緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話
「返事は、今すぐ――でなくても、いいわ。
でもね――良く聞いて!
これは、またと無い、
――ビジネスチャンスなのよ!」
大声で、まくし立てる、リナ。
「えええっ?!」
びっくりしているマミ。
「あなたの『シュークリーム』を、あたしの世界の
大勢の人達に、味わってもらうのよ!
良く考えてみて!
この、お菓子は、あたし達の世界には、
今まで、存在していなかったモノ。
これは、ひとつの、何と言うべきか――
そう!
いわゆる、ひとつの、『革命』よ!!」
少々、暴走しているらしい、リナ。
「か、か、革命?!」
いまだ、困惑している、マミ。
「あたしはね、こう見えても、――けっこう、
食べ物の味には、うるさい方なのよ。
魔道士としての、仕事をして――得たお金の
半分は、魔道の研究に、使い、――
――もう半分は、すべて『うまい食べ物』と
化したと言っても、過言では無いわね」
腰に手を当てて、なぜか遠い空を見つめて、
――なんだか、懐かしげな、表情のリナ。
――その、脳裏には、様々な、――
『うまかった、色々な、食べ物』が、
群れをなして、飛びまわっているのだろう。
「――てな訳でっ!
あたしが、全部、お金、出してあげるから――
お菓子製造の、会社の、設立を!!!」
野望を、ぶちまける、リナ。
「あ、あのー、
しばらく、――考えさせてください」
少々呆けた顔で―― 一応の返事をする、マミ。
「あははは――
もし、実現したら、巴社長ですね!
マミさん――」
笑っている、まどか。
「す、すげえー!
その会社が、繁盛したら、――
何か、うまい物、おごってくれよな――
巴社長!」
杏子も、マミの肩に手を置く。
「もう!
笑い事じゃないわよー!」
怒った口調ながら、顔は、笑っている、マミ。
――マミとしても、大勢の人に、自分の
お菓子を、食べてもらう事は、とても、
うれしい事である。
――『甘いものを、食べている人』の顔は、
とっても、幸せそうに、見えるからだと、
まどかは、マミに聞いたことが有った。
「おーい! マミ!
あたしらの分の、お茶と、
シュークリームは、ねえのかよ?」
杏子が、騒ぎ出した。
目の前で、他の人が、おいしそうに、
お菓子や、ケーキを、食べているのを、
見ていると、自分も食べたくなるものだ。
「私が、巴さんから、預かって、
ここに、持っているわ」
今まで、無言だった、ほむらが、
そう言って、荷物から、
ハードケースを取り出す。
「それを、早く言ってくれぇ!」
ハードケースに、飛びつく、杏子。
「あー、私も食べたいと、思ってた!」
まどかは、ほむらと、一緒に、
お茶会の、準備をする。
そして――しばらく、リナの個室には、
皆の、笑い声が、響いていた。
「あ! そ、そう言えば!」
いきなり、大声を出す、まどか。
「今度、フェイトさんと、なのはさんの2人が、
――初めて、八神司令や、ヴォルケンリッターの
皆さんと、出会った時の、物語が、ひとつの、
『ドキュメンタリー映画』として、
公開されるんですよね!」
「え? ええ」
急に聞かれて、しどろもどろになる、フェイト。
「ヴォルケンチームは、ともかく――
フェイトさん・なのはさん、それに、八神司令などは
カード式のインスタント・変身魔法で、若い時の姿に
なって、演技されたんですよね!
それも、戦闘シーンは、完全ガチで!!
カッコいいんだろうなあ!
公開されたら、絶対、見に行きますね!」
フェイトの手を、握る、まどか。
「あ、ありがとね、まどかちゃん」
恐縮して、小さくなっている、フェイト。
「おー!
確か、――シグナムの姐御や、
ヴィータ姉さんの勇姿、――それに、
現役だった頃の、アルフと、ザフィーラの
兄貴のバトルも、見られるんだったな!
こいつは、燃えるっ!!
あたしも、必ず、見るぜ!!」
杏子も、興奮を隠しきれない。
「新人魔導師である、私達にとって、
とても良い、教材になるように、
丁寧に、作られている、と聞いています。
まどかと、一緒に、オールナイトで、
………………見に行きたい」
なぜか、顔を赤らめている、ほむら。
「うふふ。
うふ。
うへへへへっ!」
さらに、何を妄想しているのか、
口から、よだれを、垂らす、ほむら。
その姿は、もはや、変態オヤジである。
「私を、忘れないでー
ぼっちは、イヤー!」
泣いている、マミ。
その時――ふと、ある事を思い出す、まどか。
「―― あのー、すいません。
盗み聞きする、つもりは、無かったんですが、
リナさんの、言われた、――『後々の事』って、
それは、――つまり?」
リナの目を、まっすぐ、見つめて、
尋ねる、まどか。
「ああ――聞いてたのね。
まあ、これからは、時空管理局とも、仲良くして、
あたし達に、出来そうな仕事を、請け負うのも、
有りかなって――」
リナが、シュークリームを、パクつきながら、
そう言った。
まどかは(あまり食べると、太るよ、リナさん)と
思いながらも――
「それは、ええと――
いわゆる『嘱託魔導師』(この場合は、魔導師の
能力を持つ一般人が、管理局の仕事を請け負う事)
になる、と言う事ですか?」
まどかが、リナに、尋ねた。
「ああ、こちらでは――
時空管理局では、そう言う、言い方をするのね。
そうよ――そう言う事になるわね」
リナが、答える。
「お話は、分かりました。
執務官である、私が、お2人の手続きについて、
準備を、する事になります。
お気持ちが、変わらなければ、――ですが」
フェイトが、リナに提言を行う。
事情は、ともかく、リナと、ナーガは、
それぞれ、なのはや、フェイトを相手に、
互角以上の魔法戦闘を行ったのだ。
2人の実力は、すでに、実証済み、と言える。
これを、遊ばせておく手は、無いだろう。
「これからも――よろしくね。
フェイト執務官どの!」
リナは、フェイトを見つめて、そう言った。
「じゃあ――私達と、一緒だね。
もしかしたら、リナさん達と、ともに、
悪い人達と、戦う――
……ううん。
悪事をする他に、方法が無かった人達を――
救う事に、なるのかも」
何か、ワクワクしている、まどか。
「その時は、よろしくね。
頼りにするわよ――
まどかちゃん!」
リナは、まどかに、ウィンクして見せた。
「はい!」
とても、幸せそうな笑顔の、まどか――
鹿目まどかは――
これからも、戦い続ける。
決して、負けたりしない!
なぜならば、――
その胸の奥には――
人も――
神さえも――
どんなに深い闇でさえ――
救う事の出来る――
許す事が出来る――
『愛のチカラ』が、輝いているからだ!
作品名:緊急指令!鹿目まどかを抹殺せよ! リリカル☆マギカ(第2話 作家名:気導士