この笑顔を忘れない
side storyそれぞれの笑顔~ナミ&ゾロ~
ゾロうめぇか?―――
まっうめぇに決まってるけどな―――
満月の夜。
船の明かりをつけなくても明るいんじゃないかと思うほどの月明かり。
こんな綺麗な満月の夜は決まってゾロは酒を呑む。
サンジはそれを知って毎度さりげなくつまみを置いていく。
気まぐれで声をかけるとサンジも横に座り呑み始める。
あの日、
サンジがゾロに想いを告げた日もそうだった。
同じような満月なのに、
物足りない気持ちを抱えながらゾロは今夜も呑んでいた。
コツという物音がしたと思い視線を月からあぐらをかいた足元に向ける。
するとそこには見覚えのある小皿が一つ。
「・・・・っ!!!?」
ゾロが勢いよく振り返った先には、
月を見上げるナミの姿があった。
「・・・・・・ナミか。」
「月綺麗ね。」
「・・これ、お前が作ったのか?」
「そう、」
「食っていいのか?」
「えぇ、どうぞ。」
相変わらず月を見続けるナミが気になりつつも、
この小皿にのったものの方が気になり、口に運んでみる。
「・・!!!」
「どう?」
「おいこれ・・・・」
「サンジ君のレシピよ。」
「・・・・・・。」
「サンジ君ね、皆の好物のレシピだけ書いて置いていったみたいなの。
皆の分それぞれ1品づつ。だったんだけど、アンタだけ特別。」
ナミはやっと視線をゾロに合わせる。
「・・・?」
「満月の日用。」
「・・・・・そうか。」
「感謝しなさい。頑張って作ったんだから。」
「あぁ、ありがとよ。」
「気持ち悪いわね。」
「・・・おい。」
「ふふっ」
ナミがまた月に視線を戻す。
ゾロもそれに続き、月を見上げる。
「ねぇゾロ?
サンジ君って月みたいね」
「あぁそうだな。」
「月は好き?」
「・・・あぁ。」
「ふふっ私も大好き。」
「乾杯。」