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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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あと、半年もすればゼルガディスは二十歳になる。
二十歳になるときに、正式に王位継承者としての剣を渡される儀式がある。
そんな矢先、父王が彼の寝室を訪ねてきた。
彼は、小腹が空いたので、クラッカーに干し肉をのせて食べていたときだった。
「ゼルガディス。」「父さん!」ベッドに横になっていた彼は、起き上がった。
父王は、彼の部屋にある豪奢なテーブルの椅子に座る。そして、ゼルガディスもそこに座らせた。

「ゼルガディスや、お前はもう19歳になったね。」
そして、テーブルの上にあったワインをあけ、グラスに注ぐと息子の彼に渡した。自分のグラスにも注ぐ。
「お前は、本当に立派になった。」
そして、そのグラスをチンと鳴らすと一口飲んだ。
「お前は、剣術にも優れておる。
 その上、先代の神の子と言われたアメリア姫の王子に似て精霊魔法をそんなに自由に操れるのもお前だけだ。
 お前は本当に私の自慢の息子だ。」
父王は満足げな顔でゼルガディスのことを見た。
青年の体つきは剣術でたくましい姿をし、その顔は精霊魔法や黒魔法などで得た深い知識は顔ににじみ出ていた。
「お前も、半年もすれば王位継承者としての儀式を受けることになるのだなぁ。
 時が経つのは早いものだ。」
「お前も、そんななりじゃ城中の女たちがお前を放ってはおかんだろうな。
 ときに、お前には心に決めた女性とはいないのか?」
「え?」
「お前も、もう二十歳となる身。
 そろそろ妃を娶ってもいい頃だと思うがね。
 誰かおらぬのか?」
「いえ・・・。それが・・・。」ゼルガディスは父の言葉に言い淀んだ。
もちろんゼルガディスも健全な男であるから、よって女性は好きに決まってる。
守るべき、慈しむべき存在だ。
しかし、今のゼルガディスにはあの塔の少女しか思えなかった。
「そうか。やはり誰もおらぬのか?」
「いや、あの・・・」言葉に詰まらせて返答に困っている息子を見て、父王は苦笑した。
こんなに容姿端麗であったも、やはり中身は19歳。好きな女性もいえないのか?それとも、剣と魔法の鍛錬に明け暮れたため、女性の魅力というものを知る暇がなかったのか?
純朴に育ったものだ。と。
「わかった。」
そして、父王はその様子に妙に納得すると、急に厳しい顔つきになって話し始めた。
「昔にも話したと思うが、20歳の王位継承者の儀式はあの塔の中で行われる。お前にもそろそろ正式にセイルーンの守り神を紹介せねばな。」
妃を娶らなくてはの話題から、いきなりあの不思議な少女の話になったので青年は戸惑ってしまい、思わず咳き込む。
咳払いをして、自分を落ち着かせた。
「あの少女は本当に何者なのです?」
「うむ。時に、姿かたちは人を惑わせる力がある。」
「私も子供の頃から、あの少女が気になって仕方がなかったよ。」
「父さんも?」
「ああ。いつまでも少女のままの姿に、不自然さを感じさせられずにはいなかった。
 少女から目が離せないでいたときもあったよ。」
父王は目を閉じた。
きっと、まぶたの裏に昔の自分の思いを描いているのだろう。
「少女の姿も不思議であったが、私は何故あの少女がこの聖王国の守り神と呼ばれているかがわからなかった。
 あの少女にそんな力があるのだろうか?」
「昔、私の若い頃に、亜魔族がこのセイルーン・シティに群れをなして攻めてきたことがあったよ。」
父ははすでにそのときは王位継承者になっていた。
亜魔族がこセイルーン・シティまで攻めてくるときに、数々の村々が残虐に合い、多くの人々が死傷した。
このままでは、セイルーン・シティも結末が見えていた。
しかし、国の王子として国民を守る義務がある。父王は先陣を切って、その群れへと進んだ。と。
が、圧倒的な亜魔族の力の前に、兵たちは倒されていった。窮地に追い込まれ、父王もあわやというときだった!
そのときに、あの少女がどこからともなく現れて父王の前に立っていたのだ。
父王は危ない!と叫んだ。
しかし少女は、その言葉には振り返らず、あの白いドレスをはためかせながら、亜魔族の群れへとゆっくり歩いていった。
その姿は神々しいまでの金色の光に包まれ、亜魔族たちはその姿を見て、自然に、彼女に道を開けていた。
あれほど狂ったように突き進んでいた亜魔族たちは、立ち止まり、少女の姿一点だけを見つめていた。
まるで、その光に恋焦がれるように立ち尽くしていたと言って過言ではなかったという。
遂に少女は亜魔族の群れの中心まで来て、一言だけ告げたのだ。
凛とした涼やかな声で。
『この街はあたしの街よ。
 あなたたちの足が犯していい街ではないわ。
 還りなさい。』
そう言った。
その瞬間、亜魔族たちは影も形もなくなってしまったと。
一瞬の光に目が眩んだ。
気が付いたときには、少女の姿もなくなってしまって、まるでそれらは幻のようであったが、しかし、その場に傷ついている兵士やすでに死亡している兵士を見ると、亜魔族たちがセイルーン・シティを襲撃したことが紛れもなく真実であった。と、父王は説明した。
「私は、そのときに、今一度少女に忠誠を誓ったよ。」そういって、ゼルガディスににっこりと笑いかけた。
「私の話はこれでおしまいだ。では、
 私は行くよ。
 ゼルガディス、お前もそろそろ恋人でも作るといい。」
父王は、その椅子から立ち上がると、ゼルガディスの部屋を後にした。
少し難しい顔になったゼルガディスは、テーブルに頬杖をつき、ため息をついた。
もしかすると、自分の心は父王に見透かされているかもしれない。
しかし、人間という生き物は禁止されれば禁止されるほどに興味が沸くものだ。
若い彼は、複雑な気持ちのまま、その豪奢なベッドへと身を投じた。
窓の景色には、満月が憎らしいほど燦然と輝いていた。
明日は闘技場で戦うことになっている。

彼は目を硬く閉じた。
昔に目が合ったときの少女の笑顔が忘れられない。
困った彼は夜に身を任せることにした。