【ゼルダの伝説】ワールドヴィネット
―――ニワトリが大層好きな女性がおったんじゃよ。あの赤いトサカや白い羽根、鳴き声なんかが大好きで仕方なかったんじゃ。しかしそのニワトリは随分いたずらものであったのじゃろうな、逃げだしていつも村じゅうにニワトリが散らばってしもうておったのじゃ。
けれども困ったことに女性はニワトリに触るとトリハダが立ってしまう困った体質でなあ、自分で戻すことは出来なかったのじゃ。
それを見兼ねてか少年がニワトリ集めを手伝ってくれたそうじゃよ。人の家の庭、箱の中、はたまたどうやって上ったのか分からないような高い場所にいたやつまで頑張って集めてくれたのじゃ。
集まったのかって?
ああ、集まったとも。少年は随分身軽だったようじゃな。
女性はとても喜んだ。今でも貴重な瓶をあげるくらい喜んだ。しかしのう、次の日にはまた散らばってしもうたんじゃな、これが。少年はたびたび村に寄っていたからそのたびに集めてくれていたんじゃが、これではどうしようもなかった。とうとう諦めてしもうたんじゃよ。
ニワトリはどうもしておらぬ。結局ニワトリは村じゅうに散らばって好き放題だったんじゃよ。
大変だっただろうねって、なんじゃ身に染みたようなこと言いよって。……ああ、確かに今のお前みたいなものかもしれんなあ。なるほどなるほど。じゃがのう、お前の言うようにそう大変でもなかったんじゃな。
何故かって?
村の人達にとってそれが普通になってしもうたからじゃ。
またニワトリが外に出てるなあ。あっちに行ったなあ。ああそっちに行ったら危ない危ない。そんな風に村じゅうでニワトリの面倒を見るようになったんじゃよ。善意ばかりというわけでもない。ニワトリだってフンばかりじゃなくてたまに卵なんか落としていったからのう。太陽の光をいっぱい浴びてミミズなんか突いて育ったニワトリは、女性の望み通りいつまでも元気で長生きしたそうじゃ…………。
作品名:【ゼルダの伝説】ワールドヴィネット 作家名:ケマリ