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緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話

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 だが、はやては、肩をすかしてみせた。

「半分正解、半分間違いやね。

 確かに、なのはちゃんの、推測通りの
部分は確かに有る。
 そやけど、まどかちゃん達が、
魔導のチカラを何に使うかは、
彼女ら、自身が決める事や。
 彼女ら全員、嘱託魔導師、扱いやし。

 今後は、ほぼ全員が、元の世界に
もどってまた、『魔獣退治』を続行するやろうしな。

 もし、こちらが、『魔導殺し』がらみで、
危機的な状況になれば、正式な方法で、
援護要請は、するやろけど、それも、強制やない。

 助けてやったから、言う事聞け、
言うんやったら、そこらのギャングと変わらん。
 今の管理局は、そこまで、『まだ』
腐ってへん、と思うよ」

 はやては、自分の推測を交えて説明した。

「まあ、その時になってみないと、
分からない事もあるか」

「そんなところや。
 もし、なのはちゃんの、心配しとる通りに、
なった場合は、ウチらで、しっかり、
まどかちゃん達を守ってあげれば、ええ」

「うん、そうだね。

 フェイトちゃんの、助っ人探しも、
うまく行けばいいんだけど」

「しかし、いくら、『魔導殺し』に、
魔法が効かんからって、他の次元世界にまで、
行って、人材探し言うてもなあ」

「まあ、今日中には、フェイトちゃん、
一度、こっちに戻る筈だし。
 計画してる模擬戦に間に合うかは、
微妙だけど」

「まあた、いきなし、抜き打ち模擬戦か?
 皆に嫌われてまうで、ほんま」

「嫌ってくれて、それで皆が強くなってくれるなら、
私は、それで本望なんだよ。

 それに、今日は『四天王』の予定もばっちり、
だったし、こんなに良いタイミングは、無いよ」

 2人の内緒話をよそに、まどかの答辞は、続く。

「…………私達は、戦闘技術、以外でも
大切な事をたくさん、教わりました。

 誰かを守る為に、戦いたいのなら、
想いだけでも、チカラだけでも、駄目なのだ、
と言う事。――――

 チカラだけだと、無関係な人や、無力な命を傷つける
暴力に成りかねない。

 想いだけでは、誰も守れず、何も望めない。

 必要なのは、正しき想い、そして、――――

 守るべき者を、守れるチカラ、

 救うべき命を、救えるチカラ、

 絶望的な状況に立ち向かっていけるチカラなのだ、

 ――と言う教えは、決して忘れません」

 まどかの答辞の最中、今度は、はやてが、
なのはに、小声で、話しかけた。

「なのはちゃん、、……」

「うん?」

「ウチな、初代リインフォースが、何故、
まどかちゃんと、さやかちゃんの為に、向こうの次元に、
残ったんか、分かるような気がするねん」

「…………」

「なんも、むずかしい理由やなかった。

 あの子らが、えらく、ええ子やから。
 ただ、それだけ、なんやって」

「そうだね。誰だってそう思うよ。

 どうするかは、その人、次第だけど」

 ――そうこうするうちに、
まどかの、答辞は終わりを迎えていた。

「……この4ヵ月、みんなとともに、過ごせて、
本当によかったです。

 ありがとうございました!

 卒業生代表、鹿目まどか!」

 会場全体から、拍手と歓声が、沸き起こる。

 顔を赤らめながら、自分の席に戻るまどか。

「はあっ! き、緊張した――!」

 まどかは、自分の額の汗をハンカチで、ふき取った。

「すばらしい答辞だったわ、――まどか」

 まどかの隣に座っているほむらが、声をかける。

 ほむらも、まどかと同じく、
時空管理局の制服を着ていた。

「えへへっ。ありがとう、ほむらちゃん。

 実は、話のほとんどは、――マミさんに頼んで、
考えてもらったんだけどね」

 自分の頭を、自分で小突きながら、
『ペロッ』と舌を出すまどか。

「そうなの?

 私にも、相談してくれれば、良かったのに」

 少し、寂しい気持ちになるほむら。

 本当は、自分に頼って欲しかったのだ。

「ああ! あ、あのね、……

 ほむらちゃんは、魔導デバイスの最終調整で、
忙しかったから、時間を取ったら悪いと思って」

 ほむらの表情に気付いたまどかは、
慌てて、弁解した。

「別に良いのに、――

 『ウリエル』は、思ったより早く、仕上がったのよ。

 マリエル技術官が、頑張ってくれたから、……」

 そう言って、ほむらは、とても綺麗な、指輪を、
まどかに、見せる。

 美しい紫色で、ひし形の宝石が、光っていた。

 それが、AI(人工知能)ユニットらしい。

〔ハロー! レイディ!〕

「はじめまして! 

 あたし、鹿目まどか!

 よろしくね、ウリエル!」

〔サンキュー!〕

「まだ、教育中だけど、とても良い子よ」

「ラファエル! 挨拶して」

 まどかは、自分のブレスレットを、ほむらと、
ウリエルに見せた。

 ブレスレットには、サンゴのアクセサリーにも見える、
ピンク色の球体が付いている。

 これが、ラファエルのAI(人工知能)ユニットのようだ。

〔ビギン イット ,アンド マイ セイム カインド〕
(はじめまして、我が同類よ)

「うーん、ちょっと、まだ表現が硬いかなー」

 まどかは、ラファエルの話し方が気になるようだ。

〔アイム ソーリー マイ マスター〕
(すいません、我が主人)

「まあ、あせらずに、じっくり、育てていきましょう。

 マリエル技術官も言ってたけど、
この子達は、単なる機械じゃない。

 心と、命があって、使い手との間に、
信頼感が育っていく事で、私達、魔導師のチカラを、
100パーセント以上に増幅してくれる、
大切なパートナーよ」

 ほむらが、ここで勉強した大切な事を、
再確認する。

「うん、――これからも、よろしくね」

 まどかは、『生きているデバイス達』に、挨拶しながら、
この2年間の出来事を、思い出していた。

 ――現実は、映画や小説ほど、
やさしくは、無かった。

 第137管理外世界、のちに『マギカ宇宙』と呼ばれる、
まどか達の世界では、――まどか自身によって行われた、
『宇宙のルールの書き換え』によって、鹿目まどかは、
人々の記憶からも、宇宙の歴史からも、抹消され、――
『本来、存在していなかった人間』となっていた。

 2年前、まどかが、この世界に帰ってきて、
時空管理局と、魔法少女連合会が、まずやったのは、
『鹿目まどか』の個人情報の捏造だったのだ。

 もちろん、それは、違法行為である。
 だが、自己を犠牲にして、全ての魔法少女を救おうとした、
1人の少女が、これから幸せな生活を始める為と思えば、
それが『悪い行い』だとは誰も思わなかった。

 そして、衣食住に必要な、様々な事柄。――

 暁美ほむらは、大慌てで、まどかと、
2人で暮らせるように、自宅を大改造した。

 その改造工事が、終了するまでは、まどかは、
巴マミの住むマンションの部屋と、佐倉杏子のいる
ホテルの一室を、往復する毎日だった。

 そして、まどかが、暁美ほむらとの、共同生活に
なんとか、慣れた頃、まどかは、ひそかに、
自分の家族がどうしているのか、見に行った事が、ある。