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【どうぶつの森】さくら珈琲

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35.終わりの始まり


 それからのことは、ほとんど思い出せない。
 起きたら自室のベッドの上にいて、机には朝食が用意されていた。たくさんの落書きが書いてあるメモと一緒に。

『おかえりなさい! 元気出してね!!
                   ふぁみりーず』

 なんとか微笑もうと思ったけれど、うまくできなかった。
 リビングにはとまとやリクの姿はなく、ただヴィスだけがいた。
 彼はわたしの顔を見るなり「ひどい顔……」と呟いた。

―――そう言わないでよ。あれ、とまととリクは?

「遊びに行った」

 時計を見ると、なんとお昼の2時だ。こんな遅くまで寝ていたなんて。午前中が一気に吹っ飛んでしまった。
 何かをして気を紛らわしたかったわたしも、外に出ることにした。
 久しぶりの自分の村だった。緑が豊かで、悪い人なんて誰もいない。あちこちで住民たちの笑顔が絶えない。
 あの村での出来事は、全部夢だったような気もした。
 そうだと、いいのに。


 現実はいつだって、残酷だ。
 わたしは、博物館の裏で話しているみしらぬネコさんとサクラさんを見つけてしまった。
 悪いことをしてないのに、つい隠れてしまう。
 みしらぬネコさんは、今までのように怒ったり激しい感情を見せたりはしていなかった。ただ静かに、悲しそうに尋ねた。

「どうして、黙っていたの?」

 みしらぬネコさんが問いかけると、きまりが悪そうに、サクラさんは答える。

「私の性格、知ってるでしょ」
「でもキミの人生じゃないか。バカげた選択だと思わなかったの?」
「ノラのこと、大好きだったから。ノラが守ろうとしてくれた、あの村も」

 ノラは困ったな、とばかりに少し微笑む。
 二人が親密だったあの頃に戻る瞬間を、今まさにわたしは目の当たりにしていた。

「サクラ、キミはいつだって頑固だね。もっと早くオレを頼ってくれれば、こんなに揉めたりしなかったんだよ?」
「……ごめんね」

 そして肩をすくめると、彼は言った。

「もう一度出来るかわからないけど……救ってみるよ、キミの村を」

 わたしは、その場を去った。