緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「さすがは、シグナム。
それなら、こうです。――
真ソニック・フォーム!」
シグナムを取り囲む数十人のコピー・フェイトが、
全て、真ソニック・フォームの形態となる。
「騎士道とは――
死ぬ事と見つけたり!」
レヴァンティンを構えるシグナムの
目が、スウッと、細くなり、――
「おおおおおおおッ――――!!」
シグナムは、コピー・フェイトの群れに
斬りこんでいった。
◇ ◇ ◇
「ええい! こいつら!」
はやては、別のコピー・フェイトの
一団に、襲撃されていた。
「撃ち落せ! バルムンク!」
はやてのシュベルトクロイツから
発射された白い剣状の誘導魔法弾が
次から次へと、コピー・フェイトを
撃破していく。
はやてがシグナムと別れた後で、――
なのはと『ユニゾン』していたリインが、
戻ってきてくれて、はやてと
『ユニゾン』しているので、
射撃の命中率も、攻撃の威力も上がっている。
しかし、多勢に無勢、と言うヤツである。
――いくら敵を倒しても、まったく、きりが無い。
「ライオット・ザンバー・カラミティー!」
コピー・フェイトの1人が、
ライオット・ザンバー2本を1本に束ねた
大型魔力刀を上段に構え、
はやてに斬りかかった!
「くっ! バリア――――!!」
横から追加攻撃される事を警戒した
はやては、球状の魔力バリアーで防御する。
――だがコピー・フェイトは、
物凄いチカラで押し込んでくる。
足元の地面がひび割れ、体が
バリアーごと、大地に、めり込んでいく!
「うううううっ……」
はやては、『ザンバー・カラミティ』の
重攻撃を、必死に耐えるが、――
横から、3人のコピー・フェイトが
ダッシュしてきて、『ザンバー・カラミティ』の
『突き』を、はやてに、ぶちかました!
「んぎゃああああああああああ――――!!」
バリアーを破壊され、――
吹っ飛ばされて、ビルに叩きつけられた、
はやては、目を回して、気絶した。
◇ ◇ ◇
「なのはちゃん!」
「?!」
苦戦している仲間を探して、飛行中の
なのはは、誰かに呼び止められた。
「はやてちゃん?
いや、違うね……」
「アロンダイト!」
「ショート・バスター!」
コピー・はやての砲撃を、なのはは
最速の砲撃魔法『ショート・バスター』で
相殺する。
2人の間に、薄いピンク色の爆発が起きた。
「さすがは、なのはちゃん。
よう、ニセモノだとわかったな……
それに、すごい反応速度や」
思わず、なのはを褒めるコピー・はやて。
「今の砲撃……はやてちゃんの技じゃないよね」
「ああ、なのはちゃんは、まだ、知らんか。
鹿目まどかはな、
どんな魔法でも使えるんよ」
「…………」
(やはり、この子は……)
なのはは、心の中で、目の前にいるモノの
正体を推測した。
「そやから、なのはちゃん達に、
勝ち目は、ないんよ」
「だから?」
「そやから――
なあ、もうやめにせえへん?
魔女の味方するんも、やめて、
ウチら、攻撃するんもやめて……」
「…………」
コピー・はやての話を無言で、
じっと聞いているなのは。
「この結界を、解いて、――
私達を、この惑星から開放してくれませんか?」
そう言う、まどかは、
元の鹿目まどかの姿に戻っている。
「あなた達を、解放したら、
また、魔女と呼ばれる人達を襲うつもり?」
「当然です。
それが、私達の存在理由ですから」
リーダー格まどかは、事も無げに、
そう答える。
「でも、鹿目まどかは――
あなた達のオリジナルである、
あの子は、こんな事は望んでいない。
こんなひどい事をして喜ぶような子じゃないよ!」
「それでも、
私達は―― 鹿目まどかの、祈り・願い、
そのものだから」
リーダー格まどかは、静かにそう言った。
「どんな理由が有ったとしても、
平和に暮らしている人達の生命と財産を守るのが、
私達の仕事」
高町なのはは、静かにそう言った。
「だから――」
「だから――」
「決して、やめない!」
「必ず、止めてみせる!」
――その時、
「その決意、見事だ!
気に入ったぞ、魔導師!」
星の『内部』から、その声は響いてきた。
星が、震える。
『伝説の魔神』の目覚めを知り、恐怖に慄くがごとく。
―― ドクンッ …… ドクンッ! ――
地の底で何かが、覚醒しようとしていた。
「な、何?!」
「こ、これは?!」
なのはも、リーダー格まどかも
何が、起こったのか、理解できずに、
大地に立ち尽くす。
その大地は、大きく揺さぶられている。
惑星全土で、巨大地震が起きていた。
◇ ◇ ◇
――その異変を、惑星の周囲の
次元艦隊も、捉えていた。
「いったい、何が、起きている?!」
クロノが大声で、オペレーターに問いただす。
「わ、惑星の全大陸で、巨大地震が発生しています。
それと、高町一等空尉の現在地のすぐ近くに、
巨大な魔力反応を検知!
さらに、反応が大きくなります!
こ、こんな、反応は、有り得ません!
計測範囲外の大きさです!」
「何が有ったと言うのだ?!
あの星に?!」
星を見つめるクロノの顔に、焦燥が満ちた。
◇ ◇ ◇
なのは達の目の前で、地面に亀裂が走る。
――小さな山のような、丘が出来上がり、
更に盛り上がっていく。
その丘の頂点が、白く光り輝いて――
ひときわ大きな、地震が襲った次の瞬間、
光る丘が、爆発したように吹っ飛び、
そこには、人影が――
赤く鋭い瞳。
やや短めの、燃えるような、赤い髪。
赤いシンプルな戦闘服。
――胸と腹に、白い縦長の楕円型の
アクセントが合計4つ、あるものの、
極めて機能性重視の戦闘用の衣服。
闇のように黒いブーツ。
そして、首からは、人の血で染めたかのような、
真紅の、マフラー。
――全身、真っ赤な、
怒りと闘志の塊のような、少女がそこにいた。
――そして、全身から溢れ出す、巨大な魔力!
いや、『巨大な』とか『大きな』、
あるいは、『膨大な』・『強大な』なとど言う、
形容詞が陳腐に聞こえるほど、
少女の発する魔力は、想像を超えていた。
それは、戦闘用の次元艦数万隻分の
魔力に近い。
とても、人間とは思えなかった。
「あれは、いったい?
戦闘機人?!
な、なぜ、わざわざ地面の中から?!」
なのはが、どう対処すべきか、悩んでいると、――
「我が名は、サリー・ザ・マジシャン!
鹿目まどか!
貴様は、このワシが殺してくれる!! 今日、ここでな!!」
「ううっ?!」
殺意の籠もったまなざしで、まどかを睨む少女。
リーダー格まどかは、戸惑いつつも、攻撃に備えて、
臨戦態勢を取る。
「まどか軍団、戦闘準備!」
リーダー格まどかの号令に従い、
彼女を護るかの様に、他のまどか達が周囲に展開した。
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士