【かいねこ】ハジメテノコイ
そして、いろはさんの誕生日を迎えた。
「カイトさん、どうですか?可愛いですか?」
ワンピース姿のいろはさんが、ポーズを取ってみせてくる。
「うん、可愛い。良く似合ってる」
「やった!今日の為に取っておいたんです!」
嬉しそうに笑う彼女を見て、俺も自然と笑顔になった。
「じゃあ、今日一日、宜しくお願いします」
「はい!こちらこそ、宜しくお願いします!」
今日は、いろはさんと『初めてのデート』。
大したことは出来ないけれど、今まで行ったことのない場所に行き、したことのないことをして、沢山の『初めて』をあげられたらいい。
小さな手を取り、まずは駅に向かった。
駅前は、昼間でも人通りが多い。
「いろはさん、はぐれないでね」
「はい。しっかりついていきますね」
駅の連絡通路を抜け、反対側に出た。
特に用事もないので、こちら側には来たことがない。
「俺、こっちに来るの初めてだ」
「あたしもです。特に来る用もないんですよね」
「ねー。買い物とか、向こうで済んじゃうから」
駅前に設置された周辺の地図で、目当ての公園までの道のりを確認した。
「行こうか」
いろはさんを促し、手を繋いだまま道を歩く。
作品名:【かいねこ】ハジメテノコイ 作家名:シャオ