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　今、信じる心が、チカラとなる。

　――宇宙空間の一部が、不思議な輝きを
放ち始める。

　――伝説が、復活しようとしていた。

◇　◇　◇

　なのは達が、防衛している惑星には、
月（＝　衛星）が、３つ有るのだが、
ヴィータと、『鹿目まどか・シルバー』は、
その月の上で、戦っていた。

「テートリヒ・シュラーク！！」

　ヴィータは、グラーフ・アイゼンに自分の魔力を
乗せると、――アイゼンを振り上げた勢いで、
銀まどかを弾き飛ばす！――さらに、相手の
吹っ飛んだ先に、高速で、回り込み、追撃を、
叩き込もうとしたが、――
その、銀まどかは、スウッと、消滅してしまった。

「くそっ、眩惑魔法かっ！
　本体が、掴め（つか）めねえっ！」

　単なる幻をアイゼンでぶっ叩いた事に気付いて、
歯軋りするヴィータ。

「だから言ったじゃ、ありませんか。
　勝てませんよって」
　背後に現れた、銀まどかの言う様に、
眩惑魔法や幻覚魔法によって、
実体を捕捉できないヴィータは、――

　すでに、銀まどかの
槍によって全身傷だらけの状態だった。

◇　◇　◇

　シャマルと、『鹿目まどか・イエロー』も
ヴィータ達がいる月の上で戦っていた。

「アルティマ・シュート！！」

「ぐっ！」

　巨大な火線が、シャマルを捉え、爆発の威力が
彼女を吹き飛ばした。

　黄色まどかの射撃に翻弄されるシャマル。

「あ、あなた、――
いい加減に、しないと、後で、
後悔するわよ！」

「へ？」
　シャマルの、負け惜しみとも取れる
言葉に首を傾げる黄色まどか。

◇　◇　◇

　ザフィーラと、『鹿目まどか・ブルー』が
戦闘しているのも、ヴィータ・シャマルがいる月面だ。

「はあああああああ――――ッ！！」

「アクセル・スマッシュ！！」

「おぐっ？！」

　ザフィーラの鋭いパンチを、ギリギリで、
かわした青まどかは、綺麗なカウンターの、
アッパー・カットを繰り出した。

　このパンチをまともに、
あごにくらったザフィーラは、
かなりのダメージらしく、
ふらふらしている。

「くっ！

　むう、むむ？！

　――――い、今の格闘術は、一体？」

「うふふ。

　これは、高町なのはの娘が、近い将来、
身につける格闘能力です。

　どうですか？

　仲間のチカラで倒される気分は？」

「……他人に借りたチカラなどで、
我らを倒せるなどと、思うな」

「強がりを、……

　うーん。

　ここらで、駄目押し、しておきますか」

「むっ？！」

「来たれ！　さくらカード！！」

　青まどかが詠唱すると、
まどか軍団の頭上からカードが出現した。

「契約のもと、まどかが命じる……ミ」

「だめだよ！」

「？？　だ、誰だっ？！」

「さくらカードを、――そんな事に使っちゃ、
　だめ――――――――！！」

　その、誰かの叫びとともに、
青まどかが召喚したさくらカードは、
美しい輝きと共に、砕け散って、
消滅してしまった。

「何？！　何だ一体？」
　驚愕する青まどか。

◇　◇　◇

「何、あれは？！」
　周囲のまどか軍団を、警戒していた巴マミが、
『それ』に気がついた。

　宇宙空間の一部が、不思議な輝きを放ち、
それが、大きく膨張していた。

「あ、あれは？」
　杏子も、不思議な現象に、
瞬きを繰り返して、自分の目をこすった。

「異空間ゲート？！」

　ほむらも、呟く。

　まさに、そんな感じだった。

　――その、ゲートが、さらに広がり、

　――中から、数十人の少女達が、飛び出てきた！

　彼女達は、伝説の存在。

　様々な世界・様々な時代で、活躍した、
魔法少女と、魔女っ子達、そして魔法使いと、魔道士だった。

「ふっふっふ！

　美少女天才魔道士　リナ・インバース！

　大先輩、サリーの召喚により、
　ただ今、参上！！！」

　そう高らかに、宣言したのは、
ファンタジー系ＲＰＧゲームか、空想小説などに、
登場しそうな、いかにも伝統の魔道士っぽい服装の、
元気いっぱいの少女だった。

　――ただ、美少女かどうかは、微妙なところである。

「そして、超天才女魔道士　白蛇（サーペント）のナーガ、
　以下同文！！！」

　さらに、前に――ズズンと――出て来たのは、――
……………………………………………………、
　長い黒髪に、トゲだらけのショルダー・ガード、
度を越した露出の多い服装、そして、
やたらと、でか過ぎる胸！！

　少女と言うには、少々、
グラマー過ぎる女性魔道士だった。

「リ、リナ・インバースに、
サーペントのナーガ、だとう？！」
　赤まどかと戦いながら、叫ぶシグナム。

「シグナム！　知っとるんか？！
　あの、２人を！」
　やはり、黒まどかと戦闘中のはやてが、尋ねる。

「はい！
　当人達の、生まれた次元世界から、
出てきた事が、ほとんど無いので、あまり
知られては、いませんが、……

　リナの方は、『魔を討つ者』として活躍し、
１つの世界を救った事も有りました。――

　しかし、他の次元世界の存在を知り、
他の世界への移行方法を独自に
開発してからは、サーペントのナーガとともに、
あちこちの、次元世界で、ロストロギア
（古代遺物）や、宝飾品などの、強奪事件を
起こし、管理局に追跡された事もたびたび
有りました。

　危険人物と言ってもおかしくありません。

　サリーどのも、また、えらい連中を、……」
　頭を抱えるシグナム。

「ま、まあ、今回、協力してくれるんなら、
ありがたいけどな」
　援軍として、リナ達に期待するはやて。

「あ、なんか、私達、期待されてるよ。
　ナーガ」
　リナが、はやて達の、視線に気付いた。

「ふっ！！
　なら、この私から、やらせてもらうわね。
　文句ないでしょ！　リナ！」
　サーペントのナーガが、その巨乳を、
『ゆっさゆっさ』と揺らしながら、リナに尋ねる。

「……まあ、いいでしょ。
　頑張ってみなさいな」
　リナは、素直に後ろに下がる。

（状況は、サリーが、圧縮情報を私達の頭脳に、
　強制的に、送り込んだから、良く分かっている。）

（問題は、敵軍の実力。ナーガを実験台にすれば、
　それが、すぐ分かるはず。）

（敵を倒すには、まず、味方からってね。）

　そんな事を考えている、リナ。
　何か間違えている様な気もする。

「それじゃ、行くわよ！

　メガ・ヴライマ！！」

　ナーガが、『魔法の呪文』を唱えると、
周囲の宇宙空間に存在する岩石が
一箇所に集まり、巨大な人型を形作る。

「あれは？　
　ゴーレム（魔法によって造られる疑似生命体）？」
　なのはが、目の前の現象に驚く。

「ほーっほっほっほ！

　やるのよ！　ゴーレム！！」
　高笑いしながら、岩の巨人に命令するナーガ。

『オオオオオ――――ン！！！』
　雄叫びを上げた巨大ゴーレムは、
ゆっくりと動き始め、――――

「ぷぎゅ！！」
　創造主であるナーガを、ぷちっと、踏み潰した。

　――――いや、実際には、
巨大ゴーレムの足と、小惑星の間に、ナーガが
挟まれて、潰されたのである。