二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
遠野 真澄
遠野 真澄
novelistID. 10989
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

A cielo che avvolge una nube

INDEX|9ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 





――――― キーンコーンカーンコーン...



昼休み開始を告げるチャイムが鳴り響く頃、ツナは応接室にいた。
渋るリボーンに対して絶対零度の笑みを見せたツナは、気絶したままのランボを預けると家に強制送還した。
幼児と赤ん坊のためにあまり体格差がないため若干ふらついていたが、そのことを気にする人間はここにはいない。
ツナ自身は一度教室に戻ろうとしたのだが、雲雀がそれを許さず、ツナもまた今一度ここに戻ることが困難だということを理解していたため、そのまま持っていた鞄の中からお弁当と授業道具を出すと、軽く予習・復習を始めた。
数分後には雲雀の手伝いをしていた・・・。

「恭ちゃん、そろそろお昼にする? 流石に、午後は授業に出るね。 ・・・ここに煩いのが押し掛けてくるだろうから」
「・・・仕方ないね。 けど、授業は本来君にとって詰らないものだろう?」
「・・・うーん・・・。 まぁ、その辺りは裏工作のために内職しているから。 ・・・まだ、このままの生活を続ける必要性・・・あるっぽいしね」

チャイムの音に反応したツナは、ニッコリと微笑みを浮かべながら雲雀の前に専用のお弁当箱を掲げた。



「・・・そういえば、今日の午後の授業は調理実習があるんだった。 ケーキ、作ったら恭ちゃんにあげるね? ・・・和菓子系を作りたかったんだけど・・・流石に、中学校の授業では教えてくれないからね。 今度、家で作るよ」
「・・・それ、あの駄犬たちにもあげるの?」
「駄犬・・・。 獄寺くんたち? 他の子たちは知らないけど、私は恭ちゃんにあげる分だけ取り分けるつもりだけど」
「それなら、2人分で食べれるサイズのホールを持ってきな。 ここで、お茶会しよう」
「うんv」

昼食が終わり、残りの昼休みをツナの膝枕で過ごしていた雲雀は、彼女の独特の雰囲気に癒されながらも時折撫でる温もりにまどろんでいた。
そんな雲雀に慈愛に満ちた笑みを浮かべながら、午後の予定を思い出した。
お菓子作りも料理の一環として奈々に鍛えられたため、現在では自身と雲雀のお気に入りスイーツに限り、レシピなしで作れるほどの腕前である。
普段は「ダメツナ」と呼ばれているツナであるが、料理に関しては機敏な動きをすると周知の事実として広まっている。
そのため、一部の男子の間では水面下で争奪戦が繰り広げられているのだが、当の本人は雲雀一択である。
また、同じ班になればもれなく交換できるという特典付きであるが、大抵同班になるのは親友の花・京子が多い。
2人とも、ツナの意思を尊重しているためか本人が許可しない限りツナの作った料理は彼女たちからも流通しなかった。


午後の授業である調理実習も終わり、女子の帰りを心待ちにしていたクラスメートの男子たちは、机と椅子を全て窓側に寄せると廊下側に並び、今か今かとソワソワさせながら待っている。
中でも大本命はツナの作ったモノであるのだろうが、今まで誰一人として受け取った者はいない。
しかし、他の女子から貰った料理でも嬉しい年頃の男子たちである。
その中に、フィルター付の信者と最近声をかけるようになったクラスの人気者の姿もあるのだが、彼らの場合はツナ一択であろう。


――――― ガラッ!


「今日は調理実習で作ったケーキを、『男子にくれてやるーーーーーー!!』

扉を開け放った花は8等分されているケーキを片手に持ちながら、他の女子たちと一緒に男子へ突き出す。

『ヨッシャー!!!!!』
「どれもうまそうだな!」
「俺にくれよ、俺に!!」

突き出されたケーキに、男子たちは有頂天になりある者は飛び跳ね、ある者は食い意地が張っているのか自己主張を始めた。
そんな男子たちに対し、女子たちもニコニコと微笑みながら自分の好きな人にみんなに乗じて渡せるか、ドキドキするのだった。

「おい! 十代目はどこだ!? 朝から全然見つからないんだが・・・」
「・・・あれから、休んだのかな? どうせだったら、貰いたかったんだがな?」

そんなクラスメートと違う反応をしているのは、現在クラスを二分するほどの女子からの絶大な人気を誇る獄寺と山本である。
当然、この二人に受け取ってほしい女子は大勢いる。
中には外見は格好いいが、TVの中のアイドルと同じ感覚で=好きな人ではない女子もいるが。
それでも憧れの人に受け取ってもらいたいと思うのが女心であった。

「・・・沢田から貰いたい? あの子、大抵自分or私たちの分しか作らないわよ。 分量もきっちり人数分しか計らないから、私たちみたいに余ったりしないの。 残念だったわね」

二人の呟きに気付いた花は冷笑しながら通り過ぎていく。
ツナに関して思うことはあるようだが、本人が語らない限りは聞かない・・・というよりあまり興味のない彼女は、口裏を合わせるというほどでもないが嘘を言わずに誤魔化すのだった。
そんな花の後ろからは二人目当てのクラスメートの姿があり、花に聞き返す余裕もなく対応する羽目になるのだった。
ツナ以外の男女問わず容赦ない獄寺ではあるが、流石にダイナマイトを放つほど理性がないわけではない。
また、そこまで耐性があるわけでもないためタジタジになるのであった。
獄寺とは反対に耐性の付いている山本は、ニコニコと人好きするような笑顔でお礼を言いながらケーキを受け取るのだった・・・・・・。



その頃、一人だけ教室に戻らず実習が終わったと同時に家庭科室から離れていたツナは、最愛の婚約者の待つ応接室へ戻っていた。
今日は一日教室に行っていないため・・・というか、一度は教室に向かったものの室内に入ることなくそのまま応接室にいたため、鞄と教科書類は全て応接室にあった。
よって、応接室に戻る理由はあれど教室に向かう理由は一切ない。

「恭ちゃん、約束通りケーキ持って来たよ。 今回は、甘さ控えめのガトーショコラにしてみたの。 渋めの紅茶なら、恭ちゃんも食べれる・・・かな?」
「大丈夫だよ、ツナ。 君の作るモノに関しては甘くても平気だから。 ちょうど、キリのいいところだったから・・・ちょっとまったりして今日は帰ろうか」

ニコニコと微笑みながら小さいホールケーキを持ってきたツナに、雲雀は彼女に見せる微笑みを浮かべながら机に置かれている書類を片付ける。
そんな彼に嬉しそうな笑みを浮かべたツナは疲れた彼を癒そうとお茶会の準備をするために、給湯室へ消えるのだった・・・・・・。



基本的に、二人は下校を共にすることが多い。
尤も、雲雀が下校するのは日が暮れて校内と校区内の風紀の見回りが完了したのち・・・校則にある下校時間をとっくに過ぎてからではあるが。
その時間帯まで、ツナは家の用事がない限り応接室で彼の手伝いや宿題の裏工作に勤しんでいる。
また、雲雀としてもツナは自身の癒しであり最も大切な恋人でもあるため、会話がなくとも同じ空間にいるだけで安心するのであった。
ツナの帰りが遅いことは、母親である菜々はもちろんリボーンも把握しているため、心配されることはない。
また、夕食時は風紀の問題が起こらない限り雲雀も沢田家で共に食事するので双方にとっても全く問題がないのであった。