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「味方同士で固まってると、逆にこっちが、
狙い撃ちされる！
　皆、止まらずに、動いて！」

　ティアナが、全員に注意する。

「い、いけないっ！
　このままじゃ味方がっ！
　暁美さん、急いで！」

　マミが、ほむらを、急かす。

　ほむらに、残された時間は残り少ない。

「チャンスは、この、１回きり！」

　『希望の剣』を手にした、ほむらが、
『戦いの因果の糸』の『切れ目』に向かう。

「行っけー！　ほむらぁー！」

　杏子が叫ぶ。

「暁美さん！」

　マミも声を上げる。

「ほむらちゃん！」

「ほむら！！」

「ほむらちゃん！！」

　はやて・フェイト・なのはも、
応援するように、叫んだ。

「まどかぁぁぁ――――――――――！！！！！！」

　ほむらは『ホープ・ソード』を振り上げ、
『戦いの因果の糸』の『切れ目』に
全力全開の一撃を叩き込んだ。

　『戦いの因果の糸』は、一瞬その斬撃に耐えたが、
次の瞬間、不思議な七色の輝きを放ちながら、
崩壊していった。

◇　◇　◇

　ここは、はやてと、『鹿目まどか・ブラックＲＸ』の
ラスト・バトルが行われた月面。

　リーダー格まどか（　＝　軍団長）が、平らな砂地の上に、
寝かされており、その周りには、ほむら達、魔法少女と、
なのは達、管理局の魔導師達もいた。

「まどか？　まどか！

　もう苦しくないよね？！

　もうなんとも無いよね？

　『戦いの因果の糸』は、破壊できたんだから！」

　ほむらが、心配そうに、リーダー格まどかの顔を
覗き込む。

「うん。

　もう、ぜんぜん、苦しくない。

　私は、大丈夫だよ。

　ほむらちゃん」

　そう言う、まどかの表情は、とても穏やかで、
本当に、大丈夫そうに見える。

「そう……よかった」

　ほっと胸をなでおろし、安心するほむら。

「ありがとう、ほむらちゃん。

　苦しみから、救ってくれて、――

　戦いの運命から、解放してくれて、…………

　でも、――――ごめんね。

　もうすぐ、ほむらちゃんとは、
お別れしなくちゃ、いけないの」

「まどか？！

　それは、どう言う意味なの？！」

　まどかの、言葉に血相を変えるほむら。

◇　◇　◇

　――――月の、山の壁面に、凍り付けにされ、
その上、捕縛魔法を掛けられ身動き１つ
出来ずにいる――『鹿目まどか・ブラックＲＸ』が、
はやてに、話しかける。

「あの、八神はやてさん？」

「ん、何や？」

「もう戦いは、終わりました。

　抵抗したりしませんから、私を、
自由にしてくれませんか？

　せめて最後に、軍団長に、挨拶を
したいのです」

「…………まあ、いいやろ。

　今の、あんたの目からは、敵意も、殺意も、
感じられんし」

　そう言って、凍結魔法と、捕縛魔法を、
解除してやる、はやて。

「ありがとうございます」
　黒まどかは、はやてに、礼を言うと、
横になっているリーダー格まどかの所へ
歩いていった。

「『因果の糸』を、破壊……か。

　原理的には、『消滅魔法』と、同じやな。

　…………と、すると、あの子らは、もうすぐ……

　ん？」

　はやては、月面に降下してくる、シャマルを見つけた。

　ヴィータと、ザフィーラも一緒である。

　彼らは、バインド魔法（捕縛魔法の一種。
光るロープにも見える）で、グルグル巻きにされた
青まどか・銀まどか・黄色まどかを連行していた。

「皆、ご苦労やったな。

　ん？　どないしたんや、ザフィーラ？

　何や、えらい、具合悪そうやな？」

　はやては、心配して、ザフィーラに尋ねる。

「は、はい。

　治癒魔法を、かけてもらって、体の怪我は、
もう、治ったのですが、頭痛がひどく、
なかなか、治まりません。

　それに、途中までは、憶えているのですが、
なぜか、戦闘中の記憶が、一部欠けています」

　青い顔（？）で、自分の頭をしきりと、
さすっているザフィーラ。

　そして、妙な事に、縛られている３人のまどか達が、
明らかに、ザフィーラを、恐怖の眼差しで、見ており、
さらに、小さく震えている。

「どう言う事や？

　ヴィータは、何が有ったのか、知らんか？」
　
　理由が、気になるはやてが、
ヴィータに質問してみたが、――

「え？！　あ、あ、あはは。

　い、いや、そのー。

　あたしには、さっぱりー」

　ヴィータの返事は、答えになっておらず、
全然、要領を得ない。

「シャマルは、事情を知らんか？」

「え？　わ、私？

　うふ。

　あはは。

　あははははははっ。

　私は、な――んにも、知りませんよ――！

　うふふふふふふふふふふふふふふ。

　オ――ッホッホッホッホッホッホ！！」

　突然、高笑いを始めたシャマル。

「シャ、シャマル？」

　シャマルの様子に、驚くはやて。

　――そして、高笑いと、言えば！！！

「あら？

　そこの、あなた？

　なかなか、素敵な、高笑いを、披露してくれるわね？

　しかし、ながら！

　この、サーペントのナーガには、遠く及ばないわ！！

　ほ――っほっほっほっほ！！」

　いきなり、やって来て、シャマルに挑戦するかのように、
高笑いを、始めた、ナーガ。

「ちょこざいなっ！

　あなたなんて、古代ベルカ時代から、
高笑いの女王と呼ばれた、このシャマルの
敵では無いわよっ！！

　オ――ッホッホッホッホ！！」

　高笑いを、競い合う、変な女、２人。

「ほ――――っほっほっほっほっほっほ！！！」

「オ――――ッホッホッホッホッホッホ！！！」

「ほ――――――っほっほっほっほっほっほっほっほ！！！！」

「オ――――――ッホッホッホッホッホッホッホッホ！！！！」

　延々と、高笑い対決を続けるナーガと、シャマル。

「あ、あかん！
　
　シャマルが、壊れてしもうた。

　ヴィータ！

　ウチ、ちょっと、確かめたい事があるから、
ここを、頼むわー」

　そう、言って、急ぎ足で、ほむら達の方向へ、
行ってしまう、はやて。

「ええー！

　ど、どうすりゃ、いいんだよ？

　あたしは？」

「ほ――――――――――――っほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ！！！！」

「オ――――――――――――ッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ！！！！」

「ほ――――――――――――――っほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほっほ！！！！！！！」

「オ――――――――――――――ッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ！！！！！！！」

　いまだに、ナーガと、シャマルの、バカ笑い合戦は、終わりそうに無かった。

　途方に暮れるヴィータが、宇宙空間を見上げる。

　ちょうど、そこに、ワープ・アウトしてきた
レティ提督の『次元戦艦ビッグ・タイガー』が、
その巨体を出現させた。