緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「うー! 『間抜け』は、ひどいです、
シグナムっ!!」
頬を、プーと、膨らませて怒っている赤まどか。
(レッドだから、怒りっぽい性格なのか?)
シグナムは、心の中で、そんな事を考えた。
「こうなったら、本気で行きますよ!!」
再び、攻撃態勢をとる赤まどか。
今度は両手に、『さやかの剣』を持って、
二刀流に切り替えるつもりのようだ。
「そうだな!
そろそろ、遊びの時間は、終わりとしよう!
我が友も、やっと、合流してくれた事だしな!!」
「え?」
良く見ると、シグナムの肩に、
小さな人影が、腰掛けている。
「ま、まさか?!」
目を見開く赤まどか。
「アギト! マリアージュ事件の方は、
もう良いのか?」
シグナムが尋ねた。
「ああ!
マリアージュって言う生体兵器は、全滅。
真犯人も、ティアナが逮捕したぜ!」
そう答えるのは、シグナムの相棒である、
――融合騎(= ユニゾン・デバイス)である
アギトだった。
「だから、――皆も、大急ぎで応援に
駆けつけてくれた」
アギトが指差した方向から、――
「お久しぶりです、シグナム副隊長!」
元、機動六課、前線フォワード部隊の
スバル・ナカジマが大きな声で挨拶した。
「ティアナ・ランスター以下、
元、機動六課、前線フォワード部隊4名、
対まどか軍団作戦に、協力させて、いただきます!」
同じくティアナが、叫ぶ。
その後に、
キャロ・ル・ルシエ(召喚魔導師の少女)と、
エリオ・モンディアル
(槍型のデバイスを使う陸戦魔導師の少年)の
2人が、続く。
「シグナムさん!」
「副隊長!!」
「エリオ? キャロ?
お前達もか?!」
シグナムは、懐かしい顔に驚く。
「はい、管理局部隊が苦戦中と聞いて、
駆けつけました!」
エリオが答える。
「副隊長、指示をお願いします!」
ティアナが、シグナムに声をかける。
「私達は、良い!
他の魔導師部隊の援護をしてやってくれ!
だが、お前達は、本来は陸戦魔導師だ。
危ないと思ったら、無理せずに退却しろ!
いいな?!」
「はい! では、彼女達も、連れて行きます」
「彼女達?」
「元、ナンバーズの戦闘機人、平和の為、
戦い忘れた人の為、ただ今参上!」
そう言うのは、セイン、
ジェイル・スカリエッティが製作した
戦闘用サイボーグ(改造人間)の1人だ。
彼女達の中で、自分の罪を認め、
懸命に社会復帰を試みている者達は、
その一環として、時空管理局の仕事も手伝っていた。
「味方の戦力が足りないと、聞きました。
ならば、我々にも、是非協力させてください」
彼女は、チンク。
ナンバーズの面々から、『チンク姉(ねえ)』と
呼ばれる、戦闘機人達の、社会復帰組の中でも
リーダー格の女性だ。
チンクの背後には、
オットー・ディード・ウェンディ・ディエチ・
ノーヴェと、――ティアナ達、フォワード4名と、
チカラを合わせたならば、――
かなり大きな犯罪組織や、悪しき侵略を企てる
軍隊でさえ、尻尾を巻いて逃げ出しそうな、
強き者達が、集結していた。
「おお!
お前達もか。
これは、誠に心強い!
よろしく頼むぞ」
予想外の援軍の登場に喜ぶシグナム。
「「「はいっ! 全力全開で頑張りますっ!!!」」」
そう言うと、ティアナ達と、チンク達は、
苦戦中の味方の所へと、急ぎ直行した。
「――ってな訳だ!
高速次元艦をぶっ飛ばして、
急行した甲斐が有ったってもんさ!
誤算だったな、赤おんな!!」
アギトが、赤まどかを挑発する。
「く、くそっ!!」
赤まどかは、悔しがっているようだ。
「では、――行くか?
アギト!」
相棒に、語りかけるシグナム。
「おうっ!
ユニゾン・――インッ!!」
アギトが、シグナムの体の中に、
飛び込み、2人がユニゾン(融合)する。
シグナムの背中から、
オレンジ色の火の翼が飛び出る。
――彼女の、瞳は桜色に、
――そして、髪の毛は、淡い栗色に、
変色した。
「猛れ! 炎熱! 烈火刃!!」
シグナムの体内のアギトは、
両手に高熱の炎を宿し、――
元来炎熱変換の技能を持つシグナムと、
レヴァンティンに、高く強く燃え上がる火炎を
上乗せする。
シグナムの手の、レヴァンティンに
火炎が、まとい付き、その刀身を、
焦熱破壊の刃へと変える。
「ううっ! 皆、撃て、撃てっ!!!
撃ち倒せっ!!」
シグナムの変化の意味するところを、
感じ取ったのか、赤まどかは、狂ったように
叫び声をあげる。
彼女の命を受けたまどか軍団が、
マスケット銃を手にして、シグナムを
包囲した。
「この、土壇場で、飛び道具か?
見苦しいぞっ!」
「や、やかましいっ!!」
赤まどかが、余計に赤い顔をして怒る。
「レヴァンティン!――」
〔シュランゲ・フォーム!〕
レヴァンティンから、魔力カートリッジが、
1つ排出される。
シグナムと、アギトは、気合とともに、
右腕を、振り上げ、――高熱化して、火炎の魔力を
宿した、レヴァンティンの連結刃を振り回す!
――瞬時に、まどか軍団の前衛が、斬り裂かれ、
焼き尽くされる!
「「剣閃烈火!!」」
シグナムと、アギトが同時に叫ぶと、
2人の左手に、紅き炎が宿る。
「「火龍一閃!!!!!」」
シグナムの左手の火炎は、ビーム剣のように、
長く、鋭く伸びる!
シグナムと、アギトは、その巨大な、火炎剣を、
――テニスのバック・ハンドの様なフォームで、
――横に振り斬り、敵軍団を、横一文字に、
斬り裂いた!!!
まどか軍団の、『鹿目まどか』達は、瞬く間に、
焼き殺され、跡形も無く、蒸発していく。
そして、赤まどかも、――――
「くっ――そおおおおおお――!!!」
真っ赤な業火の中で、燃え上がり、
消滅していった。
◇ ◇ ◇
「ど、どうしてっ!
なぜ、この剣を使っても、壊せないの!!
私の想いが、足りないとでも、言うの?!」
ほむらは、その手にした、『ホープ・ソード』に
自分の魔力を目一杯に、充填して、――
『戦いの因果の糸』の破壊ポイントに、
何度も、何度も、斬撃を叩き込んでみたのだが、
それでも、『戦いの因果の糸』には、
傷1つ付いていなかった。
――そんな、ほむらや、マミ・杏子達を、
再びまどか軍団が、包囲して、攻撃を
加えようとしていた。
◇ ◇ ◇
「あれじゃ、袋叩きにされるっ!
もう、何をもたもたしてるのかな?!
ナーガ! 援護しに、行くよ!」
ほむら達の、窮地に気付いたリナが、――
ゴーレムに潰された状態から回復した、――
ナーガを呼んだ。
「え〜?!
めんどくさ――――」
全く乗り気で無いナーガ。
「ふ〜ん。 あんた、昨年、あたしにお金、
いくら借りてたっけ?」
リナの、底冷えするような冷たい視線に、――
「い、行きます、行きます!
行けば、良いんでしょ!
ああ、いえ、行かせてくださいっ!!」
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士