緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
元気に答える、まどか。
「こっちも、終わったぜ!」
杏子も、返事をした。
「じゃあ――地上本部に戻って、ナーガさんを
担当者に、引き渡したら、みんなで、お茶
しよう!」
「へーい!」
「了解!」
◇ ◇ ◇
それから、数日が過ぎて――
「ええっ?!
あたし達は、無罪放免?
それに、報奨金も、約束通り、もらえるって?
ウ、ウソじゃないんでしょうね?
もし、ウソだったら――
また、暴れちゃうぞお!」
そう脅しているのは
――もとい――質問しているのは――
ベッドに腰かけ、病人用の、パジャマを着て、
食事をしているリナ・インバースだった。
その質問の相手は、もちろん、
フェイト・T・ハラオウン執務官である。
「ウソじゃ、ありませんよ。
別室で監視されているナーガさんには、
もう説明したのですが――
『三提督』と呼ばれる、管理局の偉い人達が、
今回の一件について、――
私達の意見を取り入れた処理を行う事を、
許可してくれました。
管理局側にも、非が有る事を認めた訳です。
ただし、リナさん達には、例の『まどか軍団』
事件の事を、公表及び、口外をしない、と言う
誓約書に、サインをしていただきます。
それと――報奨金を金塊に換金する前に、
――今回、お2人が、破壊したモノの、
弁償代金を、引かせてもらいますが、
そのマイナス分は、後で、私の方で、
追加いたします。
正式には、まず、減額された形で、局の方から
出てきますので、勘違いして――
また、怒ったりしないでくださいね」
「それって――あなたが、負担すると言うの?」
「そうです。
私にも、責任が有りますから」
「………………ナーガが、どう言ったか、
知らないけど――
私達が、壊した弁償分は、引いたままで、
いいわよ」
「いいんですか? それで」
「怒って――人の物を、盗もうとした、あたし達も
悪かったわ。
そこは、あたしも、分かってるし――
自分が壊した分の、弁償ぐらいは、
自分でやるわよ」
「ちょっと、リナ!
あなた、それでいいの?」
そこで、話に、割り込んだのは、治療と、
監視を兼ねて、監禁されているハズの、
ナーガだった。
もしかすると、また、巨乳を悪用して、
男性局員を、たぶらかしたのかも、知れない。
「なーんか、一通り、暴れまくったら、
すっきりしちゃったし――
この人達と、争っても、疲れるだけで、
得るモノは、無いし――
むしろ、後々の事を、考えると――
こちらに来たら、こちらの世界のルールに
従う方が、いいような気がするのよ。
『郷に入りては、郷に従え』とも、言うしね」
本人が、言っている通り、毒気が抜けた顔の、リナ。
「後々の事をか――
リナが、そう考えているなら、
私も、それにならう事にするわ!」
ナーガも、リナに同意するようだ。
「本当に、それで、よろしいんですか?」
フェイトは、ちょっと不思議に思っている。
「ええ。
『とりあえずは』、あなた達と、仲良くして
おいた方が、お金になりそうだしね!」
リナが、本音をもらした。
その時、リナ用の個室のドアが、少し開いて、
鹿目まどかが、そっと、覗き込んだ。
「あ、あのー」
小声で、恐る恐る、フェイトに話しかける、
まどか。
「まどかちゃん?
どうしたの、そんなところで?」
フェイトが、対応する。
「リナさんと、ナーガさんの、お見舞い
したいのですが――今、よろしいですか?
もし、まずいようなら、後で来ます」
「いえ、大丈夫よ――もう、だいたい話は、
すんだから。
そうですよね、フェイト執務官どの?」
そう尋ねたのは、リナの方だった。
「はい――以上で、私の方からは、何も。
どうぞ、まどかちゃん――」
フェイトが、まどかに、入ってくるように、
言ったので――まどかは、おずおずと、
個室に入ってきた。
「あなたが、ええと――
鹿目まどか、だったっけ?」
リナが、まどかに、声をかける。
「はい――」
答える、まどか。
「今回は、助かったわ。
どうもありがとう」
「いえ。
リナさんには、私の分身である、
かわいそうな子達を、救っていただきましたから。
今度は、私が、リナさんを、救う番だ、と
思って」
「2年前の、あの事件ね?」
「はい」
「今回は、あたしの方が、元凶になってしまったわね。
黄金の魔王が、目覚めてしまったのは、私の心が、
怒りに満ちていたためかも、知れない」
「そうなんでしょうか?」
「そう思えるの。
どんな人間の、心の中にも、『闇』が、有る。
だけど、人の心の中には、『闇』ばっかりじゃなく、
『光』も有る。
その事を、教えてくれたのは――
まどかちゃん、あなただわ」
「い、いえ。
そんな――」
少し、照れている、まどか。
「自分の思い通りにならないからって、
ブチ切れて、――その結果――
この世界を、滅ぼしかける、なんて、
この、あたしも、まだまだ、
ガキだって事よ」
「間違えながら、学ぶ事が出来るのが、人間。
そうじゃ、なかったんですか?」
「うふふ。
それって――あたしの、セリフよ」
その時――
「あのー、私達も入って構いませんか?」
「あたしも、いるぜ?」
今度、ドアの隙間から、顔を覗かせたのは、
巴マミと、佐倉杏子である。
2人の、後ろには、暁美ほむらも、いた。
「あーこりゃまた、たくさん来たのね。
いいわよ、どうぞどうぞ」
リナが、笑って許可を出し、
皆は、個室に入ってくる。
「それじゃ、あたしからは、これ」
杏子が、リナに花束を差し出した。
「へぇ?
気が利いてるじゃない」
リナも、一応は、女の子である。
綺麗な花に、心が、和む。
もっとも――リナは、『花より、ダンゴ』の
タイプでは、あるが。
「私が、飾っておきますね。ええと――」
杏子から、花束を預かり、フェイトは、
部屋の中で、飾れそうなスペースを
探し始めた。
「それで――
私からは、これを――
お茶と――
手作りの『シュークリーム』です。
お2人の、お口に合えば、いいんですが」
マミが、大き目の、手さげを取り出す。
「ええ?
お、お茶?
こ、こっちの、お茶は――」
「そ、そ、そうね――
私は、お水で、いいわよ!」
なぜか、リナと、ナーガの顔色が、悪い。
「ええー?!
これ、とっても、おいしいお茶なんですよ。
他の世界の皆さんも、結構おいしいって、
言ってくれて……」
マミが、ひどく落ち込んだ顔をしている。
「もしかして……
以前、何か、有ったんですか?」
勘の鋭い、まどかが、リナとナーガに尋ねた。
「あ、あのね、実は――」
真相を、しゃべりだす、リナ。
「この前、リンディ提督と言う人が、見舞いに
来てくれたは、良いんだけど――」
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士