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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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ここはゼフィーリアのレストラン兼宿屋のカフェテラス。
もう、空には丸い月が出ている。
今宵は満月だ。少しひんやりとした風がさわやかに通り過ぎていき、少女たちの頬を撫ぜた。カフェテラスの周りには篝火がいくつも立てられていて、その明かりが人々の顔をやわらかく照らし出している。
薄暗い中で、客は各々のスタイルでその雰囲気を楽しんでいる。
とあるカップルは楽しい会話に花を咲かせ、寄り添っているし、
またある一方は、中のカウンターの前で男性たちがたむろし、酒を酌み交わしている。中で、バイオリンやカスタネット、アコーディオンを持った楽団が楽しげな民族音楽を奏で、それに合わせて、思い思いに踊っている人たちもいる。
そんな明るい喧騒の隅っこで、少女はそれを横目で見ているだけだった。
この喧騒は、今の少女までは届かない。
だって、少女はそんな喧騒も一発で覚める濃い目のコーヒーを頭を抱えながら飲んでいるのだから。

昨日は、自分もその輪の中の一員だったのに!
それが今では、食欲さえなく。

(サイアクよ!!)少女はそう思った。

人々が幸せに、この夜をすごしているところを見ていると、己の不幸を叫びたくなる衝動にかられるような顔つきだ。
(でも、彼氏がいるだけ少しはマシかしら?)
少女はほんのちょっと金髪の青年の顔をチラ見した。
青年はにこにこして機嫌がよさそうだ。
もうすぐ大量に運ばれてくる食事を待っているから。
ここにいて、コーヒーを飲んでも拉致が開かないけれど、だからといって少女の状況を打破できるわけではない。
けれど、万策尽きてしまったのだからしょうがない。
少女は、今日は眠れないだろうな。と、心底思い、不安が心によぎった。
「あ〜〜〜!もう!最悪さいあくサイアク〜〜〜〜〜〜!!」
思い余って、叫んでみたがこの喧騒にその声はかき消されてしまった。