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緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話

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 また、薬物以外にも、『自我』を
弱めたり、コントロールするモノがある。

 その1つが、テレパシーと呼ばれる
いわゆる『超能力』のたぐいである。

 旧ロシア時代、つまり今のロシアが、
まだソビエト連邦だった時、ソビエトの権力者
スターリンに認められた超能力者に、
ヴォルフ・メッシングと言う人物がいた。
(彼の名前を、ウルフと表記している本や資料が
有るが、ウルフは、英語読み)

 彼は、強力なテレパシー暗示によって、
他人の五感を操り、自分を別の人間に見せたり、
単なる紙切れを、大金に換金可能な、小切手に
見せる事も、出来た、と言う記録が残っている。

(前述の2つの例は、実際に行われた、
スターリンによる能力テストである。
このテストをクリアした、ヴォルフは、
スターリンによって、――国家にとって、
大切な人物だと、認められ、
ソ連領内なら、どこでも行ける許可証を
もらった、と言う資料が存在する)

 そして、『超能力』以外の、もうひとつが
『魔法のチカラ』である。

 ティアナも、強い催眠状態の中で、
『私は、怪我をした』と言う暗示を受け、
彼女の体が反応したのだ、とすれば、――

「この世界で、もっと、
ひどい怪我をしたら?

 いえ、もしも、死んだりしたら?」

 ティアナは、最悪の結果をイメージして、
身震いした。

 しかし、これは、あくまで、
模擬戦である。

 あの佐倉杏子が、そこまでするだろうか。

 そんな事をティアナが、考えていると、――

「ランスターさん?

 腕の怪我も手当てしないといけないし、
なんだか、顔色も悪いわよ。

 保健室に行ってらっしゃい!」
 
 担任の、早乙女先生が、そうティアナに
言ってくれた。

「あ、はい。
 行って来ます」

 席を立つティアナ。

「あ。
 私、保健係だから、一緒に行きます」

 そう言って、同じく席を立つ『鹿目まどか』。

「いいわよ、鹿目さん。

 あたし、1人で行けるから」

 そう言って、すばやく、生徒手帳で、
保健室の位置を確認するティアナ。

「大丈夫?

 ランスターさん?」
 心配そうな、まどか。

「ええ。
 ちょっと1人に、なりたいから」
 そう行って、教室を出るティアナ。

「では、――今日は、皆さんに大事なお話があります。
 心して聞くように!
 ハムエッグに、かけるのは、――」

 ティアナは、早乙女先生の、良く分からないお話を、
背中に浴びながら、廊下を急ぐ。

(対策を練るにも、1人にならないと、
落ち着いて、考えられないわ。
 幸い、こう言う状況なら、怪物は、ともかく、
猛獣とか、怪魚は、ないでしょ)

 そう考えながら、保健室へと、向かうティアナ。

 そして、保健室のドアを開けると、――

「よう!」

「?!」

 そこには、――体長20センチぐらいの、
小さな『佐倉 杏子』がいた。

 何故か、赤いバニーガールの服を着て、
保険医用の机の上に立って、腕組みをしている。

「杏子?!」

「だいぶ、まいってるみてえだな?」

「この!」

 制服の内側ポケットから、カード形態の
クロスミラージュを抜き、すばやく銃タイプに変形させて、
チビ杏子の額に突きつける、ティアナ。

「無駄だ、無駄無駄!

 前の世界でも、撃てなかっただろ?

 それに、この姿は、単なる虚像だよ」

 眼前から、ティアナの銃口をどかして、
偉そうに、胸をそらす、チビ杏子。

「それで、――どうよ、ティアナ。

 この世界は?」

「なんなのよ、これは?!」

「これが、あたしの世界、――ファントム・ワールドさ」

「……まさかと、思ったけど、やはり、
あんたが、この世界を、魔法で創ったって訳ね。

 眩惑なのか、幻覚なのかは、分からないけど、
対象者の五感を支配する、魔法能力」

「ご名答!

 それで、――どうするよ?」

「『どうする』って、何を?」

「あんたが、『参りました』って、言って、
負けを認めるんなら、この魔法を解くぜ。

 どうする?」

「お断りよ」

「へぇ?」

「なのはさんは、いつも、言ってた。

 これさえ有れば、絶対無敵と言う、
完全な戦法など、有り得ない。

 必ず、攻略法は、存在するってね!」

「ほほう!
 
 おもしれえ!

 この、杏子様の『ファントム・ワールド』!

 破れるもんなら、破ってみな!」

「言われなくても!」

「とは、言え、『悪夢』ばっかりでも、
つまんねえな」

「え?」

「このまま、現在の状況を進めて、あたし達の
『魔法少女の物語』を、あんたに見せてやっても
いいんだけど、それも結構面倒だし、
まどか達の、プライバシーもあるしな。

 てな、訳で、そろそろ
『ナイトメア・シフト』は、終了だ。

 『ハッピィ・ライフ・シフト』で、
良い夢、見るんだな!」

「な?!」

 今まで、普通に見えていた、目の前の、
世界が歪んで、ボロボロに崩れていく。

 まるで、ゲーム稼動中のゲーム・マシンが、
異常を起こしているようだ。

「次は、一体何?」

「へへっ!

 幸せな夢なら、ずっと見ていたい、
 ――人間なら、誰しも、そう考えるもんさ。

 誰も、その誘惑には、勝てないぜ!」

 杏子が、そう言うと、世界が暗転した。

◇ ◇ ◇

「えっ?

 こ、ここは?」

 ティアナは、自分が、夕方の、どこかの街角に
立っている事に気付いた。

 警戒しつつ、周囲を見回してみる。

「この景色、……どこかで見たような?」

 さらに、良く見ると、遠方まで、
町並みが続いている。

「まさか、ここはミッドチルダ?

 でも、この町は?

 この場所は?

 何か、懐かしさが有る?」

 首を捻るティアナ。

 ふと、おかしな、事に気がついた。

 ティアナの近くを、買い物や用事で、
先を急ぐ、人々が、道を歩き、或いは、
走っていく。

 その人達の誰もが、ティアナより、
一回り、いや、二回り以上身長が、
高く見える。

「ええっ?

 ま、まさか?」

 ティアナは、自分自身の体を、
良く見てみた。

 身に着けていたのは、バリアジャケットでも、
中学生の制服でもない、彼女の髪の色に、
似た薄い茜色のシャツと、紺色のミニスカート。

 足には、サンダルを履いている。

 どうみても、一般人の普段着だった。

 そして、周囲の人たちより、
かなり小さな、身長と、――子供の胸。

「10歳ぐらい?

 でも、どうして?」

 ティアナは、深呼吸をして、
気持ちを落ち着かせてから、もう一度、周囲の景色を、
良く観察してみた。

「そうか!

 見覚えが有るはずだ!

 ここは、あたしと、――ティーダ兄さんが、
一緒に暮らしていた町だ!」

 ティアナが忘れるはずもない、
唯一の家族。

 ――ティアナは、両親を早くに無くし、
そのため、親代わりとなった、
兄のティーダによって育てられた。

 しかし、ミッド首都航空隊の、魔導師であった
兄は、逃亡中の犯罪者を追跡中、逆にその
犯罪者によって、殺害され、殉職した。

 まだ、ティアナが10歳の時の事である。