緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
マミも、大声を出す。
「行こう! まどかちゃん!」
なのはも、フルパワーを出す。
「行くんやあ!」
魔力を限界まで、供給する、はやて。
「行きましょう、みんな!」
フェイトも、パワーを搾り出す。
巨大化して、魔王に迫る『白いタカ』!
「ほむらちゃん……私……私は、ほむらちゃんを
信じる」
「まどか……まどか!
私も、まどかを、信じる!
大好き!
大好きだよ……まどか!
もう、絶対――離さない!」
光の中、やさしく、抱き合う2人。
それは、ほんの一瞬の会話――実は、ゾラと
ウリエルが、協力して、みんなの時の流れを、
コントロールする事によって、しばらくの間、
会話が出来るようにしてくれたのだ。
「ほむらちゃん……」
「私……私、ホントは、怖かったの。
まどかは、確かに、この世界に、
帰ってきてくれた。
けれど、もしかしたら――
また、私を、置き去りにして、
ひとりで、どこか遠い世界へ、
行ってしまうんじゃないか――
そのまま、もう帰ってこないんじゃないかって――
そんな不安が、いつも私の中にあるの。
そして、何より恐ろしいのは――
まどかが、戻ってからの、この2年間の、出来事は
全て、私の見ている、ただの、夢なんじゃないのかって!
目が覚めたら――この世界に、まどかは、いなくって……」
そこまで言うと、言葉が止まる、ほむら。
ほむらは、まどかを、抱いていた腕を離すと、
まどかに、背を向けた。
見ると、ほむらの肩は、小さく震えている。
――まどかには、思い当たるフシが有った。
まどかが、ほむらと、同居し始めてすぐの頃――
まどかは、深夜ベッドを抜け出して、トイレに
行ったのだが、その時、ちょうど、目を覚ました
ほむらが、まどかのいない事に、気づいて――
ちょっとした、パニック状態になったのだ。
そして、まどかの姿を見つけた、ほむらは、
泣きながら、彼女に抱きついて、次の朝まで、
放してくれなかったのである。
「ほむらちゃん……」
「えっ?」
まどかは、ほむらの手を取ると、その手を、
自分の心臓のあたりに、押しつけた。
まどかの胸の、やわらかさや、あたたかさを、自分の手で感じて、
――『ドキッ!』とする、ほむら。
「ほむらちゃん……感じる?
私の、心臓の鼓動……」
「うん……」
「私の心臓――ちゃんと、動いてる?」
「うん――ちゃんと、まどかの、心臓が動いてる」
「じゃあ、今度は――
ほむらちゃんの、心臓の鼓動も、感じていい?」
「うん……もちろん…………あ……」
ほむらの、心臓の部位に、手を触れる、まどか。
2人は、しばらくの間、お互いの命を感じた。
「暖かいよ、ほむらちゃんの、からだ」
「うん……まどかの、からだも、暖かい」
「ちゃんと、生きてる」
「うん……まどかが、ちゃんと、生きてる」
「私は、今、ほむらちゃんと、一緒に、
ここで、生きてるよ」
「…………」
「どこにも、行かないよ。
私は――
ほむらちゃんと、ずっと、一緒に生きていく」
まどかは、自分の心臓の上にある、
小さな手をしっかり握って、そう言った。
「………………うん」
ほむらは、とても小さな声で、返事を返した。
「…………
えっと……
あのね――ほむらちゃん。
ホントの事、言うね」
まどかは、重大な秘密を、告白する
証人のように、真剣な表情になった。
「?」
「ほむらちゃん――
ホントはね、私も、ちょっとだけ怖かったんだ。
この数ヶ月、魔導師としての、チカラを
鍛えるために、まるで、鬼みたいな
顔になってる、ほむらちゃんが――
だけど――
それも、全ては、――私の事を、
これから先も、ずっと、守るためだったんだね。
ごめんね――私……
私、バカだから、
また、気づいてあげられなかった」
「まどか……」
「これからは、私も、
ほむらちゃんを、守るから……」
「うん…………うん……」
2人は、再び、抱き合っていた。
「私達は……」
「ホントに、バカで……」
「ちっぽけで……」
「弱くって……」
「臆病で……」
「言葉は、なかなか、相手の心に
届かなくって……」
「想いは、いつも、
はかなくて……」
「でも……」
「だから……いとしい」
「だから……愛していたい」
「ずっと、そばに、いたいと、願う」
そんな、2人を、眩しそうに、見つめる杏子。
「へへっ」
「佐倉さん……私も、佐倉さんを、信じるわ」
「よせやい! でも……嬉しいぜ、マミ!」
「なのは! 私は、なのはを信じる!」
「ウチも、なのはちゃんを、信じるで!」
「うん……
ありがとう……
フェイトちゃん、はやてちゃん――
じゃあ、行こうか、まどかちゃん!」
「はい!
行くよ! みんな!」
なのはの声に、笑顔で、答える、まどか。
ゾラと、ウリエルが、時間流制御を
ノーマル状態に戻す。
時間が、いつも通り、流れ始めた!
「これが、最大最強の!!――」
「全力全開!!!」
「飛べぇ! 不死鳥よ!!」
「ハイパー・マジカル・フェニックス!!!!!!!」
『白いタカ』は、さらに巨大化して、
『不死鳥・フェニックス』の姿となって――
黄金魔王に、激突した!
「光さす世界に!
なんじら暗黒、住まう場所無し!!」
「闇を、切り裂け!」
「光の翼よ!!」
七色に、輝く、『不死鳥・フェニックス』!!!
「ぬうおおおおお?!
こ、こいつらの持つエネルギーは、
我のエネルギーを、超えようとしている!
バカな!
神をも、超える事など!
うううっ!
こ、こんな事があ?!」
まどか達、七人のパワーに、押されていく、
黄金の魔王。
両手で、フェニックスの頭部を、つかんでいるが、
押し切られそうだ。
「だから――なめるなって、
言ってんだろうが!!!」
杏子が、絶叫する。
まどか達の、フェニックスは、黄金魔王のパワーを
超え、それをも超える、黄金色に光り輝いた!
「光?」
「光だわ?!」
「私達……光になってる?!」
眩い光の中で、1つに溶け合い、
誰が――誰の意識なのか――
次第に、分からなくなっていく、
ほむら達。
「ああ、そうか――私達は……」
「ひとは――」
「人は、光になれる……」
「最初から……」
「生まれる前から……そうだった」
「人間は……誰だって
自分のチカラで、光に、なれるんだ!」
「おのーれぇぇぇぇ!!!
我は、――――
我は、
我は、神ぞ――――――――!!!!」
まどか達のフェニックスに、
パワー負けして、倒れていく黄金魔王。
その、黄金魔王を、いきなり、
鹿目まどかが、抱きしめた。
「黄金の魔王さん……
いいえ……
ロード・オブ・ナイトメアさん」
「むっ?!」
魔王の心の中に飛び込む、まどかの魂。
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士