この笑顔を忘れない
この笑顔を忘れない
「乾杯。」
麦わらの一味が世界的に有名な海賊になった。
それぞれが別の場所に飛ばされ、バラバラになった。
そして船長であるルフィは兄のエースを失った。
それから2年、
力をつけて全員が集結した。
久しぶりに乗ったサニー号の甲板、そこにゾロの姿はあった。
今夜は満月、いつものようにゾロは酒を呑んでいた。
もしかしたら、居るかと思った。
アイツもあの記事を見ているはずだから。
「・・・・まだだったか。」
そう思っていたのはなにもゾロだけではなかった。
全員が同じことを期待していた。
集結祝いの宴はついさっき終わった。
ナミやロビンは部屋に戻っていたが、
ゾロの後ろにはいつかの宴の後のようにルフィ達が芝生の上で雑魚寝している。
ゾロは自然とあの宴の晩のことを思い出していた。
サンジが泣いていた晩のことを、
あんな顔を見たのは初めてだった。
ただ事じゃないというのも分かった。
あの場は離れるべきじゃなかった。
「・・・だせぇ泣き顔だったな。」
「うっせぇ。」
「・・・!!」
小さく声が聞こえた。
それは間違いなくあのコックの声だった。
振り向くとそこには
居た。
サンジが戻ってきた。