緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「ご明察! はーい、みんなの守護天使、
さやかちゃんでーす!」
「って、おい!」
「あはははははは! 驚いた?
『こっち』から、ずっと、模擬戦の様子は、見えてたから!」
「そうか! まどかの言ってた、事、――
やっぱ、本当だったんだな、――
あたし達の事、ずっと、見守ってて、
くれたんだな」
「当然だよ。だって大切な友達で、仲間だから。
そうでしょ、杏子?」
頭の中に、響く友の声。
杏子は、それを、聞いている内に、
体中に、チカラがみなぎってくるのを感じる。
「そうだな。さやかの、言う通りだ」
「それで、どうするの?
このまま、負けてもいいの?」
「………………気が変わったぜ!
まだだ。
まだ、あたしは、負けてねえ!」
「もし、良ければ、あたしも、少しは、
チカラを貸してあげるけど」
「あー、いや。
それは、――やめとくわ。
さすがに、それは、フェアじゃねえ。
あいつに、――ティアナに悪いからな」
「…………うん!
その方が、杏子らしいや」
「それじゃ、ちゃんと、見てろよ!
さやか!」
「うん!
ちゃんと、見てるから、――
ずっと、……
ずっと、見てるから!
ずっと、みんなを、見守っているから、……」
「ああ!」
――――――――
「ねえ、シグナム」
シャマルが、口を開く。
「何だ? ―― シャマル」
質問で、返すシグナム。
「そろそろ、杏子ちゃんを、助けに行かないと
まずいんじゃない?」
「何を言っている? 魔力反応を良く探ってみろ」
「え? ああっ?」
驚く、シャマル。
「……出てくる!」
なのはが、叫んだ。
湖の水面が、渦を巻いた直後、水中から何かが、
飛び出した。
飛び出した、何かは、空中で弧を描き、
荒野の真ん中に、着地した。
それは、新人魔導師――佐倉杏子であった。
「杏子ちゃん!」
「佐倉さん! 無事だったのね! よかった!」
まどかと、マミが、手を取り合って、喜ぶ。
「相変わらず、タフな子ね。
でも、あたしにも、負けられない、
理由が、有るのよ!」
ティアナは、そう言うと、杏子を睨みつけた。
「それは、――はぁ、はぁ、はぁ――
こ、こっちも、一緒なんだよ!」
足元がおぼつかない杏子も、そう言って、
ティアナを睨む。
「とは、言っても、――」
「全力の一撃は、……」
「あと、―― 一回が、限界……」
「これ以上は、魔力と体力と、……」
「それに、精神力が、」
「もちそうに無い!」
「お互いにな!」
苦しそうに、笑う杏子。
「へへへ、……
受けてみろ、……これが、あたしの、新奥義!」
杏子が、全身にチカラを入れた後、
突如脱力した。
「な、何を?」
ティアナは、訝しい顔で、考える。
(――杏子には、まだ隠し玉が有るの?)
「ドラゴニック・オーラ!!!」
―― ド ン ッッ ッ !!!! ――
杏子の体から、強い魔力とともに、
金色の『闘気』が、立ち昇る。
「わ、分からん!
ここまで、来ると、ウチもう訳分からんわ!」
目を回している、はやて。
「あれは、『闘気』?!
魔力だけじゃなく、大地の『気』のチカラを
応用した格闘術みたいだね」
なのはが、事も無げに、解説する。
「ホント、どこで、誰に、――何、習ったんだ?
あいつ等は?」
ヴィータも、首を傾げる。
「くっ? こ、こいつ!
クロスミラージュ!
もう一度行くわよ!」
〔ロードカートリッジ!〕
ティアナの意志に反応して、クロスミラージュが、
魔力カートリッジを3発、ロードする。
「ま、まさか、スターライト・ブレイカー、
2発目?」
目が点になるシャマル。
「さ、さすがに、無茶だよ!
ティア!」
スバルが、親友を心配して、叫ぶ。
だが、ティアナは、発動準備を進めた。
彼女が持つクロスミラージュの銃口に、
茜色の光が、集まっていく。
「そう来ないと、おもしろく、ないぜ!」
杏子は、歯をむいて、笑っていた。
杏子は、体の、わき腹の、辺りで、――
何か両手で、玉の様なモノをつかむような、
動きと、姿勢を取る。
すると、彼女の両手の間に、
白い小さな光の玉が、出現した。
「なんや、あの光の玉は?」
思わず、はやてが、なのはに尋ねた。
「魔力だけじゃなく、『闘気』を実体化させてる!
たぶん、『仙道気功法』を魔法技術にミックスして、――」
なのは、は真面目に答えるが、――
見学者のほぼ全員の頭に『?』マークがついた。
見ていると、杏子の手の中の、――光の玉は、
色が金色になり、大きさも増して、強く輝きだした。
「あれは、もう、別次元とか、他の時間軸とかの、
話とも違う様な、気がするで。
――それは、ともかく、2人の、あの技が、
ぶつかり合ったら、結界なんぞ、消し飛ぶんと、
違うか?」
はやてが、気になってきた、事を、
なのはに、伝える。
「そうだね。
――見学中の魔導師は、全員、
ワイド・エリア・プロテクション
(広域防御魔法)を発動!
魔力耐性の低い人達を、中心にして、
防御してあげて!」
なのはが、そこにいる全員に指示を与える。
慌てる見学者達を、尻目に、
対峙する2人は、魔力を極限まで、高めていく。
「うおおおおおおおおおっ!!」
「はあああああああぁ――!!」
杏子も、ティアナも、もう対戦相手しか、
見えていなかった。
「あたしの、ダチ(友達)は、――」
「あたしの、兄さんは、 ――――」
…………
「みんなの、生きてる、宇宙を、――――」
「みんなが、暮らしている、この世界を、」
…………
「今も、ずっと、見守って、くれているんだ!」
「かつて――命がけで、守ろうと、していた!」
…………
「さやかは、――――」
「兄さんは、――――」
…………
「今も、――あたしらを、ずっと、見ている!」
「今でも、あたしの事を、きっと、見ている!」
…………
「「だから、――――絶対に、負けない!!!」」
…………
「……ドラゴン・ソウル――――」
「……スターライト――――――」
…………
「ブラスタ――――――――――――!!!!!!!」
「ブレイカ――――――――――――!!!!!!!」
…………
「!!!!!!!!!!!!!!!」
ティアナの茜色の、『スターライト・ブレイカー』と
杏子の、金色の巨大魔力砲が、2人の真ん中の地点で、
激突し、そこに、――とても美しい、夕焼けのような、
黄金色(こがねいろ)の球体が出現した。
そして、黄金色の球体は、徐々にその大きさを増し、
はやてが、危惧した通り、練習場の結界を、
跡形も無く、破壊して、周囲のモノを全て飲み込み、
――――最後には、大爆発を起こした。
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士