とある人の(非)日常?[後編]
~アパート前~
「ここでいいよ」
"わかった"
臨也は帝人を抱えたままサイドカーを降りた
何も無かったかのように霧散する
サイドカーとヘルメット
「あぁ、金は後日でいいかい?心配しなくても、ちゃんと払うから」
"あぁ、にしてもよく寝てるな"
「ほんと、なんと言うかねぇ…」
"下で待っておこうか?"
「帰ってくれて構わないよ」
"大丈夫か?"
「ヤバくなったら、また頼むよ」
"じゃあな"
「またね、運び屋」
セルティは相方の元へ疾走した
臨也はそれを見送ると
二階にある帝人の部屋に向かった
「着いたよ、帝人君」
臨也が一声掛けたが
余程疲れているのか起きない
仕方ない帝人のポッケットから鍵を取りだし
部屋に上がると靴を脱がせ布団を敷いた
その作業中、器用にもずっと臨也は帝人を抱えたままだった
布団に帝人を寝かせようとしたが
左胸に小さな違和感を感じ視線を落とす
その正体を知り臨也は頬が弛むのを感じた
帝人が自分のファーコートを掴んでいたのだから
臨也は残念だか掴んでいる手を外そうとしたが
その分帝人も力を込めて抵抗
無意識の行動
無意識の抵抗
それが何を示しているか分からない臨也では無かった
作品名:とある人の(非)日常?[後編] 作家名:里緒