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みっふー♪
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おじちゃんと子供たちのための不条理バイエル

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「……」
日暮れの雑踏を行きながらおさげにーちゃんは考えた、――いったい何をやってるんだろう俺は、これじゃマジにおじさんに会いたくて探し回ってるみたいじゃないか、そんな愉快なことがあってたまるか、
「――あ」
俯いて歩く少年の長く伸びた影の先で声がした。少年は顔を上げた。
「……。」
いつの間にか足を向けていたらしいおじさんの塒の公園の前、両手と背中に紐で結わえた段ボールの束を抱えたグラサン髭おじさんがガニ股猫背の間抜け面で立っていた。
「……やっ、やぁ、――あっウンこれはね、そろそろ朝晩冷えて来たからベンチに素泊まりも潮時かなー、寝床新築しようかなって……」
――この冬もここで過ごす気満タンみたいだろハハハ、おじさんが恥じ入るように肩を竦めた。顔は笑っていても心じゃ泣いているのが丸わかりだった。
「……。」
少年はおじさんから目を逸らした。……なんで、どうして俺はこんなに心臓ギュンギュン来てるんだ、ジョーダンじゃねぇ、おじさんアンタ何者だよ、
「――おじさんこれ」
少年は手にした空き缶と小銭を公園入り口の立て看板の下に置いた。
「?」
おじさんが少年の足元と少年の顔とを交互に見た。
「……前祝いだよ」
丸めたおじさんの肩と擦れ違いざま、少年は早口に呟いた。
「えっ?」
おじさんが首を傾げた。
「じゃあねおじさん!」
「――あっ」
おじさんが振り向いて何か言い掛けた。少年は後ろを見ずに駆け出した。地面が歪んでいるのか、それとも平靴の自分の足先が浮いているのかよくわからなかった。
「……ちゃんとお礼も言えなかった……」
グラサン越しに少年を見送っておじさんは猫背の肩をしょぼんと落とした。
(……、)
――よし、段ボルハウスが完成したらあの子を、他の子たちも一緒に呼んで皆でパーティしよう、張り切って食器と食材とパーティグッズ集めなきゃな、当面の目標ができたおじさんの顔に生気が宿り、公園に吹き付ける冷たい秋の風とは裏腹に心がほっこり温まっていくのを確かに感じた。


新築パーティの予定をあれこれ考えて浮かれていたおじさんは、その夜うっかり寝煙草でシケモクボヤを出して公園を追ん出された。
すっきり身一つになったおじさんの行くあてはまだない。