緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
☆ 特別希望者の模擬戦(午後の部)に関するレポート
発案者 高町 なのは
監督責任者 八神 はやて
《 戦闘結果報告 》
――――――――――――――――――――――――――――
〔 戦闘時間 45分 〕
△ 鹿目まどか vs. 高町なのは
戦闘中、なのはの、集束砲と、
まどかの、形式不明の魔力砲撃が、激突、
その直後、まどかは、原因不明の
魔力暴走状態を起こし、意識を喪失。
そのため、戦闘継続は、
不可能と判断。
急遽、模擬戦を中止して、鹿目まどかを、
メディカル・ルームに搬送した。
よって ―― 判断保留とする
◇ ◇ ◇
『鹿目まどかに、一体何が起こったのか?』
その疑問が、解けぬまま、すでに2時間が
経過しようとしていた。
あの後、皆は、――と言うより、
佐倉杏子と巴マミが、中心となって、
暁美ほむらを何とか説得し、施設内の、
メディカル・ルームに、失神していた鹿目まどかを
運び込んだのである。
まず、まどかに対して、治癒魔法と通常処置による
応急の治療を行い、次に、状態確認と、原因究明の為の、
精密検査をする事にした。
現在、まだその検査が継続中である。
その、中心になっているのは、医療部門の専門家である
シャマルだった。
メディカル・ルームには、関係者以外、立ち入り禁止と、
なっている為、なのは達も、ほむら達も、談話室で、
待機しているしかなかった。
「ほむらには、分かっていたんじゃねえのか?
まどかが、全力で、戦うと、ああなる事が」
杏子が、ほむらの方を見て、
疑問をぶつけた。
今にして思えば、2人の、――まどかと、
ほむらの、様子は、変だった。
「………………」
だが、ほむらは、無言のままだった。
「黙っていたんじゃ、分かんねえよ!」
「杏子、……」
怒鳴る杏子をマミが、制止する。
「くっ!
友達で、仲間なんじゃねえのかよ!」
悔しい顔の、杏子。
その杏子の顔を見た、ほむらは、
しばらく、躊躇していたが、やがて、
静かに、しゃべりだした。
「確かに、……私には、分かっていたわ。
だから、――なのはさん達に、事情を説明して、
模擬戦を中止してもらうようにって、
何度も、まどかに、言ったのだけれど、――
でも、まどかは、――
――自分が、さやか、から、託されたチカラを
試してみたいって、
――正面から、なのはさんと、戦ってみたいって、
どうしても、言う事を、聞いてくれなくて……。
こんな事になるのなら…………
もっと、強く止めておけば、良かった!
こうなる事は、分かっていたのに!」
ほむらの、目には、涙が光っていた。
少々、バツが悪い様子の杏子。
「それにしても、――あのチカラは、一体?」
マミは、ほむらには、悪いと思いながらも、
質問せずには、いられなかった。
「まどかが、言った『デスティニー・マスター』
とは、まどかが、魔導師となった後でも、
保有していたレア・スキルなのよ。
それは、太陽系全域程度の範囲なら、
自由に因果律を操る能力。
神をも超え、悪魔でも、倒せるチカラ」
ほむらは、事も無げに、解説する。
「と、とんでもねえな!
オイ」
驚く杏子。
「だけど、大問題が有るの。
まどかの体内には、ハイパー・アルティメット・
まどか、だった時の約半分の魔力エネルギーが、
存在してる。
まどかが、『魔法少女』だった時は、魂と体が、
分離されてた事と、『ソウルジェム』の特性によって、
その膨大な魔力も、なんとか、制御が出来ていた。
それが『人間の魔導師』となってからは、
この巨大な魔力のコントロールが、うまく、
出来なくなってしまった。
このままでは、――
大きすぎる魔力エネルギーによって、
まどかの、体細胞が、破壊されてしまうわ!
――特に、『デスティニー・マスター』は、
使用するたびに、まどかの、命を縮める、
危険な技、言わば、『両刃の剣』なのよ」
ほむらは、自分だけが知る、重大な秘密を話し、
少し肩の荷が下りたような、顔になった。
「ごめん。
もっと、早く気づいてあげるべきだった。
今日の一件は、私の、せい。
本当に、ごめんなさい」
ほむらに、頭を下げるなのは。
「いえ。
私も、さっきは、言い過ぎました。
私の方こそ、――すいません」
ほむらは、なのはを、まっすぐ見て、謝った。
「ほむらちゃん、……」
「それに、――模擬戦を望んだのは、
まどか自身です。
なのはさんに、責任はありません。
まどかにも、結果は、分かっていたと、
思います」
「………………」
「あー皆、ちょっと、ええか?」
いつから、そこにいたのか、
はやてが、話に割り込んだ。
「八神司令、…………」
はやてを見る、ほむら。
「話は、聞かせてもろた。
それと、シャマルから、一応の
中間報告的なモノも出た。
ほとんど、ほむらちゃんの、
説明通りやな。
――まどかちゃんの、
不調の原因は、やはり、
大き過ぎるその魔力みたいや。
人間の魔導師だと、
キャパシティ(許容量)が足りん、
と言うのも、原因の、ひとつやな。
実際、この世界に、帰還してから、
一年以上、異常が無かった訳やし。
今んとこ、考えられる、
対処方法としては、そのキャパシティを
増やす事、程度やな」
はやてが、事実のみ皆に伝える。
「と言う事は?」
マミが、はやてに、尋ねる。
「基礎体力作りから、魔力制御技術の向上、
と言ったところかな?」
なのはが、自分の推測を口にする。
「そんな、ところやね。
まどかちゃんや、ほむらちゃん達には、
つらい話やけど、根本的な治癒は、
ちょう、難しい、と思う」
残酷な現実を、解説する、はやて。
八神はやての顔には、深い苦悩が、にじみ出ている。
なぜなら、彼女には、鹿目まどかや、ほむら達の苦しみが、
痛いほど理解出来たからだ。
――はやては、まだ幼い頃に、『闇の書』の所有者になった。
しかし、彼女は、『闇の書』の強大な魔力を制御しきれず、
危うく死にかけたのである。
「あ?
そう言えば、八神司令。
練習場で、何か言いかけて、ましたね。
あれ、何だったんですか?
『これは、ひょっとすると……』って」
マミが、はやてに、質問した。
「ああ、聞こえとったんか?
ウチが考えたんは、
『初代リインフォース』の計算ミスや。
さっき、ほむらちゃんが、
『魔法少女』なら、巨大な魔力も
制御出来るて、言うとったやろ?
まどかちゃんを、こっちの
世界に帰す時、リインが、その
巨大な魔力の半分ずつを
まどかちゃんと、さやかちゃんの2人に、
分けたそうや。
そやから、リインは、まどかちゃんが、
人間に戻れた時の事まで、計算しとらんかった、
っちゅう事や」
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士