この笑顔を忘れない
ゾロが目を覚ますと、
そこにはサンジの姿は無かった。
急いでダイニングに戻ると、全員がテーブルに突っ伏して寝ている。
夢だったのか?
現実だったのか?
「おい起きろっっっ!!!!!」
夢だったのか、
現実だったのか、
確かに全員の記憶にはサンジが戻ってきていた。
サンジの料理を久しぶりに食べたという。
全員で船の中を探し回った。
全員で同じところを何度も何度も探し回った。
だが、どこを探してもサンジは居なかった。
ルフィやウソップやチョッパーはサンジが買い物にでも行ってると信じてた。
だから、今夜はサンジのおかえりパーティーだと張り切っている。
ゾロはそんなルフィ達を見ていられなかった。
ゾロにはなんとなく分かったから。
そしてそのゾロの勘を確信に変えたのはブルックと1本の電話だった。
ブルックはサンジが降りた後に加わったクルーだ。
今日の昼間、ルフィは確かに全員のクルーを集めたはずだった。
だが、あの場にブルックは居なかったのだ。
そしてあの場に居た全員がまるで気付かなかった。
あんなに騒々しい食事をしたにも関わらず、
ブルックは「皆さん揃ってダイニングでお昼寝をしてらっしゃった」という。
甲板で日向ぼっこしていると、ゾロが出てきたと思ったら寝てしまったという。
そのとき近くに金髪の男なんて居なかったというのだ。
全員がブルックの話を聞いていた。
ブルックがそんな嘘をいうようには見えない。
その時だった。
ダイニングに置いている電伝虫が鳴った。
ぷるぷるぷる・・・・・
ルフィが受話器を取る。
「誰だ?」
『久しぶりだな、』
「アイスのおっさんか!!??」
『元気でやってそうだな。』
「あぁ。それより、サンジは元気か?」
その場に居るクルー達全員が息をのむ。
『・・・・・・・・落ち着いて聞け。』
「あぁ分かった。」
『サンジは今朝、死んだ。』