A cielo che avvolge una nube
タレ目に緩い服装、そして下駄姿の彼に将来の将来が心配になったツナであった。
「・・・誰、君」
「お久しぶりです、若きボンゴレ十代目。 そして、若き雲雀氏。 10年前の自分が世話になってます、泣き虫だった・・・ランボです」
(・・・やっぱり・・・・)
「10年バズーカか。 ボヴィーノファミリーに代々伝わるという、武器だな」
「10年バズーカで撃たれた者は、10年後の自分と入れ替わることができるんです。 正し・・・5分間だけですが」
「あぁ・・・コレだったのね。 父様が一時期熱心になっていたのって。 うちの技術班も色々とおかしなところもあるけれど・・・ほかのファミリーも大概ねぇ」
リボーンは感心したように呟き、その呟きを聞いていたツナは納得とばかりに頷いた。
その肩にはいつの間にか傍にきたのか・・・雲雀が優しく包み込んでいる。
「ようリボーン。 見違えちゃっただろう? 俺がお前にシカトされ続けた、ランボだよ。 ・・・ぇ」
大人ランボはゆったりとした足取りでリボーンに近づく。
しかし・・・彼は依然として大人ランボを直視することなく、カメレオンのレオンの背をなで続けている。
そんなリボーンを視界に収めたツナは呆れた表情を浮かべると人口密度の高い応接室に対して不機嫌のゲージが限界値まで上がっている雲雀を宥めるようにコテンッと彼の胸元に頭を寄せ、前に腕を回させると彼女の倍はあるであろう手を優しく包む。
彼女の仕草にゲージが振り切れる寸前に拡散された雲雀は僅かにイライラさせながらも、目の前にあるお気に入りの髪に顔を埋め、彼が最も好む彼女の匂いを肺一杯に吸い込んだ。
「・・・やれやれ・・・・。 こうなったら実力行使しかないか・・・。 10年間でどれだけ俺が変わったか・・・見せてやる。 ・・・サンダー、セット!!!」
僅かに口元をヒクつかせた大人ランボは、ポケットから幼児の時は常に身につけている角を取り出し、自身の頭に装着する。
すると、晴天に恵まれていた並盛一帯に暗雲が立ち込め・・・雷が落ちた。
再び晴天に戻ると、放電を纏ったランボの姿が。そして、その角は淡く光りを放っていた。
「俺の角は、100万ボルトだ」
「・・・常人なら、あり得ないわね。 ・・・まぁ、見た目・精神・実力等が5歳児並なのに、ヒットマンを名乗るくらいだから・・・何かの特異体質なんでしょうけど」
彼の言葉に対し、冷静に判断したツナであった。
「死ね、リボーン!!『Un angolo di sorpresa(雷撃角)』!!」
放電を纏った大人ランボは闘牛のような体制でリボーンに突撃する・・・・が、いかんせんそのリーチは限りなく短い。
斜めを見つめた格好のまま、レオンを長い杖に変化させたリボーンは、軽く大人ランボの頭に乗せ、その動きを封じるのだった。
「・・・が・・・ま・・・・ん・・・・。 ふ・・・・ふぇーん!!!!」
軽く置かれたにも拘らず、一切の動きを封じられた大人ランボが呟きながら膝を折る。
その頭には特大級のタンコブができていた。
あまりの痛さに・・・我慢できなかったのか幼児並の大声で泣き出した。
(10年経っても変わらない・・・・。というか、10年経ってもまだ15歳・・・だもんねぇ)
生温かい目で見つめているツナの目の前で、5分経ったのか・・・もう一度ボフンッと音を立てて青年の姿から幼児へと戻るのだった・・・・・・。
作品名:A cielo che avvolge una nube 作家名:遠野 真澄