緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
そこは、人の理解を超えた
――輝ける『光の国』だった。
「本当は――
あなたも、寂しかったんじゃないんですか?」
魔王の意識に向かって、その手を伸ばす、まどか。
「な、なにをっ?!」
「あなたは、広大な虚(ヴォイド)の中に生まれた。
何も無い――
誰もいない――
広い――
広い、虚の世界に、たった1人。
だから――
ひとりぼっちが――
悲しくて―― つらくって――
寂しくて―― こわくって――
――だから
だから、あなたは、宇宙を創り、
命を創った。
いつか、自分と話をしてくれる――
心を持つ誰か、そう、『友達』と出会える
その時を、夢見て――
そうじゃないんですか?
本当は――
寂しがり屋の――
魔王さん?」
「は?
は――
は…………
……くふふっ。
…………ふふふふっ。
ふはははははははははははは!!!」
「…………」
「あははははは!!
うはははははははは!
ま、まさか――
まさか、
この、
この神である、我が――
心の底を、こんな――
こんな――小娘に、読み取られようとはな!!
いやー、ユカイ、ユカイ!
これだから、心を持つ命とは、
まっこと、面白い!!
くふふふふふっ!」
「魔王さん……」
「我の負けだ、鹿目まどか」
「え?」
「だから――お前達の、勝ちだと
言っている!」
「そ、それじゃあ――」
「うむ――
我はまた、深い眠りにつくとしよう。
また起きる時を、楽しみにしてな――」
「今度は、もっと――
やさしく、起こしてあげたいです」
「人間となったお前が、その時まで――
生きていられたらな――」
「………………」
黄金の魔王は、普段は、リナ・インバースの
魂の中で、深い眠りについている。
リナの寿命が尽きて、その肉体が死んだら、
魔王は、また、別の人間(赤ん坊)の魂へと、
移動するのだろう。
「あー、それでな、この器(うつわ)、
いや、リナ・インバースの事だが、
こんな、アホな乱暴者でも、我の子供の1人なのだ。
悪事を働いた事は、分かっておるが、
根はいいヤツなので、あまり大きな罰を、
与えんでやってくれるか?」
「分かりました。
私から、なのはさん達に、頼んで見ます」
「よろしく頼む。
いや、実はな――乱暴に叩き起こされて、
腹が立ったから――とりあえず、
『悪の大魔王』の『フリ』をしておったら、何やら、
これが、ひどく楽しくなってしまってな。
ついつい調子にのってしまったわ。
我が悪かった。
ホントに、すまん」
―― 魔王は、反省している! ――
「いえ。
私も、この戦いの中で、大切な事を、
学ぶ事が、出来ました。
ありがとうございます」
「やれやれ――こんな事をした魔王なのに、
礼を言われるとは、な」
「えへへっ」
「では――さらばだ!
鹿目まどか!
『愛のチカラ』を持つ者よ!」
「さようなら。
黄金魔王さん――」
◇ ◇ ◇
戦闘終了後、まどか達『七人の魔導師』と
ヴォルケンリッターは、意識を失った、
リナ・インバースを『保護』する事に、
成功した。
拡大を続けていた、『闇の球体』は、黄金魔王が
眠りにつくと同時に、跡形も無く、消失した。
不思議な事に、街の建物にも、住人たちにも、
被害は無かったのである。
リナ・インバースは、時空管理局の、ミッドチルダ
地上本部――その中の、メディカル・ルームに、
緊急搬送されたが、体力と、魔力を、極度に
消耗しているだけで、大した外傷は無かった。
――ところが、
まどか達が、『闇の球体』に、飛び込んで、
戦っているスキをついて、監禁されていた、
サーペントのナーガが、逃走してしまった。
噂では、ナーガは、その巨乳を使って、
監視をしていた局員を、色仕掛けで、
罠にかけたらしい。
――ここは、ナーガが、逃げ込んだ、
高山地帯。
「はぁーっ! ひぃー! ふぅー! へぇー!
………………
まったく、しつこいわねえ!
管理局は!
でも、ここまで、来れば……」
山のカゲに入って、隠れているナーガ。
「見つけた!――
ブラスター・システム!
リミット・スリー!
リリースッ!!」
〔ブラスター・スリー!〕
(特殊強化システム・レベル3発動!)
―― どんっっ!! ――
なのはの、右足が、大地を踏みしめ、
その地面は、ひび割れた。
なのはは、現在、ナーガから、2キロは、
離れた、死角の地点にいる。
彼女の足元に、桜色のミッド式魔法陣が、
現れた。
〔ファイヤリングロック・イズ・キャンセル!〕
(安全装置解除!)
「ディバイーン! ――」
レイジング・ハートが、魔力カートリッジを
5発、ロードした!
なのはは、レイジング・ハートの、
魔力カートリッジのマガジン(弾倉)を
交換する。
レイジング・ハートのヘッド部分の先に、
大きな魔力光(魔力砲台)が、形成されていた。
レイジング・ハートは、ターゲットイメージを
念話形式で、なのはの意識へ送信する。
その映像には、すっかり油断しているナーガの
姿が映っていた。
照準用の、クロスゲージで、
狙いをつける、なのは。
「―― かべ抜き・バスタ――――!!!」
―― ずばばばばばばぁ――――!!! ――
なのはの、桜色の巨大魔力弾は、山とか、
谷とかの、大地を全て貫通して、ナーガを、
直撃した!
「あんぎゃおえええぇぇぇぇ――――?!」
…………『ちょっと、こげている』――
失神したナーガは、高町なのはによって、
あっけなく、逮捕された。
事後処理(主になのはの砲撃による穴を埋める事)
を行うなのは達を、手伝っていた、杏子と、まどかは、
次のような会話をした。
「あ、あのさ、まどか…………」
「ん? 何、杏子ちゃん」
「いや、これって、どうでもいい事なのかも
知れねえけど…………」
「うん」
「友達と、仲間って、どう違うんだろうなって」
「ああ、そうか。
…………
うーん。
改めて、そう言われると、ちょっと、
難しいね」
「だろ?」
「普通だと『仲間』は、一緒に何かをする
人の集まりの事、らしいけど。
……………………
えっとね、私が思うに――」
「ふんふん?」
「誰が『一番の友達』なのか、はっきり分からない
ほど、『大切な友達』が、たくさんいて――
その、みんなが、一緒に1つの事を――
別に、命がけで、じゃなくても――
チカラを合わせて、ともに出来る時、――
その『友達』の集まりの事を『仲間』って
呼ぶんじゃないのかな?」
「………………そうか。――
そうかも、知れねえな」
その時――
「まどかちゃーん、杏子ちゃーん。
そっちは、終わったー?」
なのはが、2人に声をかけてきた。
「あ、はい! OKです!」
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士