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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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ゼルガディスは金髪の美女の前の自分の知らない少女を見た。
あの少女がこれほどまでに、他の人物と親しくしているのを見たことがなかった。
一緒の場所に住んでいる自分ですら、少女から声をかけてもらったことなどないのに。
城では少女のことを崇め奉って、神聖なものとして、会いにすら行けない。
極め付けには、色々な人物から、あの少女と蜜に付き合ってはいけないと釘をさされてしまう。
まるで戒めのように。
ゼルガディスは求めているものをすべて心の中に閉じ込めてきたのに。
でも、今この目の前にいる金髪の美女に今までの自分の枷はまったく関係ないようではないか。
金髪の美女にはゼルガディスのようなルールはない。
彼女は自由だ。
少女だって、幸せそうだ。
だからこそ、安心しきって、あんな信頼の目で見ている。

ゼルガディスの心の中は、かつてないほど闇の炎がちらちらとくすぶっているようになって、その場に佇んだ。

しばらく、少女らは楽しくお茶会をした。
ひとしきりしゃべり終わると、少女と美女は抱き合った。
美女は名残惜しそうな顔をして少女の片手を離すのをためらったが、不思議な少女は困ったような笑みを浮かべると、
「すぐに、また来るわ。」と、言い、その片手を気恥ずかしそうに引っ込め、そして夕暮れの空に溶けていった。
少女の姿が見えなくなるまで、金髪の美女はその姿を見送った。

見送り終わると、金髪の美女は先ほどいたテーブルの席に着き、物憂げに茜色の空をぼんやりと見続けていた。
よく見ると、この金髪の美女も神のように美しく見えた。
太ももまで見えるスリットの入ったタイトな黒いロングドレスを着て、長い金髪がよく映える。
でも、この美女はどことなく儚げで、あの不思議な少女と同じように、今にも消えそうな予感がした。
まるで、死神の恋人でもあるような・・・
この姿を見て、セイルーンの女神は同じものに惹かれるのか・・・

決心したゼルガディスは、金髪の美女がいるテーブルへと歩いていった。

ブーツと地面の軋む音がして、金髪の美女が彼のほうを見た。