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緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話

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 ティアナを、4本の槍が、突き刺した、
ように、見えたが、そのティアナは、
やはり『幻術魔法』によるシルエット
だったのだ。

「単純なのよ!

 あんたはっ!!

 ファントムブレイザー!!!」

 死角にいたティアナの
銃型デバイスから、撃ち出された、
茜色の砲弾が、本体の、
杏子の体に…………

 ――直撃したように、見えた。

 だが、ティアナの、砲弾は、
杏子の体をすり抜けてしまう。

 その、杏子の体は、透明になり、
消え去った。

「後ろ?!」

 ティアナは、背後にいた、
本物の杏子を見た。

「なるほどね。

 あんたも、あたしと、同じことが
出来る」

 ティアナは、そう言うが、――

「全部、同じと言うわけでもないぜ」

「?!」

「実は、さっきの技は、いわゆる、
ウォーミング・アップ、練習みたいな
ものさ。

 本番は、これからなんだよ」

「なんですって?」 

「……なんか悪役っぽい技なんで、こいつを、
使うのは、イヤだったんだが、――

 あんたが、悪いんだぜ!

 あたしを、本気にさせたから!!」

 杏子の目が、『ギラリ』と光る。

「う?!」

 杏子のプレッシャーに気圧されるティアナ。

「ファントム・ワールド!!!」

 杏子の声とともに、再び、彼女の体が4つに増えた。

 しかも、4人の杏子は、何故か、全員が、
体操服姿だった。

 ――白シャツに、伝説の『ちょうちん・ブルマー』!

 紺色のブルマをはいている4人の杏子が、
ティアナを中心に、丸く、陣を描く。

「な、何をやる気なの?!」
 ティアナは、警戒するが、技の内容が、見当付かない。

 すると、――
「いっくわよ――!」

 やけに、明るい平和な声を出す、杏子の1人。

 見ると、なにやら、赤いボールを手に、持っている。

「そーれっ!」 「レシーブ!」 「トス!」

 杏子達は、なんだか楽しそうに、
その赤いボールをバレーボールの要領で、
次々にパスしていく。

 そして、最後に、――

「アタ――――クッ!!」

 他の杏子が、高く跳ね上げた、――赤いボールを、
最後の杏子が、ジャンプして、手で叩き落し、――
ティアナの方へ、弾き飛ばした!

「?!」

 ティアナは、一瞬、躊躇した。

 赤いボールの正体が分からなかったからだ。

 とっさに、ボールをかわすティアナ。

 しかし、――

 ―― パ――ンッ!! ――

 「きゃ?!」

 空中で、赤いボールが破裂し、
そこに生じた、強い赤色の光が、ティアナを包みこむ。
 
 ―― そして、――

◇ ◇ ◇

 ―― ガバッ! ――

 跳ね起きる、ティアナ。

「こ、ここは、どこ?!

 私は、誰?!

 ――って、あたしは、ティアナ・ランスターに、
決まってるじゃない!

 しっかり、しなさい、あたし!

 あたしは、…………

 あたし?

 そうだ!

 あたしは、模擬戦をやってて、その相手は、
佐倉杏子!

 それで、…………ここは、って?

 ええええええ――――ッ?!」

 ティアナは、自分の目が、信じられなかった。

 ――と言うより、自分の五感が捉える全てが、
信じられなかった。

「ど、どこよ、ここ――――ッ?!」

 ティアナが、現在いるのは、猛吹雪が荒れ狂う、
雪原の様な所だった。

「さ、寒いっ?! ど、どうなっているの?」

 ティアナは、叫びながらも、周囲を、
見回してみた。

 吹雪によって、見通しが、すごく悪いが、
遠くには、かすかな輪郭から、
雪山が有るように、思える。

 周囲には、雪が、積もって、真っ白になった、
森林が広がっていた。

「お、落ち着いて!
 落ち着くのよ、ティアナ!」

 ティアナは、自分に言い聞かせるように、
大声を出す。

「今の今まで、あたしは、ミッドチルダにいた。
 そして、この景色。

 さらに、模擬戦の相手、佐倉杏子は、
眩惑魔法と幻覚魔法の使い手だった!

 と、言う事は、――こ、これは!

 し、しまったぁ!!」

 自分が、完全に、敵の術中に落ちている事に気付いた、
ティアナは、悔しがる。

「杏子? 杏子! どこにいるの? 出てきなさい!」

 だが、ティアナの言葉に、返事はなかった。

「うかつ、だった。
 あの赤いボール、――あれが、幻覚魔法のいわば、
発動キーだったに違いない。

 いえ、もしかすると、杏子が、変な恰好で、
分身した時から、もう、幻覚魔法を、発動していたのかも?

 しかし、これは、――

 この世界、全てが、魔法による幻、
『ファントム』なの?」

 ティアナは、驚いていた。

 杏子の魔法は、自分の使う、『幻術魔法』に
良く似た魔法だろうと、漠然とそう思っていた。

 しかし、――

「あたしの『フェイク・シルエット』は、人間の姿や、
車両サイズまでの大きさの、物体の、幻影を、
魔法で作り出し、それを本物のように、
動かして錯覚させる魔法。

 だけど、杏子のこれは、魔法の質が、根本的に違う!

 恐らく、対象者の五感に直接干渉して、
幻覚を引き起こす術なんだわ!」

 相手の、能力を推測するティアナ。

 だが、それが分かっても、杏子の魔法を、
打ち破る方法が、分からなければ、
どうしようもない。

「と、とにかく、動かないと!

 相手の居場所も分からないままで、
止まっていたら、攻撃される!」

 そう、言って、吹雪の中を、歩き出す、ティアナ。

 しかし、一歩、歩くごとに足が、
深い雪の中に、沈み込む。

 足を上げて、前に進めば、進むほど、
足に雪がくっついて重くなる。

 そして、靴の中に入り込んだ雪が、
ティアナの体温で解けて、水となり、
靴の内側を、ぐっしょりと、濡らす。

 その、水が、また凍り付いて、
氷となり、足にへばりつく。

 ティアナは、体の筋肉が寒さで痛くなり、
段々と足先の感覚が無くなっていくのを感じた。

 もう、何分歩いただろう?

「誰か、――誰か、いないの?!」

 大きな声で叫ぶティアナ。

 すると、――

「ウ――――ッ」

 なにか、獣のような、うなり声が、聞こえた。

「? 何? 何かいる?!」

 クロスミラージュを手にして、
警戒するティアナ。

 だが、さらに、強くなる吹雪が、
ティアナの視界を遮る。

 風は、冷たく、身を切るような寒さ。

 この体が、感じる全てが、幻覚とは、
いまだに、信じられなかった。

 口を開くと、冷たい雪が口の中に飛び込んで来る!

 大体、ティアナの装着しているバリアジャケットは、
熱さも寒さも、その保護バリアーで、遮断してくれる
はずなのだ。

 それなのに、耐えられない程の寒さを感じるとは、
やはり五感が、魔法で狂わされているとしか、
思えなかった。

「な、何も、見えない!

 ク、クロスミラージュ?」

 ティアナは、相棒のデバイスに声をかけるが、
彼のAI(人工知能)は、だんまりを続けて、
何も言ってはくれない。

「本当は、反応しているのに、あたしの感覚が、
狂わされているの? それとも?」