契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉
その少女は、誰もが惹かれる強く艶やかな声を持っていた。
その声は美しい唇から紡ぎだされる。
「ただいま!ガウリイ!ガウリイ!
今日は、ザーンダムの村のお祭りだって!」
「ガウリイ!そのお祭りで、おいしいスープを分けてもらったの!伝統的な料理だって!あたしも教えてもらおうかな?」
そして、その身は朽ちることなく若く活発な少女は、永遠を約束されていた。
しなやかなその体はこの小さい小屋を駆け回り、そして、村々を駆け巡った。
「ガウリイ?」
そして、その少女は魔族に愛されていた。俺は、この小さな小屋の小さなベッドで最後を迎えようとしていた。もう、目は開かない。
「ガウリイ!逝かないで!!」
少女は死に行く俺の体にすがり付いて泣いた。そして、その少女は俺の命がこの身から離れるまでここにいた。
「ガウリイ!!あんたがいなくなったらあたしはまたひとりぼっちだわ!」
「ガウリイ!」
ガウリイ・・・
ガウ・・・
その声は、俺の耳元で愛していると泣き続けていた。
作品名:契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉 作家名:ワルス虎