この笑顔を忘れない
「・・・・・・コック・・?」
「よぉクソマリモ。」
「・・・本物か!!?」
「お前、目潰れてるからよく見えてねぇんだろ。」
「・・・本物なんだな、」
「ったく傷増やすのだけは得意だな。」
「・・うるせぇ。」
「背中は無事か?」
「・・・・まぁな。」
「あいつ等頼りになるだろ?」
「・・お前には随分助けられてたんだな。」
「なぁ呑もうぜ。」
「・・・・・あぁ。」
ゾロはまだ信じられなかった。
別れた時と変わらない姿でそこに立つサンジが。
だが、確かにサンジは戻ってきたのだ。
風に流れてサンジのタバコの匂いがゾロを包む。
それがゾロに確かな実感を与えた。
ゾロはサンジに会ったら伝えたいことがあった。
でも、なぜだか急がなくてはならない・・・そんな気がした。
サンジがダイニングに向かって歩いていく。
ゾロはついていくべきか、ここで待っているべきか悩んだ。
するとサンジが振り返り手招きするのでついていくことにした。
サンジはごく自然にキッチンに入って行った。
昨日も一昨日もまるでずっとここに居たかのように冷蔵庫を開け、食料庫に行き、ためらいなく食材を選んでいった。
「・・戻ったんだな。」
迷いのない行動にゾロは確信する。
ちゃんと戻ってきたんだと。
「プリンスをなめんな。」
「プリンスよくやった。」
「今日だけは見逃してやる。
なぁゾロ、何食いたい?」
「決まってんだろ?」
「かしこまりました。」
今夜は満月。
満月の日用のメニュー。
「ナミ、頑張ってたぜ。」
「お前ちゃんと幸せ噛みしめただろうな?でないと、張り倒すぞ。」
「あぁ、お前の味には敵わないが美味かった。」
「・・そうか。」