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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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「はあい!お呼びですか〜?リナさん!」突然、背後から少女の両肩に手を乗せるものがあった。
「きゃああああああああ!!!」びっくりして少女の体は緊張した。
「あはは。こんばんわ。お久しぶりです。リナさん、ガウリイさん。」そして、いつもの笑顔で、ひらひらと手を振ってみせた。
「ゼロス!!」二人の声が重なる。
ゼロスはそのまま、リナたちが囲っている白い丸いテーブルのちょうどガウリイとリナの間の椅子に座った。
「わあ〜豪勢な食べ物ですね!」
久しぶりに姿を現した彼に、少女ははじめ目を白黒させたが、なんたって、少女は切り替えが早い。
「ぜーろーす♪ひっさしぶりじゃな〜い。」少女の必殺、猫なで声だ。
少女のこの声には気をつけたほうがいい。金髪の青年はパスタを口に運びながらそう思った。
「ゼロスちゃん。あんたミルクティが好きだったわよね。あたしがご馳走してあげるw」
その声に、魔族の青年の顔は引きつる。嫌な予感。
もしかしたら、出し抜かれてここの食事代払えとか言われるかもしれない。
「ボーイさん!ちょっとこのテーブルにミルクティ追加ね!」
しばらくすると、青年の前に陶磁器のポットとカップが置かれ、そのカップには熱々のミルクティが注がれた。
「リナさんが僕にご馳走してくれるなんて・・・苦笑」青年はしげしげとそのカップの中を見つめた。そして、一口飲む。
「いいのよ〜ミルクティぐらい。ミルクティぐらいよ・・・。それより・・・ゼロス?あんた、都合がよくあたしたちの前に現れるなんてどういうこと!?」
いきなり少女の甘い顔は厳しくなり、右手のこぶしでドンとテーブルを叩いた。
「ガウリイがさっき言ってた事は本当?」
魔族の青年はチラッと二人を見ると、にっこりと笑って答えた。
「ええ。本当です。リナさんは気づいていらっしゃらなかったようですけど、ガウリイさんはさすがに野生の感ですね!気づいていらっしゃったようだ!」
や〜まいりました。ガウリイさんにはこの僕も感服です。などといい、魔族の青年は自分の頭に手をやった。
「あんたがここにいるっていうことは、やっぱり今回の問題は、あんたたち魔族が絡んでるってことなのね!?一体どういうこと!?まさかうちの姉ちゃんを使って悪巧み!?」
「なんて命知らずな・・・!」少女は口に手を当てると、不憫そうに魔族の青年を見た。
「悪巧みなんて、それはひどいです!あなたのお姉さんからの依頼の件は知っていますけど。今回、あなたのお姉さんから僕たち魔族に接触があったんですよ?人聞きが悪いです。」腰に手を当て、眉間にしわを寄せ、心外なという顔をしている。
そんな様子に、少女はうたぐり顔だ。「そうなの?」
「ええ。神に誓ってです。」
「あんたに神はいないくせに。」
少女はプイっと顔を背けた。そんな様子に魔族の青年はくくっと笑う。
「ま、僕がここに参ったということは、獣王様からの命令なんです。リナ=インバースを郡狼の島にお連れして差し上げろ。と。」
それを聞いて少女はむっとした。
「じゃあなんで、姉ちゃんから小包を預かった時点で、連れて行ってくれなかったのよ!」そう、少女は詰め寄る。
「それは・・・リナさんたちを見ているのも面白いかな?と、思いまして。
 3日間の猶予があったじゃないですか?」
「でも、面白かったですよ?僕を探し回っているリナさんの様子とか。探しても見つからなかったから、焦ったでしょう?郡狼の島まで行きたいのに行けない。それに、小包まで・・・ぷっ」魔族の青年は楽しそうだ。
少女はこの青年の意地の悪さに引きつり笑顔だ。
「じゃあ、あんたは知ってるんだ。あたしの小包の行方を。」
魔族の青年はちょっとだけ考えて、「ええ。事の次第は一部始終観察していましたから。」
「まさか、あんたがあの小包を盗んだんじゃないでしょうね!?」
魔族の青年は両手を振って抗議する。
「いえいえ!誓って、僕ではありませんよ!」
「僕じゃありませんよ。誓って!僕は見たんですよ。リナさんが酔って注意力散漫になっているときに、あなたの荷物からこっそり抜き取っていった人物を。その人物を付けて行きましたから、場所もばっちりです。」そして、ウインクをした。
少女は小包がなくなってからの恐怖を思い出し、怒りに目が燃えている。
「あたしの荷物から抜き取るなんて、許せない!!そいつのところまで連れて行って!ドラグスレイブをぶちかましてやる〜!きぃぃ〜〜〜〜!!」
ついでに、復讐の炎も背中にしょっている。ガウリイはさじを口に加え、お〜こわ。と、身を縮こませた。
「あんただって、小包を探さなくちゃやばいんじゃないの?だって、小包を持ったあたしを郡狼の島まで連れて行かなくちゃいけないんでしょう?だから、小包の場所までとあんたの上司のところまで連れて行って!」
さあ!さあ!さあ!と、少女はまたも魔族の青年に詰め寄る。嫌な仕事は速く終わらせてしまいたい。
そんな様子を見て、魔族の青年は笑いながら話した。
「でも、無料(タダ)でというわけには・・・リナさんもお分かりの通り、僕ってばこれでも列記とした魔族なんですよ。魔族にお願いするって、それは立派な契約になることをご存知ですか?」
「なによ!減るものでもないくせに!あたしから要求するつもり!?あんたなんガウリイの言うとおりだったら、ちょいちょいあたしんところにきて負の感情を勝手に食べているじゃない!」
「そっちがその気なら、こっちだって食事代を払っていただきたいわ!」ぷりぷりと怒る少女の顔はおもしろい。魔族の青年はすました顔でミルクティをすすると、ゆっくりと話す。
「いいじゃないですか。負の感情ぐらい。減るものじゃないんですし。」
「そうよ!これは溜まる物なのよ!」
「そう、負の感情の名は≪ストレス≫よ〜〜〜!!ケチケチしてないで、早くそいつのところに連れていきなさーーい!!
姉ちゃんから預かった大切な物を盗んだ不届きモノのところへーーー!!!」
「ほら、グズグズしてると、姉ちゃんとの約束の時間が来ちゃうでしょう!」
 「じゃあ、僕と契約してくれますね?」
「も〜う!しょうがない!してやるわよ!!」
「人の弱みに漬込んで!!この卑怯者!!」
「褒め言葉として受け取っておきます。」魔族の青年は頭を下げた。
「じゃあ、リナさん。あなたと僕は契約成立。その人物のところに行きましょう。さあ、こちらに来てください。」
魔族の青年はいつの間にか、テーブルより少し離れた場所に立っていた。
あの篝火の下。その顔は炎によって照らし出されている。少し魔が差しているような顔つきだ。
「おい、ゼロス。リナ一人で行くのか?」
「ええ。そうです。僕と契約したのはリナさん一人だけですから。あなたは待っていてください。」
「わかったわよ。阿漕なこと代償はやめてよね!」
「そんなに警戒しないでくださいよ。」
少女は席を立ち、おもむろに魔族の青年へと歩いて行った。(自分からゼロスに近寄るなんて、そういえばこいつに騙されて激怒して絞め技を使うとき意外なかったっけ)少女はおかしくなって、小さく笑った。
恐る恐る近づき、青年を見上げると、相変わらずにこにこと笑顔でいる。