二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【どうぶつの森】さくら珈琲

INDEX|76ページ/107ページ|

次のページ前のページ
 

 大粒のぼたん雪が降ってきた頃、息を切らしたわたしたちは雪の上に寝転がっていた。
 たくさん走り回って火照った体に、ひんやりとした雪が気持ちいい。

「はー、全然雰囲気でないね、オレたち」
―――まあ、そっちの方がらしくていいじゃん?
「楽しいからいいか! あははは!」

 わたしたちは、しばらく曇った空を見つめていた。
 途中、どちらからかともなく、手をつなぎながら。

「さくらは、」
―――ん?

「……オレのこと、好き?」

 えっ、いきなり何を聞くんだ。
 わたしは思わず、がばっと起き上がる。

―――え、好きって、いや、好きっていうか、みしらぬネコさんのこと、好きじゃなかったら、こんな……。

 思わずしどろもどろになるわたしを、彼は笑い飛ばす。

「あははは! ごめんごめん、どんな反応するかなって」

 そして起き上がると、わたしの赤くなった頬にそっと触れて微笑んだ。

「オレもさ、さくらのこと好きだよ」

 彼の赤い瞳にわたしが映る。
 彼はいつも、わたしを爆発させようとする。わたしも、彼をこんな気持ちにさせられたらいいなって思うんだ。いつも、わたしばかりだ。せめて、この愛しさを少しでも伝えられたらいいのに。

「じゃ、はい」

 みしらぬネコさんが差し出してきたのは、小さな包みだった。
 いきなりのことなので、わたしは思わず彼を見つめた。

「クリスマスといったらプレゼントでしょー!」

 開けると、中にはガラスで出来た天使が入っていた。精巧な造りの透明な天使の像は、白い雪に反射してクリスタルのように輝いていた。
 選んでくれたんだ。みしらぬネコさんが、わたしのために、プレゼントを。わたしのために、……。

―――あー!!
「ど、どうしたの?」
―――ごめん、プレゼント……忘れてた。彼女失格だ。

 そうか、そうか!! 普通、クリスマスはプレゼントを交換するものなんだよね。どうして気づかなかったんだろう。自分の経験のなさが心底恥ずかしくなった。
 ちょっと考えてみればわかることなのに……。
 でもみしらぬネコさんは全然気にしていない様子だった。

「誘ったのオレだからいいのいいの! こうしてるだけで、十分だしね」

 ほんと、良い恋人を持ててよかった。
 もう、彼がいない日々なんて考えられなかった。かけがえのない、とても大切な存在になっていた。

―――これ、ありがとう。大事にするね。
「こちらこそ、一緒に過ごしてくれてありがとう。じゃあ、マスターのところで一休みしようか」
―――いいね。


 だからわたしはそのとき、
 彼がいなくなることなんて、考えられなくて、
 この関係が終わってしまう可能性なんて、浮かびもしなくて。


 ぴたりと、彼の動きが止まった。

―――どうしたの、早く行こうよ。

 しかし彼は、わたしを見ないで、言った。

「サクラ……?」

 その視線の先は、わたしじゃなくて。
 向こうに立っている、女の子に。

「どうして……」

 あの、わたしと同じピンク色の髪をした、ニンゲンの女の子に。

「どうして、サクラが、ここに……」


 わたしと同じ名前の、彼の初恋の人は言った。


「あなたを、探してたの。」