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契約の代償〈第二章めぐりあい輪廻 P31ガブリエル回想UP〉

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少女は素晴らしく豪奢な部屋の一室を与えられていた。その部屋はすっきりとしていた。少ない調度品だが、すべてアンティーク調の彫りの入った調度品であつらえられていた。
少女はその部屋の大きな窓際に置いてある椅子に座り、テーブルに肩肘をつきながらぼんやり考え事をしていた。あの後自分の体のことを知った。どこで感染したかは分からないが、自分は結核という不治の病に罹患しているということ。この病気は決定的な薬が見つからず、緩やかにだが確実に自分の体を蝕み死をもたらすということ。
それは少女にとってかまわないことだった。人間なら、遅かれ早かれ必ず死を迎えることは知っているし、覚悟もしている。恐れはあっても。
しかし、この病気の厄介なところは別のところにあった。
「乙女よ。そなたは男の元へ帰りたいと言ったが、それはやめておいたほうがいい。その病は、人に染つすのだ。」
そして、妖艶な美女は少女を試すように言った。
「お前は自分と同じ思いを他人に味合わせるのか?」
その言葉が少女の胸に刺さった。
「不幸中の幸いですか、ガウリイさんはまだ大丈夫ですよ。」魔族の青年は淡々と事実を述べる。
「恋人同士には不遇なことだが、濃厚な接触は感染の元となるのは、間違いではない。」
そして、一呼吸の間。

「諦めよ。」

強い言葉だった。

「この乙女はまだ自分がどうするべきなのか理解していないようだ。まだ、魔族になる気はないのだろう?」
少女は顔をあげ、こくりと頷いた。
「しかし、私は約束は違えぬことをゆめゆめ忘れるな。さあ、ゼロス。この娘に私の宮殿の一室へ案内せよ。少々その病気に苦しむがいい。」

さぞかし、病魔に冒され、苦しむ姿は見ものだろうと。