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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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ふっ・・・

それは執拗なキス。
腰に手を回され、がっちり顎を捕らえられ、どうにも顔を背けようにも背けられない。彼の顔が目の前にあった。青年のひんやりとした舌が自分の口の中にはいってくる。それに、逃げようとけようと必死で嫌悪感を感じ、
やめて!気持ち悪い!ガウリイが見てるわ!!
「ううう・・・」
そして、ぱっとその顎の手が離され、口がすっと離された。
「な・・・な・・・何・・・何すんのよーーーーー!!」
少女は魔族の青年を思い切り突き飛ばそうとした。
青年はそれをよけ、うっすら笑い顔だ。
「リナさん。キスをするときに目を開けているなんて色気がありませんよ。」
人差し指を立ててちっちっとする姿に、少女は怖い顔でキッと睨んだ。
「お〜怖い。たかがキスのひとつくらいで、そんなに目くじらを立てないでくださいよ。」
こいつは・・・あの、人の食えない笑顔を浮かべて・・・
これは絶対にあたしに対する嫌がらせだ!嫌がらせに違いないと少女は確信し、自分の口元を袖でぬぐった。あんたなんかに、色気なんか使ってもしょうがないわよ!と、言おうとしたとき、背後から艶やかな女性の声が聞こえた。
「ほおー・・・なんだ、ゼロス。お前たちはもうそんなところまで進んでいたのか。」
少女はびっくりしてばっと振り返った。その振り返った先には、この2日間捜し求めていた人物が・・・
「獣王!じゃあ!ここは!」少女は辺りを見渡した。ここは先ほどの宿のレストランではない。
高い天井。豪奢なカーペット。その上の玉座。
ここは・・・
「そうです。リナさん。ここはもう、郡狼の島。ゼラス様のお住まい。」
魔族の青年は、妖艶な美女に恭しく頭を下げた。
「まさか、あたしから盗んでいったってやつは!」
「ああ。お前の探していたものはこれであろう?」そういうと、カールがかった金髪を持っている妖艶な美女はあの小包を取り出した。その包装はもうはずされていた。
「あ!それよ!」少女は身を乗り出していた。
「昨夜あなたの荷物より小包を持っていかれたのは獣王様だったんです。」
「ほら、リナさん。持って行った人物もわかって。さらに、荷物の届け先まであなたをご案内して差し上げて、僕って本当に優しいでしょう?リナさんは、獣王様にドラグスレイブを放つつもりですか?」青年はそう説明する。
妖艶な美女は挑戦的な笑みを浮かべた。少女はごくりとつばを飲んだ。この魔族の青年よりもすごい力をその身にひしひしと感じたからだ。
「じゃあ、あたしが一日姉ちゃんの影に怯えていたのは無駄だったわけね。」
「そういうことになるな。リナ=インバースとやら。」
それから、金髪の妖艶な女性は、しげしげと少女を見つめ。にやりと笑った。
「少し前に、スフィードナイトより、思いが私の胸へと届いたのだ。
 『自分の妹が私に小包を持ってくるでしょう。』とな。私は中身が何か知りたくなってな。」
「獣王様は好奇心が強い方ですから。」魔族の青年はやれやれという感じだ。
きっと、日頃からこの女性の好奇心につきあって振り回されているに違いない。
「お前さんが酒を煽って寝入った隙に、こっそりお前たちの部屋へ忍び込んで、いただいたというわけだ。」「悪趣味。」少女はうなった。
「でも、その小包があなたの手に渡っていたんなら、もうあたしに用事はないでしょう?あたし、帰ります。」じゃあ!と、少女は汗をかきながら、手を上げると魔族の青年に向き直った。
「ゼロス。あたしをガウリイのところへ帰して。」
「それは・・・」魔族の青年は言い淀み、目を伏せた。
「ねえ、なんで黙っているの?あたしを帰して。」青年は、少女を見て、黙った。
「あまり、ゼロスにそのことを聞いてくれるな。スフィードナイトの妹よ。
ゼロスはお前に、ここから帰ってもらいたくないと思っているのだから。」
「獣王さま!」
「いいではないか。実際にこれからそうなるわけだし。」そして、妖艶な美女は少女を見て、楽しそうに笑った。これからが面白いな。と。
「どういうこと!?あたしを帰してくれないつもりなの!?」
「そんなに乙女が激しい口調で話すもんじゃないよ。そなたは不思議には思わぬのか?」なぜスフィードナイトであるお前の姉が、最も敵対しているであろうこの獣王ゼラスの私に荷を送るのか?」
「それは・・・気にはなるけど・・・それが、あたしをここ(アストラルサイドにある群狼の島)から帰してくれないこととどういうつながりがあるっていうの?」
「うむ。そうだな。そもそもこの小包はお前のために送られたものなのだ。」
「え?どういうことですか?あたしのためって。」
「これの中身を見せてやろう。見るがいい。」獣王はその左手の上にきらきら渦を巻きながら紅色に輝く球体を乗せていた。
「それは・・・」その紅色に輝く球体から異常なほどの強い力と懐かしさを感じ、驚愕した。「まさか・・・」
「うむ。これの正体は・・・お前もわかったであろう?これは≪スフィードナイトの姉の力≫だ。お前の姉の中にはスフィードの一部が生きていたのだ。それを私に送った。」
「なぜ・・・なぜなの!?」
「この手紙に書いてある。乙女よ。」その虹色輝く球体はそっと獣王の手元から離れて、宙に浮かんだ。

「内容はこうだ。とても、シンプル。
 『この宝玉を持ってして、お前を不死に。』
 と、書いてあるのだ。」

妖艶な美女はその羊皮紙に書かれた文章を読み、そして一瞬の内にその紙を燃やした。その紙はちりちりと音を立てて燃え、そして灰は下へと落ちていった、
「うそ・・・」
「私と契約をするために、お前の姉は命よりも大切であろうこの力を魔族の王である私に差し出したのだ。それを意味するところはわかるな?」
「つまり、お前の姉は自分のこと、または世界の均衡のことよりも、たかが人間の妹のお前の方が大切だったと見えるな!あはは!守るべき世界の均衡のことよりもだぞ?スフィード(神)の命を宿していたとしても、人間とは本当に愚か者だ!」この妖艶な美女には理解に苦しむことだったのだろう。あまりのおかしな出来事に、女性の笑いは止まらない。
「スフィードナイトは、もうただの人間だ。スフィードの魂を宿すものとして、永遠に行き続けることができたのに、それをお前のために手放したのだ。
おもしろいだろう?スフィードナイトの妹よ。それに、ゼロスもお前のことを気に入っている。ゼロスは私の分身。感じるものは同じだ。したがって、私もお前に興味がある。」

「私は約束は違えぬ。」

「姉ちゃんどうして・・・あたしを不死なんかに願ったの!?あたしは永遠の命なんて望んじゃいないのに!?」
「ん?お前、まだ気がつかないのか?」
「お前の体は不治の病に冒されていることを。このままだと、お前は死ぬ運命だ。」
少女はその答えにすばやく息をのんだ。