【どうぶつの森】さくら珈琲
8.すきなひと
「さくらちゃん……アイツさ、アタイのこと好きだと思う? どう思う?」
リリアンとのお茶会の話題は彼女の恋の悩みがほとんど。
いつもは言いたいことははっきり言うのがモットーの彼女も、アイツ……もとい、ピースのことになると弱気になる。
「だってピース、アタイのこといっつもちんちくりーんとか耳長女とかって馬鹿にしてさぁ……。
それって、友だちにしかみえないって意味かなぁ……?」
恋をすると、何故だかみんな友だち以上になりたがる。どうしてだろう。
友だちの先には何があるんだろう。友だちのままだと、何か都合が悪いことがあるのかな?
「うわ〜ん! アタイ、わかんないよー!! 告白しちゃってイイのかな? イイのかな〜〜!?」
―――どうするの?
「えっ?」
―――好きって伝えて、そのあとは……どうするの?
リリアンは少し考え込んだ。もしかして、それを想定の範囲に入れずに言ってた?
しかしすぐに顔を輝かせ、いつものリリアンらしい明るい笑顔を見せる。
「それで、ピースにとって一番の女の子になるに決まってるじゃん!」
リリアンは、かわいいと思う。こうやって恋をして、悩んだり頑張ったりしているときは特に。
「アタイがんばるんだー! アイツに『かわいい』って言ってもらうためにさ!」
一瞬。
みしらぬネコさんの『かわいい』が、脳裏をかすめた。
それは特別な意味なのか、普通なのか。
恋なのか、恋じゃないのか。
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗