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遠野 真澄
遠野 真澄
novelistID. 10989
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A cielo che avvolge una nube

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2.
「・・・Qui la scuola e dove 『Vongole decimo』 della diceria va?(ここが、『ボンゴレ?世』の通う学校なのか?)」

登校時間よりも早い時刻。
朝練のために登校する生徒すらいない時間帯。
そんな時間に、1人の少年が校門前に佇んでいた。
彼の口から出てきたのは、流暢なイタリア語。
そのため、偶然その近くを通り過ぎた近所の主婦は首を傾げ、そのまま素通りしてゆく。
強風が彼を襲い、肩まで伸ばされた髪を靡かせると隠れていた創りの整った美形な横顔が姿を現した・・・・・・。



――――― かの地からやってきた少年。
本国にて、噂で聞いた人物を確かめに、はるばる極東へとやってきた。
それが、少女たちの『平穏』を破壊する歯車となって。
その騒動は、《Un temporale(嵐)》と共に。







沢田家の朝は、結構早い。
6時頃には母である奈々が起きだし、朝食の準備や洗濯など朝から活動的である。
また、愛娘であるツナも眠りが浅いため、比較的早起きである。
彼女が数日前のように寝穢い状況になるのは、雲雀と共に眠った時のみという、特殊なケースであった。
最も、幼い頃から共に眠ることが多かったための刷り込みに近いのだが。
しかしながら双方とも信頼し合い、安らぎを感じている相手であるからとも言える。

「おはよう、母様。 リボーン」
「おはよう、ツーちゃん」
「ツナ、起きたのか。 相変わらず、ヒバリが傍にいないと早起きだな」
「・・・これでも、比較的眠っているほうだよ。 ・・・雲と霧は決まっているとして・・・残り4人は、今から?」
「そうだぞ。 他のやつも基本的にはお前に決めてもらうと思うぞ。 お前の直感や瞬時に行える能力解析は俺も知っているからな」

白のカッターシャツに藍色のスカート、黒のベスト・・・並盛中学校指定の制服をきちんと着用したツナは、キッチンにいる母とリビングの椅子に座ってモーニングエスプレッソを優雅に飲んでいる1歳児に挨拶した。
奈々はニコニコと微笑みながらサラダの盛り付けをし、リボーンは昔と変わらないツナの姿にいろんな意味で感心した。
そんなリボーンに苦笑いを浮かべたツナは、自身の守護者候補の残り4人はまだ未定の場合、自身が決めるのかを確認した。
リボーンはツナの言葉を肯定し、ツナの人を見抜く能力に任せると告げるのだった。

顔を洗い、朝食を済ませると余裕をもって家を出たツナは、ゆっくりとした足取りで学校へ向かう。
並盛中学校において、「遅刻」するともれなく、風紀委員会直々の罰則が科せられるため、周辺の学校に比べると遅刻者数が極端に少なかった。
また、ツナの場合はその風紀委員会の頂点に立つ者が自身の婚約者でもある雲雀のため、遅刻するはずがなかった。

「おはよう、ツナちゃん」
「おはよう、京子ちゃん」

昇降口にある靴箱で履きかえるツナに声をかけたのは、同じクラスに在籍する女子生徒・・・笹川京子であった。
彼女は容姿もさることながら柔らかい印象を受ける雰囲気に、学年・男女問わず人気があり、マドンナ的存在であった。
彼女には、1学年上に兄が在籍しているのだが、外見だけでは彼らが兄妹だということには、誰も気づかないだろう。

「ねぇ、ツナちゃん。 今日、うちのクラスに転校生が来るってしってた?」
「転校生? ・・・あぁ、何かそんなことも言っていたね」
「どんな子なんだろうね? 女の子かな? 男の子かな? 楽しみだね?」

ニコニコと微笑む京子に対し、ツナもまた笑みを返した。
京子の親友であるクラスメートと合流したツナは、自身の在籍するクラスへ向かい、問題のHRを迎えた。

「え?。 今日は、転校生を紹介する。 イタリアに留学していた、『獄寺隼人』君だ」

担任の先生に紹介された“転校生”は、銀髪に灰色の瞳をもつ少年であった。
ツナは、そんな少年をさり気ない仕草で観察し、彼女にも縁のある国名に反応を見せた。


(・・・イタリア? リボーンや骸たちは兎も角・・・。 彼、只者じゃないわね。 少し、調べてみる・・・か)


ツナが考えをまとめた瞬間、教卓の前に佇む転校生と視線が重なった。
暫く見つめていたツナだったが、その視線を受け流すと授業の準備を始めた。





午前中の授業が終わり、午後はクラス対抗のバレー大会が行われる。
ツナはお弁当が2つ分入った袋を持つと、誰にも気づかれることなくこの町の主の元へ急ぐのだった。




―――― コンコンッ




「入っておいで、ツナ」
「失礼します。 恭ちゃん、午後はバレー大会だからお手伝いするね」
「ワオ。 僕の前で堂々とサボり宣言かい? ・・・まぁ、君の場合それも仕方ないよね。
いいよ。 ちょうど、書類とかも溜まっているしね」

静かに入室したツナを待っていたのは、相変わらず座り心地のよさそうな椅子を陣取っているこの部屋の主であった。
書類を机に置いてツナ限定で表情を緩ませた雲雀に、ツナは満面の笑みを浮かべるとトテトテと雲雀に近づく。
ギュッと抱きついたツナを軽く抱き締めた雲雀は、お気に入りのフワフワとした長い髪を優しく梳きながら、風紀を重んじる彼にしては甘いことを告げるのだった。
料理上手な奈々の遺伝が強かったのか、ツナは家事全般大得意だ。
幼い頃から奈々の手伝いをしていたため、今ではその辺の主婦顔負けな腕前である。
また、幼馴染でもある雲雀は奈々やツナの作る料理を食べ慣れているため、彼女ら親子の作った料理であれば通常よりも多く食べるのだった。
風紀強化月間など、雲雀の都合がつかない場合を除き、お弁当はツナが作ってくる。
ツナは中央にあるテーブルにお弁当箱を並べ、準備を整えると共に片付け終わった雲雀が緑茶を入れるべく、給湯室へと消えた。
ツナ特製のお弁当を食べ終え、まったりとした空間をぶち破ったのは、聞きなれた幼児の声だった。

「チャオス。 ヒバリ、ツナ」
「やぁ、赤ん坊」

雲雀とツナはリボーンの気配に気づいていたのか、視線を向けるだけで態勢はそのままである。
3人は余裕に座れる上質な椅子にチョコンと座るツナの膝に雲雀は頭を乗せ、そんな雲雀の柔らかい黒髪を優しく梳くツナの様子に、見慣れたリボーンは遠慮することなく、激甘な空間に飛び込んだ。

「ヒバリ、お前の広い情報網で調べてもらいたいことがあるんだが」
「ワオ。 僕より優れた情報力を持つ君がかい? 君と戦闘ができるんなら、受けてあげるよ」

ツナの膝に頭を乗せたまま、雲雀は対面に座ったリボーンを見つめると、リボーンが口を開いた。
情報能力は、雲雀よりもリボーンの方が優秀である。
だが、事が並盛に関することであれば、誰よりも並盛を愛する雲雀が適任であろう。
リボーンの言葉に見開いた雲雀は、ニヤリと笑みを浮かべながら交換条件を示した。

「・・・一応、お前にも関係することなんだがな。 まぁ、それは今度な。 調べてもらいたいのは、人物だ。
「山本武」。 ツナのクラスメートだ」
「・・・ふぅ?ん? なんで、また彼を?」
「ヤツは、ツナに向けられた転校生・・・「獄寺隼人」の殺気を察知していたからな」