・胸が・・・痛い。

分かっている。
どちらをも取る事なんて出来ないんだと。
だからこそ、大切な姉を取った。
それでもやはり苦しくて。
黙って前を歩くルックと詩遠を見ながら、湊は必死に涙をこらえていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ