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飛空都市の八月
飛空都市の八月
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SOUVENIR II 郷愁の星

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 クラヴィスが目を見開く。そして声を上げて笑った。
 「聞いたか、ランディ。元・光の守護聖殿は随分変わったらしい」
 冗談めかして二人は言い合っているが、そう言えば言うほど、事態が深刻であることがランディにもわかった。ランディには笑えなかったが、クラヴィスの気持ちは理解できた。
 クラヴィスは笑いをおさめるとジュリアスのほうを見て言った。
 「明日の私との謁見までしっかり見張っておくがいい。それまでには私もいくつか調べておきたいことがあるからな。だからもう帰れ」
 「……ああ、わかった。だが、くれぐれも無理をするな、クラヴィス。良いな」
 「私は職務怠慢な守護聖だから、適度に力を抜く術は心得ている」皮肉を言ってクラヴィスは掌を押し出すようにして振った。もう行けという合図だった。
 クラヴィスの言葉には応えず、ジュリアスはランディのほうを見るとクラヴィスを頼む、と言って去っていった。
 ジュリアスを小屋の外まで見送ると、ランディはクラヴィスのほうを振り返った。
 「素直じゃないなぁ、クラヴィス様は。いくらジュリアス様を早くリディアの元に帰したいからって」思わず、ランディの口から思ったことが漏れた。「ジュリアス様はクラヴィス様のことを心配されているのに」
 少し意外げな顔をしてクラヴィスはランディのほうを見た。
 「おまえからそのような言われ方をするとは思わなかったな」微笑んだが、クラヴィスはすぐ真顔になった。
 「……ランディ」
 「あ、はい」急に呼ばれてランディは姿勢を正した。
 「この土地での、おまえの力の具合はどうだ」
 「え、星自体には力がないと……」
 「それは神殿で調べたことであろう? ちなみに聖地での王立研究院での調査報告は覚えているか?」
 実はランディはあまりあの報告書を見ていない。視察に行く星のことについては、文明や文化などの項目だけを見て身なりを整えておき、力の具合はできるだけ現地で感じ取ろうという思いがあった。
 「……やはり見ていないようだな。先入観を持ちたくないという気持ちはわかるが。いいか。聖地でのこの星の力の評価は“中の下”だ」
 ランディは息を呑んだ。
 「じ、じゃあ、この星には力が全くないということが、聖地ではわかってないと?」ランディは思わず大声で叫んだ。叫んでからハッと気づき、急いで小屋の外に出た。そして目を閉じる。
 微かな“風”の気配。彼の持つ力の感触。愕然としてランディは再び小屋に戻った。
 「……力を感じます……。弱いけれど確かに」
 「やはり、な」にやり、とクラヴィスは笑った。
 「ルヴァと話をする。場合によってはあの娘、思ったよりも簡単に救えるかも知れぬ。もっとも、あの娘自体は相変わらず自分を許せないかもしれないが」
 クラヴィスはそこでいったん言葉を切り、ぽつりと言った。
 「……ムワティエ、か……」
 ランディもその言葉をなぞる。“半分”の星。そして思う。神殿の人々の暗い表情と【黒い土地】に行く人々の快活さ。聖地での『惑星d−13916018a』という呼称では計れないその姿を。