この笑顔を忘れない
「おっおい何言ってんだよサンジ!!!!!
たった1回ちょっと失敗したからってだなぁ
「ウソップ、悪ぃちょっと話聞いてくれ。」
「あっあぁ…」
「俺はもう飯が作れないんだ。俺は味覚を失ったんだ。」
その一言にチョッパー以外の全員が息をのんだ。
全員が言葉を失い、何も言えなくなってしまったのだ。
「俺はこの船のコックだ。
俺はこの船のコックになれたことを誇りに思ってる。その誇りを守りたい。」
クルー達は何と言ったら良いのか分からなくなっていた。
離れたくないという自分の感情を必死で抑えていた。
でも、それと以上に「誇りを守りたい」というサンジの言葉が重かった。
だが、ナミだけはその重みを知りつつ本心を告げようとした。
「サンジ君、分かるわ。でも、料理が作れなくてもっ!!
「ナミ、やめろ。」
「でも、ルフィ!!」
「ナミ。」
「・・・・もうっうんざりよ!!!!!
男のプライドとか、誇りとかっ!!!どうしてっどうしてっっ」
ナミはポロポロと止まらない涙を拭った。
ナミ自身、これまでずっと一緒に航海してきたから分かるのだ。
それだけは譲れない大事なものがあること。
だが、今回はあまりに悲しすぎた。
「ナミさん、すいません。」
「・・・・サンジくん」
ナミはサンジから顔を背け、ロビンの胸に飛び込んだ。
ロビンは少し困った顔をしたサンジに優しく微笑んだ。
そしてサンジはまっすぐにルフィを見る。
ルフィもまたサンジをまっすぐに見た。
そしてルフィは一番言いたくない言葉を口にした。
「サンジ、お前この船下りろ。」