緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「――ああああああっ?!」
まどかの、『白いタカ』は、レイジング・ハートの
ストライク・フレームに、粉砕され、まどかは、
再度、谷間に、ふっとばされた。
なんとか、体勢を整え、中距離から、
攻撃をしかける、まどか。
「念動光線! アンジェラ・デルタ!!」
まどかの、額から、電光の様な、
魔力ビームが発射され、なのはに向かって、
直進するが、魔力シールドで、苦も無く、
それを、はね返す、なのは。
―― そして、再び、
「エクセリオン・バスタ――――――!!!」
「がはぁっ!!!!」
なのはの、中距離用、大威力砲撃に、直撃され、
今度は、円形ピラミッドに激突する、まどか。
「容赦ねえな、なのはさんは。
『管理局の、白い悪魔』の異名は、
伊達じゃねえってか?」
戦場を睨む、杏子が、つぶやく。
「あれじゃまるで、――イジメだわ!」
あまりに、一方的な内容の、模擬戦に、
目を背けるマミ。
「まどか、……」
祈るような姿勢の、ほむら。
――――
「はあっ!! はあっ!! はぁっ! ……ふぅっ」
空中で、停止し、息を整える、まどか。
「まどかちゃん、……」
まどかの名を、呼ぶ、なのは。
「???」
なのはは、まっすぐ、まどかを、見つめた。
「まどかちゃん、――――
どうして――
…………
どうして、本気を出さないの?」
「!!!」
「悲しい出来事、理不尽な痛み、
どうしようもない運命、――
そんなのが、嫌いで、
認められなくて、
撃ち抜くチカラが欲しくて、
私は、この道を、選んだ。
…………
同じ想いを持った子達に、
技術と、チカラを伝えていく仕事を選んだ」
なのはは、言葉を選び、ゆっくりと、話す。
「……………………」
まどかは、なぜ、なのはが、この模擬戦を、
望んだのか、なんとなく、分かってきた。
「この手の、魔法は、
大切なモノを守れるチカラ、
想いを貫き通すための、
必要なチカラ!
だから、――まどかちゃん!
あなたも、
自分のチカラを、
大切な友達に託された希望を、
信じてあげて!」
「なのはさん、…………
私…………
分かりました!
私も、全力全開で行きます!!」
まどかの、目つきが、変わる。
「レア・スキル、
デスティニー・マスター始動!!
ラファエル!
デストロイ・フォーム・チェンジ!!!」
〔デストロイ・フォーム!〕
まどかの、背中から、巨大な
天使の翼が展開する。
彼女のバリアジャケットも、
純白の女神のドレス形態に変化した。
「ま、まどか?
だ、だめよ!
そのチカラを使っては、だめ!!
もし、使ってしまったら、あなたは、――!!!」
ほむらが、顔色を変えて、叫び声を上げる。
「ほむら?!」
驚く杏子。
「暁美さん?! 一体何が?!」
事態を飲み込めず、マミも叫ぶ。
まどかのデバイス『ラファエル』は、
腕輪の形から、超大型ボウガンの形態に、
変形して、輝きだした。
(ボウガンとは、弓矢の構造を利用した
銃型の武器の事。正式名はクロスボウ。
今では、スポーツ用の物が一般だが、
古代では戦争に使用された)
「お、おい、あれは?!
あの技は?!
まさか!」
杏子も、叫んだ。
「11年前に、
『ロストロギア融合魔獣』を消滅させた、
あの、超魔力砲?!」
マミにも、見覚えが有った。
――気がつけば、なのはも、
集束砲の発動態勢を開始しており、
彼女に、桜色の魔力光が、
流星のように、集まりだしていた。
――そして、なのはに、
呼応するかのように、
まどかの放つ、ピンク色の魔力光も
輝きを増していく!
「オイオイオイ!
なんなんだ?
あの、魔力のでかさは?」
ヴィータの顔に、恐怖が、浮かぶ。
「だめだわ!
やめて、まどか!
お願い、 ―― やめてー!!」
青い顔で、叫び続けるほむら。
「あ、あたしと、杏子は、確かに全力を出していた!
それでも、あの子から感じる魔力は、
――あたしと、杏子、2人を合わせたモノより、
ケタ違いに大きいわ?!」
ティアナも、驚愕していた。
「じょ、冗談じゃねえぞ!
あんな、パワーが、なのはの、
集束砲と、まともにぶつかったら!」
完全に、びびっている、ヴィータ。
「結界が、壊れた、ぐらいじゃすまんな」
シグナムは、ただ、静かに、物事の
推移を見守る。
「だめ――――――――――!!!!!!!!」
ほむらの、絶叫が響いたが、――
2人は、もう、止まらない!
「スターダスト!!」
「スターライト!!」
――――
「デストロイヤ――――――――――――――――!!!!!!!!」
「ブレイカ――――――――――――――――――!!!!!!!!」
2人が、放った2本の、巨大砲弾は、
空中で、衝突して、――美しい桜色の大爆発を、
起こした。
が、――――――――それだけ、だった。
「??????」
見学者達は、全員、姿勢を低くして、
中には、目をつぶっている者もいた。
「えっ? な、何がどうなって?」
ヴィータの頭の上には、
『?』マークが、10個は、浮かんでいる。
「ああっ? あれを、見て!」
そう言って、空の一点を、
指差したのは、シャマルだった。
つられて、ヴィータも、
そのポイントを凝視してみた。
「あれは?」
「高町一尉?」
シグナムが、そう呟いた。
見ると、高町なのはが、上空から、降下してくる。
その腕の中には、――
「まどかぁ――――!!!」
ほむらの、悲鳴が、響き渡る。
「なのはちゃん、一体これは?」
はやても、異常事態の発生に
気付く。
なのはの、腕の中の、――まどかは、
顔面蒼白で、体の、あちこちが、
ひどい痙攣を起こしていた。
「た、体内の魔力が、暴走しかけてる!!」
なのはが、大声で、答えた。
「な、なんやてぇ?!」
「シャマル先生、早く!
それと、はやてちゃんは、施設に、連絡して、
メディカル・ルーム(ここでは、
治療と検査用の部屋)の準備を!」
なのはが、指示をとばす。
「分かったわ!」
シャマルが、なのはにかけよる。
「これは、ひょっとすると……」
はやては、すばやく施設への連絡を済ますと、
1人、考え込む。
「ええっ? ちょ、ちょっと」
慌てる、シャマル。
――まだ、痙攣を続けている、
まどかを、――ほむらが、シャマルや、
なのはから、奪うように、かっさらい、
抱きしめながら、こっちを睨んだからだ。
「ほ、ほむらちゃん?」
シャマルが、呼びかけるが、
ほむらは、答えない。
ほむらは、まどかを、抱きながら、
なのはを、ものすごい、形相で睨みつけて、――
「なのはさん、――
もしも、――
もしも、まどかに、
何か有ったら、――
私は、あなたを、許さない!!!!!!!」
◇ ◇ ◇
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士