【どうぶつの森】さくら珈琲
15.お母さんへ
『お母さんへ
特にニュースはないです。(あ、この間村荒らしっていうワルガキが来て、村がぼろぼろだけどね)
ただなんとなく手紙が書きたかっただけ。
村に一つだけの仕立て屋さんに、ハリネズミの姉妹がいるんだけど、どうやら昔両親をなくして以来二人で頑張ってるみたいです。
お姉さんのあさみさんが仲良くなってから話してくれました。妹のきぬよちゃんとは歳が10個も離れてるんだって。
だから小さいときはもっとちっちゃなきぬよちゃんにいつもやきもちを妬いてたみたい。
ある日お父さんが仕事のおみやげにきぬよちゃんにビー玉を買ってきたときなんて、「あたしの分は?」って駄々こねたってさ。
それできぬよちゃんのビー玉を奪い取ってお父さんに家から閉め出されてわんわん泣いたそうです。
あ、お母さん今「なんてひどい父親なの」って思った?
でもね、お父さんも気にしてたのか夕食にはちゃんと中に入れてあげたみたいだし、その晩ね、お母さんが一晩中彼女の手を握って「あさみちゃんのお手てがもっと優しくなりますように」ってお祈りしてくれたんだって。
その話聞いてね、大きくなった妹のきぬよちゃんが「カンニンね、ねーちゃん」って謝るんです。
もちろんあさみさんは「おかあちゃんの血が流れてる手やで、大事にしなね」って笑うんです。良い姉妹ですよね。わたしもお姉ちゃんが欲しかったな。なんて。
一緒に暮らしてるときは恥ずかしくて言えなかったけれど、わたしが近所の子とケンカしてその子のお母さんが怒りに来たとき、逆に怒鳴り返してくれたの、覚えてる?
そのときは正直困ったし恥ずかしかったけど、すごく嬉しかった。
またお盆には帰るからね。
PS:お父さんに手紙の返事が遅いって言ってください。あと、字が汚くてよく読めないって。
さくら』
作品名:【どうぶつの森】さくら珈琲 作家名:夕暮本舗