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Love of eternity

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Still Waters



 その哀しみを凍らせてあげよう

 その心に流れ出る血を凍らせてあげよう

 いつか誰かが溶かすことを願いながら…



1.

 ようやくひとつの任務が完了した。残り火のような小宇宙がじんわりとまだ掌でその存在を伝えている。
 解放を願うかのような小宇宙。その願いを叶えようと僅かに燻る小宇宙をカミュは掌から放出した。
 目には見えぬ空気中に漂っていた水蒸気が今は目に見える形となって姿を現した。穢れたこの場所を清めるように、鎮魂歌を捧げるように白く輝きながら。
 静かで硬く冷たい音色のような世界だとカミュはおぼろげに思っているとーーー。
「命の流れさえも、時の流れさえも…君ならば凍らせることができるのだろうな。ならば……」
 やり場のない怒りにも似た哀しみに暮れそうになりながら、目を細め眺め入っていた時、別行動していた二人のうちの一人が不意に現われ、呟いたのだった。
 意味深い言葉を告げたその人物は白い結晶に溶け込むような、いや…それ自身といってもいいほどの希薄さを一瞬感じた。戦いの最中では離れた場所でありながら、ありありとその存在を伝え、見せしめているかのようだったというのに。そのギャップに少なからずカミュは驚きを覚えながら答える。
「おまえも終えたか…シャカ」
 指先に雪の結晶を留まらせようとしていたシャカに声をかける。
「カミュ、君も。少々躊躇ってはいたようだが、それでも…手を止める事無く、最後までその拳を向けられたようだな……」
「ああ、なんとかな。しかし私はまだ未熟なようだ。勅に徹する鋼の心をもっと鍛えねばならないな…おまえのように。今も遣り切れない気持ちでいっぱいだ。シャカ、おまえならこんな気持ちにはならないのだろう?」
 そう尋ねるとシャカはうっすらとした笑みを口元に浮かべて「それは…」と言いかけた。
 だがその言葉の続きは遅れて来たもう一人の怒号によってかき消されたのだった。


作品名:Love of eternity 作家名:千珠