緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「くっ! ディバイーン・バスタ――――ッ!!」
スバルは、右腕の格闘用デバイス=
リボルバー・ナックルから、
一撃必倒の砲撃を撃つが、――
「時間流、制御、――タキオン・ドライブッ!」
〔タキオン・ドライブ!〕
ほむらの、左腕の菱形シールド=ウリエル、
の宝石が光ると、ほむらの姿が忽然と消えた。
ほむらの居た場所を通過していく、
スバルの、砲撃魔法ディバイン・バスター。
「き、消えたっ?! どこへ?!」
敵の居場所を捜すスバル。
ほむらは、すでに、スバルの背後に、回り込んでいた。
しかし、超高速で、動くほむらは、
戦闘機人の目でも追い切れない。
ほむらは、『魔導師として、
獲得した特殊能力(レア・スキル)』を使い、――
魔力エネルギーを、超光速粒子タキオンに変換し、――
その特性によって、相対的、加速状態を可能としたのだ。
ウリエルは、その持続時間や、エネルギー変換を
サポートしているだけだ。
この状態では、他の人や、機械の動きが、
ゆっくりとした、スローモーションになって見える。
超加速状態のまま、必殺技を発動するほむら。
「タキオン・インパクト!」
超光速粒子タキオンが、物理的な破壊エネルギーへと、
変換されて、ほむらの足の、特殊アーマーへ、
充填される。
〔ワン! ―― ツー! ―― スリー!〕
ほむらが、ウリエルの安全装置を解除していくと、
ウリエルが、解除レベルを伝える。
そして、ほむらは、最後に、ウリエルの
〔タキオン・インパクト〕発動スイッチを入れる。
〔タキオン・インパクト!〕
「はああああああああ――――ッ!!!!!!」
足のアーマーに、エネルギーの満ちた
ほむらは、思い切り、強烈な、回し蹴りを、――
制御された、時間流の中で、動きのスローな、――
スバルに、容赦なく、叩き込んだ。
「ぐふっ?!」
見えない相手に、突如、背後から蹴り飛ばされた、
スバルは、そのまま、意識を失った。
◇ ◇ ◇
☆『魔導師養成訓練』卒業式後の、模擬戦に関するレポート
発案者 高町 なのは
監督責任者 高町 なのは
《 戦闘結果報告 》
――――――――――――――――――――――――――――
〔 戦闘時間 30分 〕
△ 佐倉杏子 vs. エリオ・モンディアル
両者、健闘したが、 ――時間切れ、引き分け
△ 鹿目まどか vs. キャロ・ル・ルシエ
両者、決め手に欠け、 ――時間切れ、引き分け
× 巴マミ vs. ティアナ・ランスター
マミは、善戦するも、ティアナの、
フェイク・シルエットに敗れる
○ 暁美ほむら vs. スバル・ナカジマ
タキオン・ドライブと、タキオン・インパクトで、
ほむらの、勝利(ほむら、右足を複雑骨折)
《 チーム戦としては、『引き分け』の結果と言える 》
( 結果の、○×は、まどかサイドを基準とした )
――――――――――――――――――――――――――――
「ヴィータ、――戦技教導官として、お前は、
この模擬戦の内容を、どう思う?」
シグナムが、ヴィータに質問する。
「うーん。
細かい問題点は、いろいろ有るんだけど、――
ほむ・まど組は、わざと、一対一の状況を作ろうとして、
それに、ティアナ達が、うまく乗せられて、――
そんな流れだったよな。
結果としては、全員よくやった、と思うんだけどなあ?」
ヴィータは、首を捻っていた。
「やはり、そう思うか。
しかし、――」
シグナムは、監督責任者であるなのはを、見つめた。
「ああ、問題は、――なのはが、
何故、怒っているのかって事だ」
ヴィータの言う通り、あの『高町なのは』は、ご立腹である。
だが、誰にもその理由が、分からなかった。
なのはが、――鹿目まどかに近づいた。
「まどかちゃん。
どうして、あなたは、――」
なのはが、まどかに何か言おうと、した時、――――
「納得できねえ――――!!!!!」
杏子の怒鳴り声が聞こえてきた、――――
「???」
杏子のあまりに、大きい声に、
なのはも、驚いて、会話を中止してしまった。
「何よ! あなた、エリオ君に、何か文句でもある訳?!」
その杏子に、逆に噛み付いているのは、ティアナだった。
「あたしは、別に、エリオに文句が、有る訳じゃねえよっ!」
つばを、飛ばしそうな、勢いで、反論する杏子。
「じゃあ、一体何が納得出来ないって、言うのよ?!」
ティアナも、また怒鳴り声で、聞き返す。
「あたしが、文句言いてえのは、あんただ、あんた!!」
「あたし?!」
「そうだ! あたしは、あんたが、
幻術魔法を使うなんて知らなかった!
知ってたら、マミじゃなく、
あたしが、あんたの相手をしたのに!」
杏子は、自分が相手をしてたら、
負ける事は、無かったと、言いたいらしい。
「ナンセンスね」
杏子の言い分を、鼻で笑う、ティアナ。
「ああん?!」
「あなた達は、『魔獣』とか言う、モンスターを
相手にしていたらしいけど、私達、時空管理局の魔導師の
相手は、ほとんどが、犯罪者よ。
汚い手しか、使ってこないような敵が、
最初から自分の能力を教えてくれるなんて
実戦である訳ないじゃない!」
正論を杏子にぶつけるティアナ。
「そんな事は、言われなくても、分かってんだよ!」
だが、尚も、主張を曲げない杏子。
「だから、あんたの方が、言ってる事が正しいって事は、
あたしにだって、分かるさ!
けどな、こう言うのは、理屈じゃねえ!
気持ち的に、納得出来ねえって言ってんだ!」
「じゃあ、どうしろと、言うのよ?!」
「もう一度あたしと、勝負しやがれ!」
「?!」
「もう一度、模擬戦やれって事だ!
今度は、あたしと、あんたの、一騎打ちでな!
ファントム 対 フェイク、の戦いって事さ!」
「…………いいわ。その勝負、受けて立とうじゃないの!」
「ティ、ティアさん?」
その場にいるエリオが驚いた。
(『ティア』は、『ティアナ』の愛称)
「このところ、大した事件がないから、
体がなまっていたし、同じタイプの魔法を使う相手との戦いは、
あたしも、今まで経験した事がないから、良い機会だと思うわ」
「へえ? そこの、ところは、あたしも、
同感だぜ」
「…………あなた、ひょっとして、
本音は、そっちなんじゃないの?
良く似た魔法の使い手と試合したいって言う、――――」
「どうだかな?
なんか、自分でも、どっちが、大事な理由だったか、
分かんなくなっちまったよ」
「変な人ね」
「良く言われるぜ。
それで、試合と言うか、模擬戦は、いつやる?
あたしは、別に今からだって構わないぜ」
「あたしも、大して疲れてないし、――」
2人は、すぐにでも、やりたそうだが、――
「だめよ、――今すぐは、さすがに許可できないわ」
2人に釘を刺すのは、高町なのはだった。
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士