この笑顔を忘れない
前へ進むことを決意したクルー達の心に渦巻いていた後悔。
その後悔は今度こそ消え去っていた。
今日の夜だってサンジが居ない事実は変わらない。
サンジの飯が食べれないことには変わりない。
サンジが居ないという現実を思い知ることに変わりはない。
だが、もうサンジから逃げることは無くなった。
それからの日々は誰もが遠慮なくサンジのことを話題にした。
それはあえて話題にしているのではなく、ごく自然にサンジの話題になるのだ。
料理のこともサンジと比べて文句を言うルフィにナミが傷つくことはない。
洗濯物がぐちゃぐちゃになってしまっても誰も傷つくことはない。
なぜなら「サンジには適わないんだから当然だ」と思うから。
「サンジの穴を埋める必要はない」と思うから。
サンジは今でも麦わらの一味にかわりはないのだから。
サンジの穴は空けておく。
サンジは絶対に帰ってくるから。