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遠野 真澄
遠野 真澄
novelistID. 10989
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A cielo che avvolge una nube

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少年・・・雲雀恭弥は再び部屋に戻ってくると慣れた手つきで、茶葉を保管しているティキャディーを取り、一緒に用意していた茶菓子をテーブルに置くと再び給水室へ向かった。
嘗て、学校の威厳や名誉の証であるトロフィの飾られていた硝子戸棚ではあるが、彼がこの応接室を根城とした際に全て撤去され、現在では事実上の応接室を兼任している校長室に飾られている。
しばらくすると甘い香りが部屋中を包み込み、カップとソーサーと同じくウェッジウッドのトレイに乗せ、軽く音を立てながら少女・・・沢田ツナの前に淹れ立てのミルクティが置かれた。

「ありがとう、恭ちゃん」
「どういたしまして」

甘い香りを漂わせる紅茶に、ツナは嬉しそうに頬を綻ばせながら礼を言い、そんな彼女に雲雀もまたにこやかな笑みを浮かべた。

「・・・あのね、恭ちゃん。 さっき確認した情報なんだけど・・・」
「ん?」
「骸が、凪たちを連れて隣町に引っ越してくるみたい」
「・・・あいつらが? ふぅん・・・。 そろそろ、本格的に守護者集めが始まった…ってことかな。 それだと、確かに離れた場所にいるより近くにいた方が、守りやすいよね」
「・・・やぱっぱり、そうかぁ・・・。 私にとって、遠縁にあたる彼らがそれぞれそれぞれの派閥に分かれて殺しあっているのは知っていたけれど・・・ほぼ、相討ち状態で残った候補者が蔑んでいたはずの“女”・・・だものねぇ」

猫舌なツナは適温に冷えるまで茶菓子に手を出すべく、雲雀によって届く範囲に引き寄せられたお菓子を手に取りながら、いつもの情報収集で引っかかった内容を告げた。
それは、彼らが幼年期を過ごした土地・・・イタリアで知り合った“彼ら”のことであった。
彼女の言葉に軽く目を見張った雲雀だったが、今朝沢田家にリボーンが家庭教師として来日してきたことを思い出し、彼らまで来日することに自身の考えが有力であると、確信した。
そんな確信に満ちた声で断言する雲雀に、ツナは苦笑いを浮かべながら溜息を吐いた。

「・・・余計な争いに巻き込まれたくなくて、こっちに戻ってきたのにね。 まぁ、僕から言わせてもらえば彼らより君の方がよっぽど素質はあると思うけどね」
「あんまり、嬉しくないお墨付きだなぁ・・・」

クスクスと微笑んだ雲雀は、優しくツナの頭を撫でながらすでに故人となってる彼女と同じく後継者候補たちの顔を思い出していた。
そんな雲雀に対し、ツナは脱力したように肩を竦め、ペタッとひんやりと冷えるテーブルの上に顔を乗せた。

「何言っているの。 君が一般人だろうとマフィアのドンナになろうと・・・僕が君の傍にいるのは、当たり前のことだろう?」
「・・・後悔、していない?」
「するはずがないじゃない。 君との婚約は、誰かに強制されたものじゃない。 僕自身が、決めたことだよ」

ツナの言葉にキョトンとした様子を見せた雲雀は、当然だとばかりにツナがこの先どんな選択肢を選ぼうと傍にいると告げた。
彼らは、幼い頃に決められた婚約者同士であった。
幼いながらも互いに惹かれあっていたことは、周りにとって一目瞭然であった。
最も、ツナの場合は天然で、雲雀の場合はツナのみが「特別」だということを一切隠そうとしなかったからである。
数年の歳月を経て、現在では恋人同士となっている2人だが、彼らをよく知る身内連中に言わせれば幼い頃からなんら変わらない。
雲雀はツナを自身の膝の上に抱きあげ、ギュッと彼女が苦しがらない程度に力を抜きながら抱き締めるのだった・・・・・・。


――――― 平穏な日常。
しかし、アルコバレーノの登場にその『平穏』が崩壊へと歯車が廻る。
日常は非日常へ。平穏は騒然へ。
少女の元に、彼らは集結する。