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さくまさんの

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……OK?



夜遅い時刻で、あたりは暗く静かだ。
佐隈はひとり暮らしをしているマンションの一室のドアのまえに立った。
芥辺探偵事務所のバイトから帰ってきたのだ。
「それでは」
ベルゼブブが言った。
人間に変装した姿である。
夜道を帰る佐隈を心配して、芥辺の許可のもと、ベルゼブブが付いてきたのだ。
「ありがとうございました」
佐隈はきっちりと礼を言った。
さすがに夜の寂しい道をひとりで歩くのは恐い。だから、送ってもらえるのは、ありがたいと思う。
ベルゼブブは軽く頭をさげると、踵を返した。
これから、魔法陣の描かれた事務所に帰っていくのだ。
佐隈は鍵を開け、部屋の中に入った。
ドアを閉めた。
玄関でブーツを脱ぎかけて、ふと、手を止めた。
ベルゼブブが送ってくれるようになったのは初夏だ。
夏は痴漢が増えるらしいと聞いたのが、きっかけである。
そして、今は、冬だ。
冬の夜の中を帰って行くのは、寒い。
悪魔だから寒さを感じないかもしれない。
いや、たとえ寒さを感じなくても、ここまで送り、ここから事務所まで帰るのは、面倒なことである。
それをベルゼブブは仕事として依頼されたわけでもないのにしているのだ。
初夏から、今の冬まで、ずっと。
その事実を改めて認識して、なんとなく、動けなくなった。
ふと。
ピンポーン、と高い音が響き渡った。
だれかが訪ねてきたらしい。
佐隈はドアのほうを向く。
「はい」
「私です」
ドアの向こうから聞こえてきたのは、ベルゼブブの声だった。
だから、佐隈はドアを開ける。
外にベルゼブブが立っていた。
佐隈は問いかける。
「どうかしましたか?」
すると、ベルゼブブは口を開いた。

「送り狼になってもいいですか?」






作品名:さくまさんの 作家名:hujio