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遠野 真澄
遠野 真澄
novelistID. 10989
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A cielo che avvolge una nube

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3.
「・・・あの子に会うの、何年ぶりかしらね?」

イタリア発の飛行機が国際空港に到着し、赤茶系の長い髪を靡かせながら、サングラスをかけた美女が日本の地に降り立つ。
その表情はどこか懐かしさを、そして愛おしさを前面に出した笑みで、その足は迷うことなく目的地へと向かう。
そんな中、1人の幼児が荷物に隠れるように移動し、同じ年代の子どもたちよりは機敏な動きで移動する姿を、不思議なことに・・・ただ単に小さすぎる故なのか、誰にも咎められることなく、空港を後にするのだった・・・・・・。
――――― 騒動の元は、彼女にとって祖国と言っても過言ではない地。
今回もまた、その地よりやってきた来訪者。
1人は誰よりも《愛》をモットーとする美女。
もう1人は、牛柄が《assordando elettrico(電撃)》となって・・・・・・。


休日の昼下がり。午後の暖かな陽気が差し込みながら、ツナは自室で課題を消化してゆく。
しかしながら、学校では自身の能力を隠しているため、その捏造工作に神経を費やしていた。
本来の能力を知るリボーンはそんな彼女の行為に呆れた表情を見せながらも、聡い彼女のすることには何らかの意味があることを長い付き合いで知っているため、口出しすることなく昼寝を楽しんでいた。

「・・・ねぇ、リボーン。 貴方の知り合いに、あんな牛柄な子・・・いたかしら?」
「何のことだ?」

外から視線を感じたツナは、机から顔を上げると視線の主を見つめた。
その主は牛柄の全身タイツにアフロな頭をしたどこにでもいそうな幼児であった。
しかしながら、その可愛らしい手に持っているモノは危険極まりないものであるのだが・・・悲しいかな。
ツナにとって、幼年期を特殊な環境で過ごしたためなのか、見慣れたものであった。

「ちね、リボーン!!」

ロケットランチャ―を片手に小型の銃を向けていた幼児は、ランチャーの重さに耐えきれなかったのか、発射することなく持ち主と共に枝が折れ、落下した。

「・・・が・ま・ん・・・・!」

その際、いろいろと服に装備していた武器類が散乱し、顔面着地した幼児は涙目になりながらも懸命に泣くのを我慢している。
幼児はめげることなく、玄関先にあるインターホンに土台を使って押し、奈々が扉を開けた瞬間ものすごい勢いで目的地へと駆け上がる。
気配関連に敏感なツナは先ほどの幼児が敷居内にいることは玄関先から感じていながらも、気にすることなく中断していた作業を再開していた。

―――― バンッ!

「ひさしぶりだな、リボーン! おれッちだよ、ランボだよ!」
「・・・やっぱり、リボーンの知り合いなの?」

幼児・・・ランボは自ら名乗りを上げる。そんなどこか必死な様子を見せる彼に、ツナは改めてリボーンに問いかけた。
しかし、リボーンはツナの問いかけに答えることなく、そのまま昼寝の態勢に入る。

「こらー!! 無視するなァ!!」

そんなリボーンの様子に苛立ちを隠さないランボは、攻撃を仕掛けるべく突撃してゆく。
無防備な態勢にいたリボーンだが、勢いよく走ってくる彼に向けて可愛らしい紅葉のような手を突き出した。

――― ドガッ

見た目的には軽く突き出したように見えるが、そこにかかった力は相当なもので、ランボの軽い身体は一瞬にして壁にめり込んだ。
リボーンとの付き合いも長く、見た目は赤ん坊のようだがその実態はそんな可愛らしいものではないことを知っているツナは、見た目にも能力的にも年相応だと判断したランボに対し、生温い同情的な視線を向けた。

「おー、いて・・・。 なにかにつまずいちまったみたいだ・・・・。 イタリアからきたボヴィーノファミリーのランボさん5さいは、つまずいちまった! だいこうぶつはブドウとアメだまで、リボーンとはバーでであったランボさんは、つまずいちまった!!」

メゲナイ5歳児、ランボ。
泣くのを我慢しながら自己紹介をするモノの、リボーンには相手にされずツナはとりあえず自身の用から済ませることにしたようだ。
誰にも反応されない状況下にますます泣きかけたランボは、ゴソゴソとアフロを探り、手のひらサイズの爆弾・・・手榴弾をリボーンめがけて飛ばした。

「ちにさらせ! リボーン!!」


――― バキッ!・・・ドーンッ!!


正確にリボーンめがけて飛ばされた手榴弾だったが、カウンタ―されて持ち主の元へ戻り、そのまま威力を殺すことなく外へと投げ出され、ストッパーの外された手榴弾は爆発を起こした。

「・・・リボーン、相手は見た目的にも知能的にも一般の5歳児とあまり変わりないのよ? それに・・・知り合いじゃないの?」
「・・・武器を持つガキの方がよっぽど危険だゾ。 ボヴィーノファミリーッて言ったら、中小マフィアだ。 お前も知っている通り、俺は格下は相手にしねーんだ」

ツナは情け容赦ないリボーンに対し、呆れた表情を浮かべながらも彼の行動を窘めた。
そんなツナに対し、昼寝の邪魔をされたリボーンは再び眠りの態勢になると、自身のポリシーを告げるのだった。

「・・・あぁ、あのボヴィーノかしら? ・・・確か、ナントカバズーカっていうのを独自に開発したファミリーよね。 昔、父様が熱心になっていた時期があったもの。 ・・・まぁ、今のところ彼が私の命を狙う刺客ってことはないみたいだから、ほどほどにね?」

付き合いの長いツナは、リボーンがどれだけ理不尽で自身の見解を全く変えない主義なのを知っているため、苦言するだけで止めようとはしない。
深く溜息を吐きながらも、聞き覚えのあるファミリー名に記憶を思い起こさせながらも己に火の粉が被らないことを理解したのか、放置しておくこととした。



翌日はいつも通りに起き、雲雀と共にするお弁当を作ったツナは、ゆっくり歩いて遅刻スレスレの時間に家を出る。
相思相愛な想いの人が彼女以外で大切にするものは並盛と並中。そして、風紀である。
そんな彼を一番そばで見続けるツナにとって、「遅刻」は禁忌(タブー)であった。
そのため、普段学校では制限しているため発揮していない頭脳を駆使して精密に逆算し、遅刻しない時間帯を割り出しているのだ。

(・・・なんか、最近やたらとこの視線を感じるんだけど・・・・・。まぁ、害はない・・・かな?)

いつも通りの通学路を歩いている自分を見つめる視線に気づいたツナであるが、視線の種類からして無害と判断したのか、至って普通に学校へと向かうのだった。

「はひぃ? 今日は、あの可愛い赤ちゃんいないですぅ・・・。 ハル、ガッカリ・・・・」

ツナを見ていたのは、近隣校区の制服を着た女子生徒であったが、自身の目的の人物が一緒でないことに肩を落とし、自身の通う学校へ向かうのだった・・・・・・。


予鈴が鳴り響く前に正門を抜け、在籍するクラスの扉を開けた瞬間、満面の笑みを浮かべた獄寺が待ち構えていた。

「おはようございますッ! 十代目ッ!!」
「ご、獄寺くん!? ・・・そ、その呼び方はやめてよ・・・」
「いえ! 十代目は十代目ですから」

若干、素で引き気味なツナであったがすぐさま彼の呼び方を控えめながらも苦言したが、本人はいたって聞く耳を持たない。